2008年6月29日日曜日

7/2(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第13回:信用リスク(5)

第13回はデフォルトの依存関係モデル、および信用ポートフォリオのリスク評価について概説する予定です。

予定では、

  • 条件付き独立モデル
  • Copula モデル
  • デフォルト伝播モデル
  • Giesecke-Goldberg による top-down アプローチ・モデル
  • 複合Poisson 分布モデル→第14回に回します。
などを予定しています。
準テキストでは9.6~9.8節の部分に相当します。8.4~8.5 節の内容にも少し触れます。

「金融数理の基礎」第10回フォロー(更新)

配布資料はイントラネットにアップしておきました。

6月24日(火)提出の「金融数理の基礎」第8回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の17名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM05F023, IM07F029, IM07F044, IM08F007, IM08F010,
IM08F013, IM08F017, IM08F023, IM08F024, IM08F026, IM08F027,
IM08F028,IM08F030, IM08F037, IM08F038, IM08F039

stopping time について、まだよく理解できていない人がいると思いますので、
クイズを出しておきます。少し考えてみてください。
(定義に基づいて考えれば分かるはずです)

2期間2項モデルの設定で、次のように定義される τ のうち、stopping time となるのは
どれでしょうか?

(1) τ(HH)=1, τ(HT)= τ(TH)= τ(TT)=2
(2) τ(HH)=2, τ(HT)= τ(TH)= τ(TT)=∞
(3) τ(HH)=∞, τ(HT)= τ(TH)=2, τ(TT)=∞
(4) τ(HH)= τ(HT)= τ(TH)= 1, τ(TT)=∞

答えは、(2)(3) です

2008年6月26日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回分課題レポート【返却】

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回分の課題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

「金融数理の基礎」第8回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第8回分の宿題レポートを返却します。

今回はよくできていたので、単に○だけされている人が多いと思います。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回分課題コメント

第11回分の演習課題についてのコメントです。

取り組んだ人は少なかったですが、取り組んだ方はだいぶ善戦していたと思います。

問題1は、それぞれのパラメータで偏微分してもらえれば明快だと思いましたが、偏微分しなくても議論はできます。
ただし、ボラティリティσに関するところで、V_0 > D という条件を私が明示していなかったので、場合分けなどをして検討してくれていた人がいました。こちらで想定していなかったことにまで時間を費やさせてしまってすみません。しかし、一方で条件にきちんと留意した議論をしてくれることは頼もしく思えました。

あと、若干σで偏微分した後の整理した式が不正確な人がいました。結論には影響を与えていませんが。

問題2は、思った以上に大変な計算だと感じた人がいるかもしれません。
大まかな証明(計算)の流れとしては、
  • ロピタルの定理が使える形であることを確認し、それを利用して時間についての偏微分を行う
  • d_{1,t}, d_{2,t} → ∞ となることを示し、Φ(-d_{1,t})→0, Φ(d_{2,t})→1,Φ’(-d_{1,t})→0, Φ’(d_{2,t})→0 などを示す
  • ロピタルの定理を適用する
というものだと思います。説明不足あるいは計算の整理がされていない解答もありましたが、がんばって取り組んだ跡が見受けられました。

ロピタルの定理については、いろいろなヴァージョンがあると思いますが、
私の手元になるテキストによると以下のようになります。

(ド・ロピタルの定理)
a のある右近傍で微分可能な関数 f(x), g(x)(≠0) が x→a+0 のとき無限小であって、
lim_{x→a+0} f'(x)/g'(x) = A となるならば、 lim_{x→a+0} f(x)/g(x) = A
が成り立つ

7/1(火)「金融数理の基礎」第11回:アメリカン・デリバティブ(2)

第11回目では、メインテキストの4.3節の残り~4.5節を扱う予定でいます。
第12回でもアメリカン・デリバティブについて少し補足しようと思います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。
  • 停止時刻の定義とマルチンゲールとの関係
  • 経路依存する場合を含めた一般のアメリカン・デリバティブの定式化
  • 最適行使時刻による価格付けのアイデアと優複製との関係
  • 最適行使時刻の特徴付け
  • アメリカン・コール・オプションの性質

2008年6月25日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回フォロー

プレゼン資料と課題のファイルをイントラネットにアップしておきました。

第11回の課題を提出したことが確認できているのは以下の8名です。
(共同研究室に提出された人がいたとすると、そちらは確認していません)
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM07F016, IM08F017, IM07F029, IM08F024, IM08F026, IM08F027,
IM08F037, IK08F001

提出されなかった人は問2の計算をギブアップしたか、そもそも複雑な計算なだけに
スルーしたということでしょうか?

