2008年7月31日木曜日

「金融数理の基礎」期末試験答案【返却】

「金融数理の基礎」期末試験の採点答案を返却します。

(採点した答案についてはコピーをとってあります)共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室のドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、8月8日(金)までに直接中川まで連絡をください。

2008年7月30日水曜日

「金融数理の基礎」期末試験採点コメント(速報2)

「金融数理の基礎」の期末試験は19名が受験しました。

略解はイントラネットにアップしました。

全体の採点を終えました。(見直しは後でするので、最終結果は異なるかもしれません。)

平均点は問題別に
 問題1:37.6点(/40点)
 問題2:26.7点(/30点)
 問題3:22.8点(/30点)

となっており、全体の平均点は 87.1点(/100点)でした。最高点は99点(1名)で、90点台は全部で11名です。

また、期末試験で挽回した人が多かったこと、期末試験は実質的に中間試験の範囲もカバーしていたことですし、期末試験で挽回した人のがんばりは評価する意味で、前にも使ったことのある変換式ですが、最終成績は
 min(100, roundup(max(0.5×中間得点+0.5×期末得点, 期末得点), 0)+平常点)
として算出することにします。
平常点は、宿題の提出状況・出来具合に応じて、0~4点を与えました(今回の試験を受けた人については2点~4点に分布しています)。

最終結果ではありませんが、現状では
 A(80点以上) :16名、B(70~79):3名
という分布になりました。ICS は成績表に得点が載らないようですが、
上の計算式だと、100点評価の人は4名います。

以下、簡単なコメントです。

問題1はだいぶよくできていました。計算過程が書かれていてもそこは採点対象にしていません。
約分しきれていないものは、1点減点してあります。
間違いの中では、(5)のアメリカンコールの価格の計算ミスがやや多かったです。アメリカンとはいえ、コールはヨーロピアンと同じになるので、(3)ができていれば、(5)もできるはずだと思ったのですが。

問題2も比較的よくできていました。
(2)は間違っていても、計算過程が書いてあり、間違いの箇所を確認できれば、その度合いに応じて部分点を挙げています。
(3) は解答が2種類ありますが、どちらか一方でも正解としました。誤答については、1カ所しか間違えていなくても、その解答が停止時刻になっていないものは5点減点しました。間違えていても停止時刻になっていれば2~3点の減点にとどめています。

問題3の(1)は、定義は比較的よくできていました。後半の意味づけの問いについては言葉では書けていますが、数式の展開をもって示してほしいところなので、リスク中立評価式を用いていないものは減点しています。また、説明の文章が分かりにくいものや適切な用語法でないものなども場合によっては減点しました。

(2) は不等号の向きは全員正解でした。後は細かいミスで議論に影響するものは度合いに応じて減点しています。

(3) のポイントは、条件付き期待値の既知量の括りだしと独立性の性質を使って、X_{n+1} という $n+1$ 回目のコイントスの結果に依存する変数の(ただの)期待値の計算に帰着するところと考えます。
そこで、言葉で「条件付き期待値の既知量の括りだしと独立性の性質」の内容に言及していなければ、それぞれ1点ずつ減点しました。
また、手つかずの人も若干いました。

2008年7月28日月曜日

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」期末試験答案【返却】

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」期末試験の採点答案を返却します。
(採点した答案についてはコピーをとってあります)

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室のドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、8月8日(金)までに直接中川まで連絡をください。。

7/29(火)「金融数理の基礎」期末試験

期末試験のアナウンスです。

※試験前に授業評価のアンケートを実施します。

日時と場所:7月29日(火) 20:10~21:10(正味60分) 第3講義室
※遅刻は試験開始30分後まで認めます(つまり20:40まで)
※追試験の予定はありません(ただし、
正当な理由があり、なおかつ
試験開始1時間前までに当日の受験が不可能であることを中川に連絡してきた場合のみ、追試験の可能性を検討します。ただし、仮に追試験をした場合の成績評価は「学生便覧・講義要綱」の一橋大学大学院国際企業戦略研究科細則の第18条(追試験)3に倣って、得点の8割とします)

