2010年5月28日金曜日

プル型マーケティングのために?

faculty間で、このような本が回覧されてきました。

後藤心平 (編集), 出頭則行 (監修)
『大人からの進化術 —九州育ちが強い理由—』 (新書)
九州大学出版会(2009/9/10)

九州大学ビジネススクールの修了生・在校生52名の
名前・所属・写真付きのインタビュー形式での体験談集です。

九大ビジネススクールの先生や社会人学生は地元FM局で
番組のコーナーも担当しているようで、その番組担当の
フリーアナウンサーの方が取材して編集した本のようです。

中身はきちんと読んでいませんが、ICSのFSコースでもこうした
企画をしてもよいかもしれませんね。それが潜在的にICS入学
希望者の掘り起こしになるとすれば、正しい使い方か分かりませんが、
ある種のプル型マーケティングになるのではないでしょうか?

まあ修了生・在校生およびその知り合いの人、業界関係者が
全員買ってくれるとすれば1,000部くらいは捌けるのでは?
といっても、赤字でしょうね。

6/1(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第8回:信用リスク(2)

第8回目は、財務データに基づくデフォルト判別モデルの話をします。

判別分析の理論面や財務指標の意味の話は、すでに他の授業で聞いていると思いますので、財務指標を説明変数と したデフォルト判別モデルという応用面での注意点にフォーカスしたいと思います。

また、第2回目のレポート課題をアナウンスしたいと思います。

予 定としては、以下のことに触れるつもりです。QRM の本には特に対応箇所がありません。

  • Altman モデル
  • 財務指標の例と作成上の注意
  • 線形判別分析モデル作成時のポイント(データの内容および分析ツールの説明)
  • モデルの評価法

2010年5月26日水曜日

5/26(水)「金融市場の計量分析」第7回

私のパートの最終回ですが、
Frey, R. and T. Schmidt, “Filtering and Incomplete Information in Credit Risk,” to appear in Recent Advancements in the Theory and Practice of Credit Derivatives (2010).
の Section 4-5 の主たる結果についてのProof の idea について確認しました。

全体を通じて、けっこう細かい話をしたので、木を見て森を見ずという(しかも話し手が興味を持っている木の周りを巡るような)感じでした。

ただ、最初のうちは当たり前に見えるところでも、きちんと理由を考えながらテキストや論文を読み進めることも大事だと思うので、今回の授業で得た知識は忘れても、数学の議論への姿勢としては何かしら参考になればと思います。

Filtering Theory に関するテキストを追加しておきます。

Bremaud, P., Point Processes and Queues: Martingale Dynamics. Springer (1981)

あと、Duffie-Lando の paperのコピーについてはこちらを参考にしてください。

30,000アクセス突破+研究メモ

いつの間にか30,000アクセス突破。
このうち1,000は自分自身だと思う。

実質何も進んでいないが、研究プロジェクトの進捗覚え書き
  • Project-K:ディスカッションペーパーとしてアップ。7月にはこちらにも掲載されるらしい。
  • Project- N:日本語論文の査読結果はまだ来ない。BFS2010での発表に向けて準備しないと。
  • Project- O:中途半端な状態ではあるが、投稿した。
  • project-SG:他のことで手が回らない
  • Project- Ya:これまでの話は英語論文にまとめて投稿中。今後の方針について相談するとともに、進捗報告をうけた。
  • Project-Yu:とりあえず相手からの進捗報告待ち

「フィ ナンシャル・リスク・マネジメント」第7回フォロー(更新)

もろもろのファイルはをイントラネットにアップしておきまし た(小テストは掲載していません)。参考にしてください。

授業でも触れましたが、信用リスク研究に関心のある方は週1くらいで DefaultRisk.com にアクセスしましょう。
あと、正則化SVMを用いたデフォルト判別に関心のある方は、個人的に連絡ください。