授業の最初に触れた、BFS2008のページはこちら
BFSのWorld congress は第1回がパリ(2000)、第2回クレタ島(2002)、第3回シカゴ(2004)、第4回東京(2006)です。
2010年は果たしてどこに?それはロンドンの最終日あたりにアナウンスされると思います。

「金融数理の基礎」第8回分宿題コメント

第8回分の宿題についてのコメントです。

計算ミスをした人、また解くべき問題を勘違いした人が若干いましたが、
テキストの定義や例題にそって計算すればよかったためか、
全体的によくできています。

今回の宿題を通じて本当に考えてほしいことは、
自分がやった計算の意味づけです。
状態価格(密度)を用いてデリバティブの価格付けをするという
行為はどういうことなのかを、よく復習しておいてください。

2008年6月23日月曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回課題に関する質疑

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回課題の財務指標作成について、受講生の方に重要な質問をいただきました。私の回答と交えて、紹介しますので参考にしてください。


Q1:「経営資本営業利益率」の計算式で、分母は今期の「経営資本」のみのようですが、前期との平均ではなくてよいのでしょうか?

A:本当は平均を使う方がよいと思うのですが、1期分の経営資本を作るのも面倒ですので、Excelの例では省きました。

Q2:「インタレスト・カバレッジ・レシオ=EBITDA÷支払利息・割引料」と定義が書かれていますが、「事業利益(EBIT)÷支払利息・割引料」という定義が一般的と思われます。償却前で見る方が良いのでしょうか?

A:「事業利益(EBIT)÷支払利息・割引料」が会計的な整合性を考えると、一般的だと思います(注:プレゼン資料ではこの定義を紹介していて、Excelでは EBITDAを分子に用いたもので計算しています)が、EBITの代わりに、CFの近似概念としてのEBITDA などを使ってみて、それで仮に説明がつくのであれば、それを使うことも良しとする立場です。

Q3:「有利子負債」の定義に、「受取手形裏書譲渡高」が含まれていますが、割引手形は利払いを伴いますが、裏書譲渡は利払いを伴いませんので外した方がよいのでしょうか?
(「借入金依存度」についても同様です。)

これは、私の会計知識不足からきているところです。
裏書譲渡分を入れない方がよいと思われれば、外してけっこうです
会計学者である白田佳子さんの「倒産予知の実務」を確認しましたが、
受取手形割引高だけを加算したものを定義にしています。


Q4:「売上債権回転期間」「買入債務回転期間」及び「棚卸資産回転期間」 についてですが、これらは効率性分析の1指標であるとともに、「売上債権」等が存在する平均的な期間を示したもので、直近の売上と比較する方が、指標の目的にあう印象があります。(中略)そういった観点から考えると、「回転期間」関連の指標はそれぞれ直近数ヶ月の影響しか受けませんので、前期末との平均を分子にするよりも対象決算期末の数字のみを使う方が良いように思われますが、いかがでしょうか?