試験範囲と出題形式

  • メインテキスト(S.E.シュリーヴ「ファイナンスのための確率解析I」)の第3章の3.1, 3.2節(練習問題は1~5)、第4章全体、第5章の5.1~5.3節(練習問題は1~5)の内容に基づいて出題する
  • ただし、メインテキストの第1章, 第2章の本文の内容は既知とし、第1章, 第2章に関連する問題も一部含まれる
  • 参考書やノートなどの参照は不可とする。また卓上計算機などの使用も不可とする

2008年7月25日金曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」レポート課題講評

提出いただいた2回分のレポートの採点を終えました。
(のべ4時間くらいかかりました)

試験や平常点も加味した最終成績については(多少見直しするとは思いますが)、レポート提出者は全員合格です。
(試験負担とのバランスで、レポートの方は若干甘いかな?という採点かもしれません)
課題1:33業種インデックス・ポートフォリオの95%VaR,95%ES の算出およびその考察など

さすが社会人大学院生というべきか、力作が多く、興味深く読ませていただきました。

論理性に関しては10点中7点を基準点にして、課題の要求に対して適切に答えられているかを確認しました。また、分散共分散法による VaR を俎上にのせて議論しているときに、リターンの正規性についての検定などの統計的議論やバックテストについての数理的な考察を行っていれば、加点しました。

構成力については10点中7点を基準点にして、図表の使い方が適当か、具体的に用いた計算方法などが過不足なく説明されているか、単純に読みやすい構成か、などを考慮して加点しました。

シャープ・レシオの「シャープ」を Sharp と書いている人がいましたが、Sharpe(ノーベル経済学賞受賞者ですね)が正しいです。特に減点していませんが。
あと、三浦先生の授業のせいか、Shapiro-Wilk 検定で日次リターンの正規性を検定していた人が目立ちました。
その一方で、ヒストリカル法の場合でも適用するための前提となっている、リターンの独立性についてはあまり言及されていませんでした。授業でもスルーしたところでしたが・・・その辺は目をつむっています。



そのほか、ポートフォリオ構築のアイデアなどが独創的と見なされた(なおかつ説得力を感じた)ものについては1点加点しました。仮想ポートフォリオのボーナスは、絶対リターンが全員マイナスだったので見送りました。

課題2:線形判別モデルの構築と検証用データの判別

こちらも力作が多かったのですが、課題1のレポート比べると、若干読みにくいものが多い印象でした。
あまり重要な情報とは思えない表が本文中にたくさん挿入されていたり、重要な主張が長い説明の後に述べられていたりしていて、そうした印象を強めたかもしれません。

ちなみに、検証用データのうち、もともとデフォルト分類のサンプルから取り出したのは、
Y1, Y3, Y7 の3つです。
検証用データの会社名はイントラネットにアップしておきます。

この3つだけをピタッと当てたレポートはありませんでしたが、この3つ+1つというかなり精度のよい判別をしたレポートが2編ありました。
「(デフォルト判別正答数)-(デフォルト判別誤答数)」が1以上の人には1点あげました。

論理性に関しては10点中7点を基準点にして、課題の要求に対して適切に答えられているか確認しました。また、選択した指標と推定された係数の符号関係についての考察、変数選択の方法の説明、(指標数が比較的多い場合には)多重共線性の確認、などをきちんとしているか、などを考慮して加点しました。

構成力については10点中7点を基準点にして、図表の使い方が適当か、単純に読みやすい構成か、などを考慮して加点しました。

また、指標を独自に提案したり、説明変数の選び方に独自性があり、そのファイナンス的あるいは会計的な意味づけがきちんとされていて有効であると判断した場合にはプラス・αとして加点しました。
(新しい指標についてネーミングに疑問をもったものがありましたが、不問にしています)

特に気になったこととして、
「有利子負債」などの金額そのもの(規模指標)を説明変数として採用しているレポートが多かったです。確かに、規模指標は信用力の尺度として優れているのですが、そのまま用いると係数の値が異常に小さく推定されてしまいます。P-値などで有意であることはわかるかもしれませんが、他の指標と値の水準を合わせる(本来であれば、平均を引いて標準偏差で割るなどの規準化するのが有効かも知れません)ようにするなど一工夫が必要だと思います。
レポートでも係数のところを「0.000000」 と表示しているものもあり、これでは読み手に不親切です。
また、有利子負債の場合は、いろんな業種が入っていると単純に有利子負債額の大小と信用力を結びつけるのはあまり有効でないという気もします(これは個人的な見解ですので、採点には影響させていません)。

