2011年1月26日水曜日

2/4(金)「金融数理の基礎」第14回:離散時間モデル(デリバティブ価格評価)

最終回ですが、準教科書の7.4.4項に関連する話題になります。
前回やり残した内容についても触れ、

* リスク中立確率-デリバティブ価格を(条件付き)期待値として見る
* デリバティブ価格のリスク中立評価式
* 応用例

という流れで進めたいと思います。

なお、授業の冒頭の10分弱で、授業評価アンケートに回答してもらう予定です。

2011年1月25日火曜日

2011年度の予定

2011年度は「サバティカル」に準じた形で、大学業務負担を少し減らしてもらい、研究に割く時間を増やしてもらえそうです。

とはいえ、授業2つと(希望者がいれば)M2ゼミ・博士ゼミは担当します。

今のところの週間予定は次の通りです。

【春学期】
 月曜:1限 博士ゼミ(?)、2限 M2ゼミ
 火曜:2限 講義「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」

【秋学期】
 月曜:1限 博士ゼミ(?)、2限 M2ゼミ
 火曜:1限 講義「金融数理の基礎」

ということで、大学公務は月曜・火曜に集中させる体制です。

では、水曜~金曜はオフィスに全く来ないかというと、研究設備の多くは大学にあるわけですので、基本的にオフィスで研究することになると思います。
とはいえ、他に拠点を作って研究してみたいとも思っています。

また、他の先生を見倣って私的な勉強会も立ち上げようかと思っています。

2011年1月24日月曜日

「金融数理の基礎」第13回フォロー(更新2)

今回の配付資料イントラネットアップしておきました。

「リスク中立確率」に関しての説明で時間が足りなくて残ってしまった部分の補足説明資料をイントラネットにアップしておきました。次回の授業でも少し触れますが、事前に目を通しておいてください。
数式の等号変形については理由を明示していませんが、自分なりにどういう理由でそれぞれの等号変形が正当化されるかを考えておいてください。



演習課題については、二項モデルにおけるリスク中立確率測度がどのように構成されるかという話を授業でできなかったわけですが、配付資料3ページの命題のステートメントを参考にしていただければ考えることはできると思います。


その証明も実は簡単で、授業の最後に示したように、割引株価過程のQの下でのマルチンゲール性が r = E^Q[η-1] という「無リスク利子率=リスク資産の期待リターン」が成立するという関係に帰着されますので、 \tilde[P} がリスク中立確率測度になることを示すためには、
r = \tilde{E}[η-1] ⇔ 1+r = \tilde{E}[η]  \tilde{E} は\tilde[P}の下での期待値を表す)
が成り立つことを示せばよいことになります。ここでやるべきことは、
\tilde{E}[η] = \tilde[P}({H})×η(H) + \tilde[P}({T})×η(T)
= {(1+r)-d}/(u-d) ×u +{u-(1+r)}/(u-d)×d = … = 1+r
ということを計算で確かめることです。









2011年1月17日月曜日

「金融数理の基礎」第12回フォロー

今回の配付資料および期末試験の告知イントラネットアップしておきました。

フィルトレーションのところで質問を多数うけつけました。
準教科書の2.6.3項のところにある説明も読んでみてください。
なお、フィルトレーションを定義したところで、
F_k =σ { A ⊂ Ω | ω, ω' ∈ A ⇒ ω_1 = ω'_1, ... , ω_k = ω'_k }
というのを書きました。
授業後の質問で少し気になったので、後で検討してみたところ
「⇒」の向きが逆にならないといけないことに気づきました。
F_k = σ{ A ⊂ Ω | ω_1 = ω'_1, ... , ω_k = ω'_k ω, ω' ∈ A }
というのが正しいです。

なお準教科書の記述も修正することで訳者の方と確認しました。
こちらの「46頁下から10行目」のところを参考にしてください。
2^Ωはベキ集合のことです。

σ加法族については定義をそのまま頭に入れるよりも、簡単な場合には
具体的に要素となる集合を書き出すというのが理解の早道だと思います。

2011年1月16日日曜日

1/21(金)「金融数理の基礎」第13回:離散時間モデル(金融市場モデルの定式化)

準教科書の7.4.4項に関連する話題になります。

* 原資産の取引戦略
* 「裁定戦略」と「無裁定市場」
* 複製戦略
* リスク中立確率-デリバティブ価格を(条件付き)期待値として見る

という流れで進めたいと思います。

また、昨年度までの教科書だった

S. E. シュリーヴ(長山 いづみ他訳),「ファイナンスのための確率解析I:二項モデルによる資産価格評価」, シュプリンガー・フェアラーク東京(2006)
 ※原書:S. E. Shreve, Stochastic Calculus for Finance I: The Binomial Asset Pricing Model. Springer(2004)

の1章、2章が参考になると思います。

2011年1月11日火曜日

1/14(金)「金融数理の基礎」第12回:離散時間モデル(金融市場モデルの定式化):一部修正

次回は年明けだいぶ先になりますが、金融市場の離散時間モデル(特に2項ツリーモデル)を定式化する話をします。
これまでずっと準備してきた数学的概念が、やっと金融市場の概念と対応していくことになります。

予習用問題イントラネットアップしておきました。レポート課題ではありませんが、第9回~11回の復習にもなると思いますので、冬休み中に考えて解いてみてください。次回の授業内の前半で触れる予定です。

準教科書の2.6.3項、3.5.5項、4.7.5項、7.4.4項の内容をミックスとして触れていくつもりです。

* 2項ツリーの確率空間としての導入
* デリバティブの確率変数としての導入
* 原資産の取引戦略
という流れで進めたいと思います。

「デリバティブ価格の期待値としての意味づけ」は次回の話題にしたいと
思います。

冬休みの間にこれまでの内容をよく復習しておいてください。