A4:そちらの方が適切かもしれませんね

全体についての回答:基本的に、デフォルト判別に効果があれば指標の作り方に決まりがなくてもよい(もちろん、ある程度その意味するところを説明できないといけませんが)というのが私の立場です。
ただ、指標作りのヒントとして既存の指標はいろいろと参考になると思い、自分の経験も含めて紹介しました。

6/25(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回:信用リスク(4)

第12回は誘導型アプローチおよびクレジット・デリバティブ評価について概説する予定です。

予定では、

  • デフォルト・リスクのある金融商品の評価法
  • 誘導型モデルの概要
  • 強度モデルの数理
  • Duffie-Singleton モデル
  • Credit Default Swap(CDS), First-to-Default Swap の評価例
などを予定しています。
準テキストでは9.1~9.4節の部分に相当します。

「金融数理の基礎」中間試験の採点答案の返却

「金融数理の基礎」中間試験の採点答案を本日返却するよう手配します。

(採点した答案についてはコピーをとってあります)

中間試験の成績は全体の5割を占めることになっていますが、単に今回の点数に0.5をかけるという処理をするわけではありません。期末試験の難易度とのバランスをとって調整したいと思います。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点結果について質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年6月19日木曜日

6/24(火)「金融数理の基礎」第10回:アメリカン・デリバティブ(1)

第10回目では、メインテキストの4.1-4.3節をいくつか扱います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。
  • アメリカン・デリバティブの定式化(これまでのヨーロピアンのものとの違い)
  • マルコフ型のアメリカン・デリバティブの価格付けのアイデア
  • 停止時刻の定義とマルチンゲールとの関係
また、中間試験に関するコメントも少ししようと思っています。

2008年6月18日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回フォロー

プレゼン資料はイントラネットにアップしておきました。
KMV モデルを簡単に実装したExcelファイルもいずれアップします。
配付資料のアップは見送ります。

今回の演習問題をレポート提出する人は、次回の授業のときに提出してください。

「金融数理の基礎」中間試験採点コメント(速報2)

「金融数理の基礎」の中間試験は21名が受験しました。

略解と採点方針はイントラネットにアップしました。

全体の採点を終えました。(見直しは後でするので、最終結果は異なるかもしれません。)



いくつかコメントしておきます。

問題1は全部できていた人が多かったです。(1)で a=0 とした人がいて、ファイナンスのモデルとして負の金利はナンセンスであるという気持ちは分かるのですが、今扱っているモデルは、r>-1 が前提となる制約であり、「無裁定」という条件だけからは金利の非負制約を与えることはできません。

問題2は、(1)で計算ミスと問題の勘違いが若干見られましたが、よくできていました。(2)は「マルコフ過程の定義」とそれを示すために「独立性の補題」をどう使ったかがポイントですが、きちんとできている人は少数でした。g は f を使って表せるということは示していても、なぜそのように書けるかの説明が十分でないものが多かったです。あるいは、(2)はパスした人も多かったです。
(3)は過半の人ができていました。(4)は(1)で計算ミスした人は正答にいきつかないわけですが、計算過程がきちんと分かっている人には部分点を与えています。

問題3は、各指示にすべて整合するように証明を組み立てていけば、解答のバリエーションはほとんどなく、テキストの証明のような式になるはずなので、そこからはずれているものは結果として正しい変形でも減点しました。目立ったのは、(3)式のところで
Δ_n/(1+r)^nE_n[S_{n+1}/(1+r)] (E_n はリスク中立確率測度の下での条件付き期待値のつもり)
と変形して、(4) でE_n[S_{n+1}/(1+r)] = S_n と変形するというものです。
それは結果として正しい式ですが、
(4) で「割引株価過程がマルチンゲール」という指示を使うためには
Δ_nE_n[S_{n+1}/(1+r)^{n+1}]
という形で残しておいて、(4)では
 E_n[S_{n+1}/(1+r)^{n+1}] = S_n/(1+r)^n
と変形することが自然なので、先のような変形は(3)のところで減点しました((4)では結果的に答えてほしい式になっているので減点してません)