また、「買入債務回転期間」については、単独で見た場合には、これが大きい値の方が「ツケで買い物できるくらい信用がある」ということを意味するため、Z スコア(大きいほど安全)への貢献という点からすると係数の符号は「正」であることが理屈の上では望ましいというのが私の考えなのですが、反対の解釈をしているレポートもありました。その意味で指標の符号が妥当かどうかをきちんと論じることは今回のレポートにおいて重要なことだと考えましす。


指標選択についても、いろいろなアイデアが提示されていました。
ただ、個人的に気になったのは、最初から定性的あるいは個人的判断で絞りすぎているものです。
もちろん、経験などを活かして絞り込むこと自体は悪くないのですが、今回の財務データでもこれまでの見方が通用すると言えるかどうかは平均値や中央値の比較などでもよいので、定量的に確認してほしいと思いました。
財務データだけを頼りに定量的に全て処理しようという立場も問題ですが、経験や俗説だけでトップダウンで判断しすぎるのも問題だと思います。

特に、これから修論を書こうとするときは、業務の経験とかがかえって邪魔をして、重要な論点を自明としてしまったり、また気にも留めなかったりして、見過ごしてしまう可能性がありますので注意してください。データを前にしたときには、自分の常識を一度疑って分析してみることも必要だと思います(これも受け売りですが)。

2008年7月23日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」期末試験コメント(速報2)

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の期末試験は12名が受験しました。

全体の採点を一通り終えて、最初の方に採点した人と最後の方に採点した人との基準のゆらぎを補正しました。
(見直しは後でするので、最終結果は異なるかもしれません。特に
記述部分はもう一度検討したいと思います)

平均点は
 計算問題が23.58点(/40点)、最高点は35点(1名)
 記述問題が50.33点(/60点)、最高点は60点(2名)
 全体では、73.92点(/100点)、最高点は93点(1名)
でした。

略解はイントラネットにアップしました。

全体講評は改めてしますが、目立った点だけメモします。

問1は、意表を突いた出題だったのか、きちんと全部できている人は一人だけでした。(i)はD/V_0なのですが、V_0/D と分子分母が反対のものが間違いとしては多かったです。
(ii) は負債のペイオフが min{V_T,D} = D - max{D-V_T,0} = D - (D - V_T)^+
となることに注目すれば、デフォルトなしの割引債をロングし、ヨーロピアン・プット・オプションをショートするポジションと見なせることから解答が得られます。
(i) は 2点×3, (ii) は 3点×2 です

問2は、比較的よくできていました。(iii)の近似の議論の説明不足or適切でない説明には多少減点しました。
(i) 4点、(ii) (iii) 各5点

問3は、(i) は比較的よくできていました。(ii) は変化球的な出題でしたが、きちんとできている人はいませんでした。部分点を適当に与えています。13回目の授業の課題との関係でいうと、0≦p_{AB}≦p(上のbar は省略)が言えることと、0 < p <0.01 という仮定から示すことができます。
(p > 0 については問題文で明示していませんでしたが、p = 0 とすると、Y^A,Y^B の分散が 0 になり、相関係数を定義できなくなるので、自明としました。ただ、p >0 とした方が混乱させずに済んだと思います。すみません)

あるいは、以下のような考え方もできます。

相関係数の意味から考えると、相関係数 1 のときは、Y^B = aY^A + b (a>0) という関係が成立するのですが、取り得る値を考えると、Y^B = Y^A となる場合しか考えられず、そうなるとデフォルト確率について 2p = p が成立しなければならず、そうなると p=0 でなければならず不適となります。

一方、相関係数 -1 のときは、Y^B = aY^A + b (a<0) という関係が成立するのですが、取り得る値を考えると、Y^B = 1-Y^A となる場合しか考えられず、そうなるとデフォルト確率について 2p + p=1 が成立しなければならず、そうなると p=1/3でなければならず、p<0.01 の仮定から不適となります。

(i) (ii) 各7点

問4については、(A)5名 (B)3名 (C)5名 (D)10名 (E)2名 (F)1名 (G)10名
という分布でした。20点×3という採点で、基礎点としてそれぞれ10点を与えています。

