2011年10月27日木曜日

11/1(火)「金融数理の基礎」第5回:測度論(可測関数)

第5回目は、Lebesgue積分を定義できる関数の性質を中心に見ていきます。

準教科書の3.2~3.4節の内容(あと、4章の定義4.1, 命題4.15も)に触れます。必要な人は、イントラネットに予習用資料をアップしておきましたので目を通してきてください。

* Lebesgue可測関数の定義
* Lebesgue可測関数の族の性質
* 可測関数の単関数近似

という流れで進めたいと思います。

ここでは、苦手な人の多い「逆像」の扱いがポイントになります!

前回の内容も含めて証明も簡単なものついては、授業でも触れたいと思います。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

第3回課題レポートについて(追記)

第3回目の課題レポートをチェックしての暫定的な講評です。


今回は、いずれも難しかったのか、私を気づかってくれたのか(笑)、提出者数は少なかったです。


問1の(1)(2)以外は解いていた人がまばらでしたので、とくに問1の前半の「答え」についてコメントしておきます。


問1で気づいたところ。
$ \bigcap_{n=1}^{\infty} A_n$ を $\{0\}$ としたり、0 としたり、$(0,0)$ としたり、$\{\emptyset\}$ としたりしたものがありました。
いずれも間違い(と言い切れないものもありますが)のレベルは少しずつ違います。


$\{0\}$ は、そもそも $\forall n$ に対して $0 \not\in A_n$ なので、答えの集合が0を要素をもつことはおかしいです。
0 というのもその意味でおかしいですが、0は単なる要素です。$ \bigcap_{n=1}^{\infty} A_n$ は実数の部分集合になるはずなので、集合と要素が「=」で結ばれるのはおかしいことです。


$(0,0)$ あるいは $(0,0]$ は意味を考えれば $\emptyset$ ですから、ここは $\emptyset$ と答えてほしいところです。
ただし、$\{\emptyset\}$ は誤りです。これは空集合を要素として含む集合族という意味になり、これ自体は空集合ではありません。


また、$ \bigcap_{n=1}^{\infty} B_n = (0,1)$ という解答がありました。
こちらは、$\forall n$ に対して $0 \in B_n$ なので、答えの集合が0を含まないと逆におかしいです。


他に $ \bigcup_{n=1}^{\infty} C_n = \{ \mathbb{N} \}$ というのも、$\{ \mathbb{N} \}$ は自然数全体を要素にもつ集合族ですから、「自然数の部分集合=自然数の部分集合を要素にもつ集合族」という構図になっていて、階層の異なる対象同士を「=」で結んでいることになり、おかしいです。


おそらく内容は分かっていて、適切な記号の使い方ができなかっただけだと思うのですが、採点する側は記号の使い方で、要素・集合・集合族の区別についての理解度をチェックすることになります。$\{ \quad \}$ で囲むべきか否か、$=$ で結べるかどうか、$\in$ なのか $\subset$ なのか、などに注意するくせをつけてほしいと思います。


ふつうの語学だと文法を多少間違えても意味が通じることはありますが、数学は「文法」を間違えると、意味が伝わらなくなることすらありますので、表記には細心の注意をはらってほしいです。




2011年10月26日水曜日

「金融数理の基礎」第4回フォロー

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

今回の演習問題は、肝となる部分は、いちおう板書の情報+予習用資料で何とかがんばれると思います。

2011年10月25日火曜日

(受領確認)第3回レポート

「金融数理の基礎」第3回分レポートの提出者は以下の通りです。

提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。
IM11F003, IM11F005, IM11F006, IM11F012, IM11F014, IM11F020, 
IM11F021, IM11F037, IM11F040, 
IM11F041, IK11F011, IK11F014

2011年10月20日木曜日

10/25(火)「金融数理の基礎」第4回:測度論(外測度,測度)

第4回目から、測度論の話題に移ってきます。

準教科書の2.1~2.4節の以下の内容に触れます。必要な人は、イントラネットに予習用資料をアップしておきましたので目を通してきてください。

* 零集合
* 外測度
* Lebesgue可測集合とLebesgue測度
* Lebesgue測度の性質

* 一般の測度空間の例

という流れで進めたいと思います。



ただし実際の議論の多くは、集合論の記号や概念を使ってなされます。
前の2回分の授業の内容をよく復習しておいてください。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2011年10月19日水曜日