第6回の課題についてのレポートを 提出してくれた方のidは以下の通りです。提出したのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F001, IM09F006, IM09F007, IM09F012, IM09F022, IM09F023,
IM09F025, IM09F037, IM10F030

今回は課題は特にありません。

前回のレポート採点コメントです(一度ざっと見たところです)。
まず(1)の与えた2変数関数(共単調コピュラと反単調コピュラを足して2で割ったもの)がコピュラであることを示すという問題では、QRMの定義5.1の3つの条件を地道に確認するということが主眼でした。

条件をチェックする作業自体は面倒ですが、スマートな方法としては、「共単調コピュラ」と「反単調コピュラ」それぞれについて、定義の条件を確かめて、コピュラ同士を足して2で割ったものもコピュラになるという性質を補題として示す、ということを念頭においていました。

多くの解答が与えられたCのまま、条件をチェックしようとしていましたが、上のような方針に沿った解答も見られました。
また、QRMの図5.1のような鳥瞰図あるいは等高線図を持ち出した人もいました。視覚的に把握しようというのは厳密な証明とは言えませんが、そうした図を用いた説明も有効に思います。

個別の条件のチェックについてみると、
2つ目の条件についてはだいたいの人ができていました。1つ目の単調非減少のところは私が満足できる形まで式を変形して考察している解答はやや少なかったです。
3つ目の条件を示すところは give up の人が多かったです。手を付けていた人もパーフェクトに近い人が若干いました。
3つ目の条件は適切に場合分けをしていき、地道に計算をするというのが、無難な方法だと思います。

私が考えていたのは、関数Cの定義域である正方形領域に2本の対角線を引いて分割される領域に注目すると、ぞれぞれの領域ではminとmaxを使わない形でCが与えられるので、それを手がかりにすると、1つ目と2つ目の性質のチェックは容易ですし、3つ目も結局、イメージすることになる長方形の頂点の位置がどの領域に入るかということで場合分けして計算するという方針がたつと思います。
(そのあたりで、全部をしらみつぶししなくても議論を少し省略できることに気づくと思いますが)

上のような視覚的なイメージ込みで4つの領域を考えた人も少しいました。

(2)の方は、完璧にできていた人は少なめで、問題の趣旨がつかめていなかった人が多かったです。
「Sklar の定理を使って・・・」と言う文を書いていた人が数名いましたが、ここの趣旨はSklarの定理で
示されているような「同時分布と『コピュラ&周辺分布』」の関係が実際に成立している例を、直接的な計算で確かめてみましょう、というものです。
このコピュラの詳しい意味は、QRMの例5.23を見てください。

途中の式をいくつも飛ばしますが、おおざっぱに書くと、
P(X≦x, Y≦y) =P(X≦x, ZX≦y)= P(X≦x, X≦y, Z=1)+P(X≦x, -X≦y, Z=-1)
=P(X≦min{x,y})P(Z=1)+P(X≦x, X≧-y)P(Z=-1)
= min{P(X≦x),P(X≦y)}*0.5 +P(-y≦X≦x)*0.5
= min{P(X≦x),P(X≦y)}*0.5 +[P(X≦x) - P(X≦-y)]*0.5
=min{P(X≦x),P(Y≦y)}*0.5 +max(P(X≦x)+P(Y≦y)-1,0}*0.5
=C(P(X≦x),P(Y≦y))

ということを示すことになります。

2010年5月22日土曜日

フィナンシャル・リスク・マネジメントの補講日時について

正式な連絡は、週明けに共同研究室からあると思いますが、
フィナンシャル・リスク・マネジメントの補講(第14回分)は、

7月21日(水) の2時限 第3講義室

ということで調整されたようです。

2010年5月20日木曜日

5/25(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第7回:信用リスク(1)

第7回目は、信用リスクの初回と言うことで、信用リスク計量モデルの総論についての概説をしたいと思います。
内容に関しては特にQRMなどで予習するポイントはあ りませんが、今後のために8.2, 8.3節あたりに目を通しておいてください。