問題4 (1) は場合分けの解答が多くよくできていました。この問題は max の処理のところで場合分けをすることが要諦と考えますので、場合分けをせずに証明しているものはいずれも正解とは見なせないと判断して減点しています。示すべきことが自明に見えれば見えるほど、より素朴な手続きで示すことが肝心になります。
(2) もよくできていましたが、(1)の結果と「条件付き期待値の線形性」しかポイントはないので、「(条件付き期待値の)線形性」ということに言及していないものは厳しいと思いましたが減点しました。期待値の線形性は当たり前のように使うことがほとんどですが、それを使って証明する場合、ましてそれが最大のポイントであるようなケースでは、どういう事実を使っているかは言及してほしいです。
(3) は結果オーライにしました。答えだけを書いていた答案もあり、事実として覚えていただけか導出した結果だけを書いていたかわかりませんが、知識として知っていることも評価しました。
ただきちんと導出している答案も多かったです。
(4) は、(3)をひきずって F_0 = 0 を仮定している人がいましたが、それは仮定されていません。ただし設問のつながり方からして、不親切だったと思うのでそれについての減点はあまりしていません。説明不足の答案が多かったのですが、割引株価過程がリスク中立測度の下でマルチンゲールになることをどこかで使って結論を導出していることが分かるものはOKとしています。
(5) は、当てずっぽうで埋めた人が多そうだったので、部分的な正解をどう扱うか少し悩みましたが、1箇所合っていれば2点とすることにしました。また、解答が2通りあるので、点数が高くなる方の基準で採点しました。ただし、本来はきちんと導出できてこそ意味があります。


平均点は問題別に
 問題1:23.5点(/25点)
 問題2:17.1点(/25点)
 問題3:11.7点(/16点)
 問題4:19.3点(/34点)
となっており、全体の平均点は 71.6点(/100点)でした。

最高点は100点(1名)、あと90点台が2名です。

2008年6月16日月曜日

6/18(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回:信用リスク(3)

第11回~13回は、数理ファイナンス・アプローチに基づく信用リスク・モデルについて話をする予定ですが、第11回は構造型アプローチについて概説する予定です。

予定では、

  • 構造型アプローチ(+完全情報)の概要
  • Merton モデル、KMVモデル
  • 初到達時刻モデル、株式価値最大化モデル
  • 構造型アプローチ(+不完全情報)の概要と既存研究紹介
  • Duffie-Lando モデル
などを予定しています。
準テキストでは8.2節の部分に相当します。

私の方で11~13回分のレクチャーノートを用意したいと思っています。

あと、ごくせんの裏番組ですが、こんなドラマをやっていましたね・・・

2008年6月14日土曜日

6/17(火)「金融数理の基礎」第9回:中間試験

第9回目は、中間試験です。

日時と場所:6月17日(火) 20:10~21:10(正味60分) 第3講義室
※遅刻は試験開始30分後まで認めます(つまり20:40まで)
※追試験の予定はありません(ただし、
正当な理由があり、なおかつ
試験開始1時間前までに当日の受験が不可能であることを中川に連絡してきた場合のみ、追試験の可能性を検討します。ただし、仮に追試験をした場合の成績評価は「学生便覧・講義要綱」の一橋大学大学院国際企業戦略研究科細則の第18条(追試験)3に倣って、得点の8割とします)

試験範囲と出題形式

  • 試験範囲は、メインテキストの第1章と第2章(授業中の私の脱線部分は含みません。つまり、解答の根拠をメインテキストのP.1~P.62 に求められるような出題になります。
    ただし、解答においては、テキスト中で使われていなくても、私が授業で使っていた略号や記号の使用は正しい使われ方をしていれば認めるつもりです
  • 全体の8割は、メインテキストの例題や練習問題およびその類題を出題する
  • 参考書やノートなどの参照は不可とする。また卓上計算機などの使用も不可とする

2008年6月12日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第10回フォロー(追記)

配付資料とプレゼン資料はイントラネットにアップしておきました。

演習用データについて何件か質問をいただいたので、
insample の方だけ、コード名と対応する企業名および P に該当する決算年月
をオープンにしました。補足ファイルをイントラネットにアップしておきました。
あと財務項目の数字の単位は「百万円」です。

分析ツールについて不具合等あったら連絡をください。

また、線形判別分析というわけではないですが、
財務指標を用いてデフォルト分析するための参考書として
例えば、こちらを挙げておきます。
必ずしも同書の議論や手法に同意するわけではないですが、会計的な観点は財務指標の作成や選択の際に参考になると思います。上の本が入手できなければ、この著者の他の本でも良いと思います。

あと、最近こちらの本が出版されました。
LGDやEADの推計についての話などが載っています。

あと、例の翻訳本は7月中旬の出版を目指して追い込みに入っているようです。
(私の責任範囲の仕事は全うしました)

実は別の本の翻訳にも関係しているのですが、そちらも追い込みのはずですが、どうなっているのでしょうか?