「金融数理の基礎」第3回フォロー

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。


演習問題ですが、問2,問4,問5 は授業で板書した内容だけでなく、配付資料の補足で書かれた内容あるいは予習用資料の内容を使わないと、きちんと解答ないと思いますので、授業で触れていない部分についても適宜読んでおいてください。


また、対角線論法の最後のところですが、


$\forall n \in \mathbb{N}$ に対して $a_n^{(n)} \neq b_n$ から「矛盾」としましたが、
もう少し詳しく言えば、このことから $\forall n \in \mathbb{N}$ に対して $f(n) \neq y \in (0,1)$ となるわけで、$f$ が全射としたことに矛盾するわけです。


あと、集合族の演算についての例題と解答例を補足資料としてイントラネットの第3回のところにアップしておきました。

第2回課題レポートについて

第2回目の課題レポートをチェックしての講評です。


問1は、ケアレスミスも少しありましたが、だいたいよくできていましたが、B の要素のうち $\{31,32,34,35,37,38\}$ を抜いている人が複数いました。授業でも言いましたが、Bは世界のナベアツがアホになる数字の集合だったのです。


問2


(1)は1/3くらいの人が、私の期待していた方針で解答していました。途中で論理規則の分配律をうまく使えるとかっこいい証明になります。もちろん集合の等式変形でも示せますが、最初のうちは要素を持ち出して、論理規則の演算を用いる方向でトレーニングした方がいいと思います。


(2)は集合の等式変形で両者が一致するという方針で示した人が多かったです。もちろんそれでよいのですが、その際の等式変形では「結合則より」とか「分配則より」とか「○○により」といった根拠を示してもらわないと、解答した人が本当に分かっているかどうか、私には判断できません。



集合論における抽象的な議論は、定義および基本的性質に立ち返ることが大切です。$\Rightarrow$ や $=$ でつないだ部分については、どういう定義、性質、証明された事実を用いたのかを面倒でも一つ一つ書くようにしてください。

問3 (1)(2)は、数学の議論として単射性、全射性が的確に使えていない人が多かったです。もちろん、授業では定義と簡単な例しか触れられなかったので、すぐに分からなくても仕方ないです。解答例で復習してください。


繰り返しになりますが、集合論における抽象的な議論は、定義および基本的性質に立ち返ることが大切です。$\Rightarrow$ や $=$ でつないだ部分については、どういう定義、性質、証明された事実を用いたのかを面倒でも一つ一つ書くようにしてください。


(3) は、$f(f^{-1}((-1,1])) = f([-1,1]) = [0,1]$ の方は比較的良くできていましたが、 $f^{-1}(f((0,1))) = f^{-1}((0,1)) = (-1,0) \cup (0,1)$ の方は、0を除くのを忘れた $(-1,1)$ といった答えが多かったです。


また $\{ (-1,0), (0,1) \}$ という答えがありましたが、これは2つの開区間を要素に持つ集合族と読めてしまうので注意です。

2011年10月18日火曜日

(受領確認)第2回レポート

「金融数理の基礎」第2回分レポートの提出者は以下の通りです。

提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

IM10F028, 
IM11F001, IM11F003, IM11F004, IM11F005, IM11F006, 
IM11F011, IM11F012, IM11F014, IM11F020, IM11F021, IM11F026, 
IM11F028, IM11F031, IM11F034, IM11F037, IM11F040, IM11F041, 
IK11F003, IK11F007, IK11F011, IK11F014,

2011年10月13日木曜日

10/18(火)「金融数理の基礎」第3回:集合論(集合、写像、集合族、濃度)

第3回目は、前回の「集合・写像」に続いて、集合論における基本的な話題を確認していきます。

「集合・写像」予習用資料では、1-4,1-7,1-8,1-9 の内容について触れます。最低限この4つの項目には目を通してきてください。

* 集合の直積
* 集合族、ベキ集合
* 無限個の集合族の共通部分、和集合の演算
* 集合の濃度
* 可算無限集合、非可算無限集合
* 選択公理、位相空間 (別途資料を用意します。時間があれば少し触れます)

という流れで進めたいと思います。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2011年10月12日水曜日

「金融数理の基礎」第2回フォロー(追記)

今回の配付資料、前回問題の解答例(昨年度問題の解答はついていません)をイントラネットにアップしておきました。


また、授業で触れられなかった「写像と集合の計算規則の3.について証明の例を補足資料としてイントラネットにアップしておきました。演習の問3(1)(2)のヒントにはなるかと思います。


※授業のスピードについてのアンケートのガジェットを追加しましたので、投票してください(18日(火)の18:00まで投票可能)