ただし、2つ目のレポート課題に向けての知識確認ということでB/S, P/L の基礎知識と財務指標の定義などについての小テストをしようと思っています。

予定としては、

  • 信用リスクの とらえ方
  • 信用リスク計量モデルの分類あれこれ
  • 会計知識の小テスト
で す。

2010年5月19日水曜日

5/19(水)「金融市場の計量分析」第6回

授業中に紹介したものも含めて、Filtering Theory に関するテキストを挙げておきます。
(1)は図書館でしかお目にかかれないかもしれません。学生時代に参考にしたものです。

(1)國田寛, 『確率過程の推定』, 産業図書, 1978

(2)Øksendal, B., Stochastic Differential Equations: An Introduction with Applications, 6th. ed., Springer-Verlag, 2003
(邦訳) 谷口説男, 『確率微分方程式-入門から応用まで』, シュプリンガー・フェアラーク東京, 1999

(3)片山徹,『新版応用カルマンフィルタ』,朝倉書店, 2000

(4)Liptser, R.,Shiryaev, A., Statistics Of Random Processes: I. General Theory, 2nd rev. and exp. ed., Springer-Verlag, 2000

(5)津野義道, 『Kalman‐Bucyのフィルター理論』, 共立出版, 2006

次回は、私のパートの最終回ですが、
Frey, R. and T. Schmidt, “Filtering and Incomplete Information in Credit Risk,” to appear in Recent Advancements in the Theory and Practice of Credit Derivatives (2010).
の Section 4-6 について検討したいと思います。

プレゼン資料のtypo

ご指摘をいただきましたが、プレゼン資料において参照文献として"FRM"と書いてある部分は、全て"QRM(Quantitative Risk Management)"のことです。

また、「準教科書」と書いたり、私が口頭で言う場合も同書を指します。

2010年5月18日火曜日

「フィ ナンシャル・リスク・マネジメント」第6回フォロー(更新)

もろもろのファイルはをイントラネットにアップしておきまし た。参考にしてください。
(プレゼン資料の中で LGD (Loss Given Default) とすべきところが LDG となっているという指摘をいただきました。直していませんが、あしからず)

次回のレポート課題は配付資料の問題2です。
数学の議論が中心のものですので、きちんと解答するのは難しいかもしれません。
ただ、全部はできなくても一部の条件をチェックすることは可能だと思いますので、チャレンジしてみてください。

第5回の課題についてのレポートを 提出してくれた方のidは以下の通りです。提出したのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F001, IM09F002, IM09F006, IM09F007, IM09F009, IM09F022,
IM09F023, IM09F025, IM09F026, IM09F031, IM09F037, IM09F038,
IM10F030, IK01F001, IK01F0012

なお、前回のGreeksに関して、ボラティリティの2回微分で表された Vomma/Volga というのは、通貨オプションのボラティリティスマイルなどを考えるときに実務ではけっこう使われているという情報をいただきました。大変参考になりました。ありがとうございます。

以下、前回レポートをチェックしていてのコメントです。

問題3、に関して私がチェックしたかったポイントは「逆行列が具体的にどのように書けるか」ではなく、「逆行列をどのように計算したのか」ということです。もちろん、EXCELやRやMatlabには、逆行列を計算する関数が組み込まれているわけで、どのような関数を使ったかを明示してほしかったです。
(3次正方行列なので、いわゆる掃き出し法を使って手計算した人もいるかもしれませんが、そうした記述は見あたりませんでした)

問題4は、ヨーロピアン・コールのBlack-Scholes公式およびGreeks(デルタ、ガンマ、ベガ)を公式通りに使えば問題ないはずですが、微妙に間違えている人が目立ちました。