「金融数理の基礎」第8回フォロー(追加)

配付資料はイントラネットにアップしておきました。

第8回分の宿題レポートは、6/24(火)の授業時に提出するか、前もって共同研究室に提出しておいてください。

授業内容についてのフォローですが、配布したプリントの状態価格についての命題1のブランクのところについてコメントしておきます。状態価格をすべてのstate ωについて和を取るとどうなるか?ということですが、

答えは、1/(1+r)^N つまり、状態によらず時点 N において 1 受け取れる安全資産(要するに無リスクの割引債)の時点 0 での価格となります。
(これは、状態価格密度の期待値でもあります)



Duffie の本の 3rd. ed. の参考文献リストに加えてもらっている私の論文(修論を手直ししたもの)ですが、
そこで考えている問題は「Vasicek とか Cox-Ingersoll-Ross だとか、いろいろな短期金利のモデルが提唱されているが、きちんとした均衡モデルの枠組みで説明づけられる金利モデルのクラスはどのようなものか?」というものです。
そこでは state price process を用いて表示した割引債や株式の価格式を使って議論しています。
結果としては・・・ほとんどの金利モデルは均衡モデルの枠組みで説明できてしまうという、ありがたいのかありがたくないのかよく分からない結果になっています。

#個人的には、今月はサッカー月間という感じです。

2008年6月5日木曜日

6/11(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第10回:信用リスク(2)(追記)

第10回目は、判別分析によるデフォルト判別の話をします。理論的なところだけでなく、それを財務指標を変数としてデフォルト判別に応用するということを意識した話をしたいと思います。
また、第2回目のレポート課題をアナウンスしたいと思います。

予定としては、

  • 財務指標の例と作成上の注意(Excel で実際に作ってみる予定)
  • 線形判別分析の理論的背景
  • 重回帰分析を応用した判別分析
  • 第2回レポート課題について
なお、第2回レポート用のデータをイントラネットにアップしておきました。
余裕がある人は、[original...] というB/SとP/L の財務項目数値のデータを用いて、[fin_ratio...]という財務指標を計算するためのシートで各指標を計算してみてください。私の方で用意した定義は1行目の指標名のところにコメントしてあります。

ノートPCを持参できる方は、事前にデータをダウンロードしておいてください。
授業中に少し作業もできると思います。

それから分析用ツールはベータ版として
Excel2003(2000,2002でも動作可能?)用とExcel2007用を
イントラネットにアップしておきます。

とりあえず[コントロール]シートのボタンを押して動作するかどうかを
チェックしてください。
最低限、マクロを実行可能にしないと何も動きません。

不具合の情報などありましたら連絡ください。ただし、回答や対応は週明けに
なってしまうと思うのでご容赦ください。
一応簡単な対策マニュアルもおいておきます。少しでも参考にしてください。

「金融数理の基礎」第6回宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第6回宿題レポートを返却します。

また、今回は略解をイントラネットの講義の第6回目に追加しておきました。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

「金融数理の基礎」第6回宿題コメント(少し追加・修正)

第6回分の宿題についてのコメントです。
略解は近いうちにアップする予定です。

以前に比べると、読みやすいレポートが増えてきました。
それでも、説明不足に感じたり、議論をもっと整理してほしいと思うところがあります。

例えば式変形を淡々と行っている解答がありますが、一つの等号でつないでいるところに何も説明せずに複数の性質を使って変形していたりするのは、こちらとしてはきちんと理解しているのか、大事な議論をうやむやにして結果につながるように辻褄をあわせているのか判断に戸惑います。
式変形がいたずらに長くなるのが嫌であれば、「○○と△△、および□□により(or を用いて)」という説明を入れてから、複数の性質を使った変形をしてほしいです。

