2008年6月23日月曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回課題に関する質疑

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回課題の財務指標作成について、受講生の方に重要な質問をいただきました。私の回答と交えて、紹介しますので参考にしてください。


Q1:「経営資本営業利益率」の計算式で、分母は今期の「経営資本」のみのようですが、前期との平均ではなくてよいのでしょうか?

A:本当は平均を使う方がよいと思うのですが、1期分の経営資本を作るのも面倒ですので、Excelの例では省きました。

Q2:「インタレスト・カバレッジ・レシオ=EBITDA÷支払利息・割引料」と定義が書かれていますが、「事業利益(EBIT)÷支払利息・割引料」という定義が一般的と思われます。償却前で見る方が良いのでしょうか?

A:「事業利益(EBIT)÷支払利息・割引料」が会計的な整合性を考えると、一般的だと思います(注:プレゼン資料ではこの定義を紹介していて、Excelでは EBITDAを分子に用いたもので計算しています)が、EBITの代わりに、CFの近似概念としてのEBITDA などを使ってみて、それで仮に説明がつくのであれば、それを使うことも良しとする立場です。

Q3:「有利子負債」の定義に、「受取手形裏書譲渡高」が含まれていますが、割引手形は利払いを伴いますが、裏書譲渡は利払いを伴いませんので外した方がよいのでしょうか?
(「借入金依存度」についても同様です。)

これは、私の会計知識不足からきているところです。
裏書譲渡分を入れない方がよいと思われれば、外してけっこうです
会計学者である白田佳子さんの「倒産予知の実務」を確認しましたが、
受取手形割引高だけを加算したものを定義にしています。


Q4:「売上債権回転期間」「買入債務回転期間」及び「棚卸資産回転期間」 についてですが、これらは効率性分析の1指標であるとともに、「売上債権」等が存在する平均的な期間を示したもので、直近の売上と比較する方が、指標の目的にあう印象があります。(中略)そういった観点から考えると、「回転期間」関連の指標はそれぞれ直近数ヶ月の影響しか受けませんので、前期末との平均を分子にするよりも対象決算期末の数字のみを使う方が良いように思われますが、いかがでしょうか?

A4:そちらの方が適切かもしれませんね

全体についての回答:基本的に、デフォルト判別に効果があれば指標の作り方に決まりがなくてもよい(もちろん、ある程度その意味するところを説明できないといけませんが)というのが私の立場です。
ただ、指標作りのヒントとして既存の指標はいろいろと参考になると思い、自分の経験も含めて紹介しました。

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