配付資料をイントラネットにアップしておきました。
授業中の質問の件ですが、
N期間モデルのように時間が有限の場合は、F∞=FN というように見なせます。
ですから、停止時刻の定義4.3.1' のところで、「n=0,1,...,N,∞」で条件が成立するとして、「F∞=FN」と見なすというルールを含めておけば大丈夫です。
そうすれば、2期間モデルの場合は
{ω | τ(ω)=∞} = {HH} ∈ F2=F∞はOKとなります。
もちろん{ω | τ(ω)≦∞}=Ω に着目してもかまいません。
(実際は{ω | τ(ω)=∞}については確認しなくてもかまいません。n=0,1,...,N だけを確認すれば十分になっています)
前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の18名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。
IM08F014, IM08F019, IM08F032, IM08F033, IM09F001, IM09F002,
IM09F006, IM09F007, IM09F012, IM09F014, IM09F016, IM09F017,
IM09F022, IM09F023, IM09F025, IM09F031, IM09F037, IM09F041
以下コメントです。
授業内容が理解しきれなかったというコメントを書いてくれた方がいましたし、解答が途中で止まってしまっている人も若干いました。
たぶん、問題が解けた人の中にも、実際に自分が何をやっているのかを理解できていると言える人は多くないかもしれません。
(そのあたりの自信の無さといった感じが解答の中に染み出ている人もいました)
練習問題6, 7 は定理3.3.6 に沿って証明してもらえればよかったのですが、Lagrangian を設定するところから、議論している人が大半でした(もちろんそれでもかまいませんが、採点のときには後半部分のλの値やXNの表現式の部分だけに注意を払っています)。
練習問題7は逆関数導出を勘違いした人が少しいましたが、いちおう正しい手順を示している人が多かったです。
練習問題6の方は、N だけでなく、一般の n について X0 = Xnζn が成立することを示すところで、議論が不十分な人がいました。
また、多くの人が X0 = En[XNζN ] という等式から出発してリスク中立の表現式を経て結果を導いていました。
私がベストと考える示し方は、定理3.2.7の(3.2.6) 式に注目して、{Xnζn}がPの下でマルチンゲールであるということを使って議論する方法です。こちらは少数派でした。
練習問題8は手つかずの人も多かったですし、途中で give up している人も少しいました。
ただし、(i) は y は定数だと思えば、あとは U' >0, U'' < 0 という性質に注目すれば、高校数学で倣っているはずの、関数を1階微分して増減表を書いて極大・極小(あるいは結果として最大・最小)を調べる方法が使えます。
また、数名の人が V(x) = U(x) - yx が x について凹関数ということから
V(x) ≦ V(I(y)) + V'(I(y))(x - I(y)) = V(I(y))
という不等式が成立することを根拠にしていました。
おそらくこの事実は金曜の授業かどこかで教わったのでしょうか?
正しい結果ですので良いと思いますが、この授業のレポートということで言えば、少し説明を加えてほしいところです。きちんと証明をつけてくれた人もいました。
最後にO.K. とマークしていれば、私としてはその問題について「理解している」と判断しています。、
そうでなければ、解答過程を見る限り必要と思われることに言及していないと私が判断していることを意味します。
3 件のコメント:
ありがとうございます.
{τ<=∞}=Ωに関しては,任意のσ-field,FがΩを元として持つ,という事実から∞でのチェックは必要ない,ということを追加させてください.
もうひとつ,授業ではτはr.v.としては導入されなかったと思うのですが,この場合,{τ<=n}∈Fn,(for all n) から,τがF可測であることを示す必要があると思います.
#授業中に少し考えてしまいました.
離散のケースですし,(Ω,F,P)のなかのFの豊富さについて議論をしてはいので,特にそこまで必要はないのかもしれませんが,将来の拡張を考えると,これがr.v.となるための十分条件にもなっていることに触れていただいてもよかったかもしれない,と思いました.
コメントありがとうございます。
>{τ<=∞}=Ωに関しては,任意のσ-field,FがΩを元として持つ,という事実から∞でのチェックは必要ない,ということを追加させてください.
その通りですね。
>授業ではτはr.v.としては導入されなかったと思うのですが
サラッと触れたつもりでしたが、あまり強調しなかったので伝わらなかったかもしれません。すみません。
τは「Ω→実数(実際には値域を{0,1,...,N,∞}に限定しますが)への写像(関数)」という形で導入しているので、この教科書の設定では可測性を気にすることなく確率変数になります。
他の教科書でも、τが確率変数(時間を表す集合に値をとる確率変数という意味で確率時刻(random time)などとも呼びます)であることは、stopping time の条件を述べる前に要請しているケースが多いですね。
コメントにもありますが、一般の場合にもτのF-可測性については{τ<=t}∈Fn,(for all t ∈ [0,∞])からも示すことができますので、この条件は r.v であることの十分条件になっています。
したがって、stopping time は、random time を前提にしなくても結果的に random time でもあることも定義から言えるということになりますが、random time という概念自体も研究対象になるので、一般には stopping time はrandom time であることを先に要請しておくのだと思います。
2009/06/24 10:19付けになっている
taka さんのコメントへの返信は自分ではアップしていたつもりでしたが、管理モードのまま放置されていました。すみません。
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