計算プログラムのコードをレポートに付けてくれた、あるいは計算法を具体的に書いてある方については、明らかなミスや怪しいところを指摘しておきます。
(割るべき変数がかけ算になっている(例えば、分母が「ab」の式を計算したければ、「/(a*b)」とすべきなのに、「/a*b」としてしまっているとか、密度関数を使うべきところが分布関数になっていたりとか、そういう単純なものはすぐ分かりました)

また、ヘッジ戦略については、デルタ・ヘッジは押さえたうえで、ガンマとベガについてどう考えるかを議論してほしかったです。ガンマとベガもニュートラルにするためには、問題3で示したように、普通別の2種類のオプションが必要になってくるはずです。しかし、オプションを購入すると、デルタもくずれるので、原資産の株も取引しないといけなくなります。また、オプション購入費用がかかりますから、ヘッジ全体のコストは、オプションのプレミアムと見合うかなど、いろいろと考えてほしかったのですが、そこまで細かく議論した解答はありませんでした。

あと、単に「○○ニュートラルにするようにヘッジすればよい」といった教科書的な説明が書かれているものもありましたが、その具体的な方法を検討してほしかったです。もちろん、これには唯一の正解というものはありませんから、なぜその方法がよいと判断したかという説明がむしろ重要になってきます。
デルタ、ガンマ、ベガを数値で計算してもらっているので、いちおうその数字に基づいた議論をしてほしかったです。

オプショナル問題についても解答しているレポートは多数ありました。
実は、この問題に関する模範解答が、ネットで(しかも日本語で)入手できます。そのことを正直に指摘してくださった方も何人かいました。
私はもちろんそのことを知っています。そもそもHullのテキスト"Options, Futures and Other derivatives" については英語版の解答集(Questions and Problems の解答だけで、後半のAssignments の解答はなかったと思いますが)が本としても売られていますので、学生がHullのテキストの答えをネットで探すということは、折り込み済みです。

私自身は、宿題の答えをネットや他の文献や他の人に聞く行為自体は特に悪いとは思いません。
(そうした行為を禁じている先生もいらっしゃいますから、積極的に薦めはしませんし、自力で考えて解くに超したことはありません)
そもそも私自身も課題として出題するにあたって、そうした模範解答(英語版の方を見ていましたが)を参考にしているわけです。

ただし、理解せずにただ他の解答を丸写ししてあるレポートは「コイツ丸写ししたな」ということはバレバレです。
解答を参考にしても、自分の言葉で表現することが大事であり、きちんと理解していれば模範解答よりも優れた自分なりの表現をすることができるはずですし、その解答自体への批判も可能だと思います。
その意味では、自分で考えたと思われる解答が多く、採点は苦労しましたが面白かったです。

先物をショートして小麦価格の下落リスクをヘッジしようとするのが考え方の是非を考えるという問題ですが、模範解答のポイントは、先物を使うということは、実質的に「予定収穫高×先物価格」で将来の販売収入をこの段階で確定してしまうということに気づくかどうかです。
小麦価格下落時にはヘッジになりますが、小麦価格上昇時にはもっと高く売れた可能性を逃すことになるという点で、そもそも損も回避できるが得する機会もなくすという点は先物ヘッジである以上は仕方ないことです。
解答の中には、「価格上昇すると先物で損するから・・・」というロジックを持ち出してあるものがありますが、それ自体はこの問題の論点とはずれています。

ポイントして挙げたように「予定収穫高×先物価格」であたかも将来の収入を実質的に現時点で確定させることができているように見えて、実は「予定収穫高」自体は天候などに左右されて確定できていないというところに目を向けるというのが模範解答的には大事なことです。
さらに、悪天候の場合には実質収穫高も減り、その結果小麦価格も上昇し(当然それにつれて先物価格も上昇)するというシナリオの蓋然性が高いところがフォーカス・ポイントです。