また、全体としては議論に不備はないとしても、少し見直せばもっと短く端的に説明できる解答も多いです。
テストは時間との戦いなので、議論を整理して解答せよというのは厳しい要求ですが、レポートは(建前としては)検討する時間が十分あるので、自分の思考を整理してから解答をまとめてほしいと思います。
このコメント自体は、講義する自分自身への戒めでもあるのですが・・・

問1:(1) E_n[M_{n+1}]=M_n を示すところは多くの人が良くできていましたが、あともう少し説明 or 詳しい式変形をしてほしいという解答が多かったです。
E_n[X_{n+1}] = 1/2*1 + 1/2*(-1)
と条件付き期待値の式から直接具体的な期待値の計算をしている人が多かったです。
条件付き期待値の定義に沿えば、それも正しいのですが、どちらかというと
E_n[X_{n+1}] =E[X_{n+1}]
と条件付き期待値の独立性の性質から、ただの期待値計算に帰着するというのをはさんでもらう方が、この問題の解答についてはベターだと思います。

また、{M_n} が適合過程であることについて言及する人が増えました。ただ、それが十分な説明であると見なせる人は少数でした。
 
(2) 数学的帰納法を用いた人と、巧妙な式変形を用いて直接示そうという人と、ギブアップした人に別れました。変形のバリエーションは様々ですが、直接式変形する解答の割合が高かったです。
証明すべき式が与えられていて、n と (n+1) の関係に手がかりがあるようであれば、数学的帰納法を試みるのが自然な選択かもしれません。ただ、数学的帰納法にせよ直接式変形するにせよ、対称ランダムウォークの特別な性質をうまく利用できるかどうかがポイントになります。

あと、n=0 の場合に I_n = 1/2(M_n^2 - n) が成立することに言及していない人が多かったですが、触れておく方が議論しては完璧です。n=0の場合だけは自明すぎるため、逆に対称ランダムウォークの式変形では正当化できないので。

(3) 実は、前回の宿題であった練習問題6においてΔ_j を M_j とすれば、{M_n} がマルチンゲールであることを証明しているので、マルチンゲール変換の特別な形と見なせて、前回の宿題(一般論)から結論が得られる、という解答が隠れたベストアンサーだと思って出しました。(この問題だけは私が付け足したものです)

証明は、I_n の定義そのものから前回の宿題とほぼ同じ議論をしているものと(2)の式を使って示すものの2通りに分かれていました。この問題を(2)の前においておけば、おそらく全員が前者のアプローチをとったと思いますが、いちおうこれも意図的に(2)の後において、どっちを選択するかを見るつもりでした。

こちらも{I_n} が適合過程であることについて言及する人が増えました。

(4) は手つかずの人も多く、解いている人の中でもまだMarkov性を十分理解していないと思われる解答が見られました。
任意の時点 n、任意の関数 f に対して、ある関数 g が存在して
E_n[f(I_{n+1})] = g(I_n)
が成り立つことを示すことになります。
このテキストに沿ってMarkov性を示すには、f を用いて g を具体的に表現するのが最も明解な答え方になります。

g を得ている人でも見た目は I_n と M_n の関数のままで解き終えている人がいました。M_n は I_n で表されることは(2)から分かるので、そこで議論を止めたかもしれませんが、M_n は I_n で表すことができますから、最終的に I_n の式だけで表すところまで話を進めてもらうのが肝要と考えます

また、(2)をヒントにした人でも、M_n = "I_n の関数" と表すときの平方根の処理でマイナスの場合を忘れてしまっている人がいました。(結果としてはマイナスを考慮してもしなくても同じなのですが)
全体的にみて、最後の符号処理の議論を含めてきちんと g の表現式を得た人は一人だけでした。

あとテキストの例題のように、I_{n+1}/I_n という比を考えようとしている人がいましたが、株価過程の場合とは異なり、この設定では「I_{n+1} = I_n × 何か」という関係になっていないので比をとる意味はあまりなく、むしろ差に注目する方が自然です。