写像と集合の関係についての説明が不十分でしたので、次回少しフォローしようと思います。


なお、授業中に雑談として触れた、自然数を集合論として理解する話については、ネタもとでもありますが、
小島 寛之『数学でつまずくのはなぜか』 講談社現代新書
が読み物として分かりやすく説明していると思います。

第1回課題レポートについて

第1回目の課題レポートをチェックしての講評です。

問3に関して手を着けている人は、(1)自分なりに分かりやすい説明を試みた人 (2)分からない点を説明しようとした人 (3)特別な状況で自分なりに問題を検討した人 に分かれていました。

(1)の人には、ぜひ「期待値」の部分を確率と絡めて解釈してほしかったのですが、そこを表現するのは難しかったようですね(それ自体がこの授業の後半で扱う話題であるわけですが)
(2)では、私の意図に沿った疑問点を提示してくれた人もいますし、うまく表現できないで苦悶した跡が見られた人がいました。いずれにしても「分からない理由」を分かりやすく説明するというのは、ある程度分かっていないとできないことなので、実は非常に難しいことです。
それを自分なりに再認識してもらうことが、隠れた出題の真の意図です。
(3)の態度は実は重要です。時間があれば、おそらく自分なりにもっと的確に状況を把握できた人もいたように思われます。一般的な内容を、特別な場合で確かめてみるということは至極大事です。
授業ではロジックのことばかりを重視しますが、問題解決の糸口が、簡単で特殊な場合について調べることにあるというのはよくあることです。

問4は、大学入試のネタであったので、解き方をご存じの方もいたかもしれません。入試問題としてはもう少し誘導となるヒントを出すことが多いので、類題を知らずにノーヒントで解くのは難しい問題ですので、分からなくても気にする必要はありません。


解いた人の中には、いくつかの典型的な組合せではできないことを主張していても、それで全てのパターンを調べたうえで「不可能」と結論づけているとは見なせない解答が多かったです。自分ではきちんと全パターンを考慮しているかもしれませんが、書かれている内容から全部のパターンをきちんと考慮したと判断できる内容でないといけません。そもそもすぐに思いつくような配置パターンで埋め尽くすのが可能なら、問題にはならないわけで、複雑な組合せだったらできるかも…という含みがあってこその問題です。


ポイントは、埋め尽くされたとしたらどういう性質が成り立っているか、つまり埋め尽くされた場合の必要条件を調べて、それが否定されることを示すのがよいでしょう。背理法の形でもよいですし、$p \Rightarrow q$ という命題の形で対偶を意識してもよいでしょう。




あと、昨年度の問題を解いた人は、それぞれチェックしています。

2011年10月11日火曜日

(受領確認)「金融数理の基礎」第1回分レポート

「金融数理の基礎」第1回分レポートの提出者は以下の通りです。

提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

IM11F001, IM11F004, IM11F005, IM11F006, IM11F011, IM11F020,
IM11F021, IM11F026, IM11F028, IM11F031, IM11F034, IM11F040,
IM11F041, IK11F007, IK11F011, IK11F014,

2011年10月6日木曜日

10/11(火)「金融数理の基礎」第2回:数学独特の記号、表現、論理、集合論(集合、写像)

第2回目は、「集合・写像」について、記号の使い方、いろいろな基本的概念の定義と、それらの基本的性質について確認していきます。


予定としては、


* 集合に関係する用語、記号
* 集合の基本的演算
* 写像に関係する用語、記号
* 写像と集合についての基本的関係

という流れで進めたいと思います。

 イントラネットにアップしておいた「集合・写像」予習用資料では、1-1,1-2,1-3,1-6 の部分に触れます。
特に、昨年度受講した方の反応では、写像(特に逆像について)が一つのヤマになるようですので、そこは少しフォローしたいと思います。
(予習用資料の[問題]も解いてみてください。)

ただし、板書の方は上記資料とは独立に行っていくので、予習用資料に書き込もうとせずに、板書用のノートを用意することを勧めます。



また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2011年10月4日火曜日

「金融数理の基礎」第1回フォロー

今回の配付資料イントラネットアップしておきました。
第2回・第3回の「集合と写像」の予習資料のファイルもおいてあります。

宿題レポートの課題は配付資料の問3と問4ですが、去年の問題を解いてもかまいません。

次回の授業の前後に教室で回収します。また、早めに提出できる人は共同研究室のレポート提出トレイに提出してください。
(学籍番号と氏名を忘れないこと)