小麦農家といえど、先物は満期前に反対売買をしてポジションをクローズするとなれば、先物を高く買い戻すことになって先物で損は出ます。しかし、予定収穫高どおりの収穫があれば、それを高い価格で販売することで、現物を売った方で想定よりもうけがでます。それらの損益が相殺されて、結局「予定収穫高×先物価格」だけ収入があります。
しかし、実際には予定収穫高より少ないものしか売るものがない一方で、先物は予定収穫高にあわせてポジションをとってますので、少ない現物を高値で売っても先物損を相殺しきれず、先物損がある程度残ってしまう、ということになる可能性が高いわけです。

要するに「予定収穫高の変動リスクは直接的には先物でヘッジできず、それ自体が価格変動リスクの主原因でもある」ということを認識したうえで、先物を使うことの有効性みたいなものを論じるというのが模範解答のエッセンスだと思います。

レポートの中では、そうしたことに言及して、悪天候に関しては、天候デリバティブを使うことを提案するというものがあり、それは興味深いと感じました。
ただし、実際の天候デリバティブは、気温とか降水量とかいろいろな気象数値ごとに条件を考えなければなりませんし、本当の異常気象に対する保険という意味合いは弱いはずです。
また、気象は安定していても、虫害とか病気とかでの凶作はヘッジできないはずです(そういう保険はあるのかもしれませんが)
また、天候デリバティブはある程度保証額に上限もありますし、実損を全額カバーしてくれるものではないのが一般的だと思いますので、そのことも注意ですね。

2010年5月13日木曜日

5/18(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第6回:リスクの統合、リスク資本配賦

第6回目は、市場リスクの最終回ということになりますが、市場リスクというよりは、リスク尺度にまつわる問題に再度目を向けます。

準教科書では、5章の接合関数(Copulas) の最初の方と6章の6.2, 6.3節あたりの内容のいくつかの話題を大まかに扱います。

予定では、
  • リスクの統合の話にからめての、コピュラ(copula)の概説
  • リスク資本配賦-特にオイラー資本配分原理
の話題をとりあげたいと思います。

予習用課題をイントラネットにアップしておきます。

いちおう、多期間リスク尺度についての話題についても資料を用意しておきます。時間があれば触れますが、今回はおそらくスルーすると思います。

5/12(水)「金融市場の計量分析」第5回

5回目は、Bielecki, T. R., M. Jeanblanc, and M. Rutkowski, CREDIT RISK MODELING の5.2節, 5.6節から、同時分布の計算に関するいくつかトピックを取り上げ、証明の等号の部分のロジックを細かく確認しました。
「木を見て森を見ず」という感じになってしまいましたが、ある程度自力で森を見られる方々だと思いますので、あえて細かいところに目を向けてみました。

最後に5.7節に関する話題に少しだけ言及しましたが、その部分の計算は成績評価対象者に対するレポート課題としたいと思います。(具体的な課題については後日示します)

次回と次々回の2回で、
Frey, R. and T. Schmidt, “Filtering and Incomplete Information in Credit Risk,” to appear in Recent Advancements in the Theory and Practice of Credit Derivatives (2010).
を読みたいと思います。

次回は主としてfilteringの一般論について、次々回はcredit risk modelへの応用について見たいと思っています。

2010年5月12日水曜日

「フィ ナンシャル・リスク・マネジメント」第5回フォロー(更新)

もろもろのファイルはをイントラネットにアップしておきまし た。参考にしてください。

次回のレポート課題は配付資料の問題3と問題4です(問題3は連立方程式を解く方法を確認してもらえれば十分ですので、レポートにあえてしなくてもかまい ません)。あとは配付資料の12枚目のスライドの問いをoptionalにします。

第4回のオプショナル課題のレポートを提出してくれた方のidは以下の通りです。提出したのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F001, IM09F006, IM09F007, IM09F009, IM09F012, IM09F022,
IM09F025, IM09F026, IM09F031, IM09F037, IM10F030, IK01F001