2008年6月4日水曜日

6/10(火)「金融数理の基礎」第8回:状態価格

第8回目では、メインテキストの3.1-3.2節をいくつか扱います。
時間的には 3.1節の内容を押さえて 3.2 節は重要なところをピックアップして説明する感じになると思います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • 確率測度の変換の数学的意味
  • Radon-Nikodym 微分と状態価格密度と状態価格の関係
  • 状態価格のファイナンス的意味
また、3.3節は自習部分とし、期末試験の範囲にも含めません。

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第9回フォロー

配付資料とプレゼン資料はイントラネットにアップしておきました。
中間試験の略解もイントラネット(前回のところ)のファイルを更新しておきました。
問5の簡単な解説をつけてあります。

簡単な Regression Tree を Excel で実装した話をしましたが、
確か最適な指標と閾値を見つけるロジックは C 言語でプログラムを書いて、
それを DLL として、Excel との間で値をやりとりするようなしかけにしたと思います。
Excel と DLL の間の値の受け渡しがうまくいかず、何度も Excel ブックが途中で落ちるという経験をしました。

Excel については、授業で話したように得られた tree をきれいに表示するために、セルの位置指定や
さらに分岐があるかどうかの場合分けのロジックを正確に書くのに苦労した記憶があります。

作っていたときは大変でしたが、楽しく作業したことを思い出します。
残念ながらファイルは会社に残してきて、私の手元にはありませんが。

あと、今日の最後に紹介した本はこちらです。

「金融数理の基礎」第7回フォロー

中間試験情報の入った配布資料はイントラネットにアップしておきました。

6月3日(火)提出の「金融数理の基礎」第6回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の19名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM07F029, IM07F031, IM07F044, IM08F007, IM08F010,
IM08F013, IM08F017, IM08F020, IM08F023, IM08F024, IM08F026,
IM08F027, IM08F028, IM08F030, IM08F037, IM08F038, IM08F039,
IM08F040

授業のフォローをまず1件だけ。

2章の練習問題9の設定で、私が「株が下がったときに金利が上がる設定になっているのは妥当だ」という趣旨の発言をしたことについて、それは反対で「株が下がれば金利は下がるのでは?」という質問をいただきました。

ご指摘はごもっともです。教科書的には
「株が下がる→株の売り圧力が大きい→株を売った資金が債券に流れる→債券が買われる→債券価格が上がる→金利が下がる」
という投資資金が株と債券のどちらに流れるのかという観点で整理できると思います。
実際に、最近の日本のマーケットではこうした傾向が伺えるというご指摘をいただきました。

ただ、グローバルな視点で見ると、問題の設定のように、もともと無リスク金利が25%の国であれば、株価が半分に落ち込むような状況では、その国の(そもそも安い)債券も同時に売られてしまい金利が50%に上がるというのも不思議ではないと思います。これは極端な例ですが、経済が弱いときは株安と債券安(つまり金利高)が同時に起こることも珍しくないと思います。
ちなみに、私が大学生の頃に読んだ石ノ森章太郎の「マンガ日本経済入門」の一コマに「金利は株価の(株価は金利の?)逆数ですからね」というニュアンスの台詞があったことを記憶しています。
そのせいか私は株が下がれば金利は上がるという図式が先に思い浮かんでしまいます。

2008年6月3日火曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」中間試験の採点答案の返却

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」中間試験の採点答案を返却します。

(採点した答案についてはコピーをとってあります)

100点満点で採点して、平均点は69.6点、最高点は91点でした。

中間試験の成績は全体の3割を占めますが、単に今回の点数に0.3をかけるという処理をするわけではありません。2回分のレポートと期末試験の難易度とのバランスをとって調整したいと思います。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点結果について質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年6月2日月曜日

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」第6回課題レポート【返却】

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」第6回課題レポート(金利ポートフォリオ見直し)
を返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

コメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

また、提出された方の提案したポートフォリオ一覧をイントラネットの第7回のところにアップしておきました。

「金融数理の基礎」第5回宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第5回宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。