以下、前回レポートに関するコメントです(昨年度のものをコピペして編集しています。あしからず。ということは毎年同じような回答が提出されているということなのですが)

250営業日での99%VaR 超過回数に対する検定に関して、対応する確率の表の作成については正しく行われていました。

多くの人は、ゾーンの決め方に同意できるという趣旨のまとめをされていましたが、結局のところ「グリーン」「イエロー」「レッド」という区分を250日のうちの超過回数「0~4」「5~9」「10~」とすることが妥当であるということについて、(少なくとも私にとって)説得力のある説明になっていないものが多かったです。

説得力がないと感じた理由の1つは、仮説検定の言葉(特に第1種の過誤)だけを用いており、第1種の過誤の起こる確率が高い低いということが、設定した99%VaRが、妥当かどうかという視点に翻訳をしていないことだと考えます。
(もちろんこの授業関係者同士であれば、仮説検定の言葉だけでの説明でも通じると思います。しかし、私としてはその人が、仮説検定の枠組みをリスク値としての妥当性の話と結びつけて説明できるかどうかという判断がその解答だけからは判断できません。

また、第2種の過誤をどのように見るかという点で不十分と感じられる解答が少なからずありました。私自身も第2種の過誤の見方に慣れていないので、あまり偉そうなことは言えないのですが、ゾーンの決め方には、第2種の過誤の見方も反映されていることが示唆されています(例えば紹介したこちらの本)ので、それをふまえた説明をしてほしいと思いました。

典型的には、「(帰無仮説である)信頼水準を99%とするモデルが真としたときに、その超過回数以上が観測される確率がある程度低いからイエローゾーン、十分低いからレッドゾーン」という趣旨の説明だけが書かれているわけですが、「第1種の過誤の確率が低いこと」と「リスク評価の際にレッドゾーンと見なすことが妥当」という話の間をきちんとつないだ説明が必要と感じました。

また、仮説検定の枠組みで説明する際の用語法・表現も正確でないものが散見されました。その辺は私にも責任がありますが、統計的な言葉使いは独特ですので、あまり自己流の表現を使わずに教科書的な若干堅苦しいと感じる表現に合わせていうことが大事と考えます。
逆に表現は堅苦しいのだけれども、統計の物言いとしては不正確な表現をしている人も見られましたので、教科書で自分のような表現が使われているかをよく確認した方が良いでしょう。

何人かの人が指摘してくれていましたが、BIS規制においては市場リスクに対する所要自己資本額を、「前日の99%VaR値」と「直前の60営業日にお ける日次の99%VaR値の平均に「乗数」を適用した値」の大きい方で与えることにしていており、「グリーン」「イエロー」「レッド」の区分は、この「乗数」を3~4のいずれに設定するかを決めるのに使われます。

詳しくはこちらの ページの「2.サーベイの結果」の項を参照のこと。
ただし、上記は10年以上前のサーベイの話です。最近の金融危機の連発を考えると、乗数の決め方やバックテストの枠組みそのものについても議論が必要かもしれませんね。
もし、見直しの動きなどに詳しいサイトをご存じの方がいたら教えてください。

2010年5月6日木曜日

5/11(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第5回:リスクヘッジ

第5回目は、リスク・ヘッジがテーマです。リスク・ヘッジをテーマに1回分の授業をするのは今年度が初めてです。

準教科書にはぴったり当てはまる箇所はなく、今回は参考書として挙げた Hull『フィナンシャルリスクマネジメント』の2章・3章からトピックをいくつか選択します。

予習用課題をイントラネットにアップしておきます。

また、他の文献からもいくつか話題を取り上げて紹介する予定です。

予定では
  • 先物を利用するヘッジ例
  • オプションを利用するヘッジ例
  • Greeks
  • 様々なヘッジ手法
といった話題に触れたいと考えています。

それと、最終的に設定する95%VaR, 95%ES のファイル提出も忘れずに。