(A) は等分散性の仮定については全員指摘していましたが、そこからどうして線形の判別式が出てくるかの明解な説明がされていない解答がありました。数式群のヒントをうまくつかってほしいところでした。

(B) 0で割るエラー値や小さい値で割る異常値が現れやすいこと、事業利益が赤字の場合、単純にインカバが大きいほど安全性が高いという単調性が満たされない、という2点を挙げてほしいと考えてました。この問題を選んだ人の得点は皆高いです。

(C) 数式群のヒントを使って、V_0とσ_V の2つを未知パラメータとして Black-Scholes 式などから求めるということに触れてほしいという意図です。

(D) 用語群のヒント「可予測な停止時刻、接近不可能な停止時刻、信用スプレッド(が残存期間が0に近づくと0に収束してします)」を3つうまく使っていれば、全体の説明に不備があっても高い点を与えています。ただ、後半の説明が不十分なものが目立ちました。

(E) (F) は解答する人が少なかったですが、数式群のヒントを適切に使えている人は1名だけでした。

(G) セルに分割してセルごとにリスクを計測する点を強調している人がいましたが、それ自体は LDA とは直接関係ありません。ポイントは、損失頻度と1件あたりの事故損失額をそれぞれ適当な分布でモデル化し、両者を組み合わせて(複合ポアソン分布に従う)ある期間内の累積損失額の 99.9%VaR をリスク量とする、という内容がほしいところです。上記のことに触れていれば、多少文章がおかしいところには目をつむって満点をあげています。

ファイナンシャル・リスク・マネージメントの課題レポート

ファイナンシャル・リスク・マネージメントの課題レポート2つの提出を確認できているのは以下の12名です。

IM07F023, IM07F029, IM07F031, IM07F044, IM08F017, IM08F023,
IM08F024, IM08F026, IM08F027, IM08F037, IM08F039, IK08F001

期末試験の受験者と一致しましたので、特に連絡がなければこの12名を成績評価対象者とします。

レポートの採点は週末にかけて行います。

試験結果(60点分)とレポート(40点分)に平常点(宿題の提出状況)を+αで加味して
最終的な成績を、28日(月)には確定させようと思います。

2008年7月22日火曜日

「金融数理の基礎」第14回フォロー

配布資料は訂正版をイントラネットにアップしておきました。
(他にもミスプリなどあるかもしれませんが)

Excel で二項モデルのパスを表示させるツールを見せていたときに、
分割数を増やしていくと、スケーリングの効果で空間方向の振幅幅が小さくなるというようなコメントをしましたが、よく考えてみるとおかしなコメントでした。乱数で生成させたパス1つ1つで確率過程の振幅を論じること自体がもちろんナンセンスなのですが、パス1つ1つから伺えるおよその振幅の大きさについても、リアルに t だけ時間が経過したときのパスの「振幅の大きさ(=時点 t でのランダムウォークの標準偏差)」はおよそ √t になるということは、分割数には依らず言えることです。
ということで、分割数を多くしてもリアルな時間軸を固定している限り、振幅は見た目で小さくなることはありません。
混乱させるコメントをしてすみませんでした。

M1ゼミ(6月・7月分)

S. E. Shreve, "Stochastic Calculus for Finance II: Continuous-Time Models"
(長山いづみ他訳「ファイナンスのための確率解析II-連続時間モデル」)

の輪読をしているゼミの6月分、7月分のサマリーです。

6月2日(月)第4回:3章の練習問題3.4, 3.5, 3.8 をやりました。

6月9日(月)第5回:4.1節から4.3節にかけて伊藤積分の定義と性質のところを2名の方に発表してもらいました。
本当は、L^2空間の収束の議論をきちんとやるべきところですが、そこはスルーしました。

6月16日(月)第6回:4.4節の伊藤の公式(テキストでは、Ito-Doeblin の公式となっていますが)のところを2名の方に発表してもらいました。
前半の伊藤の公式の証明に関するところより、後半の応用の方にウェイトをおきました。

6月23日(月)第7回:4.5節のBSM方程式のところを2名の方に発表してもらいました。
前回の伊藤の公式の練習問題のような形で取り組み、Greeks の計算にもトライしました。

6月30日(月)第8回:4章の練習問題4.5, 4.7, 4.8, 4.12 をやり、時間が少し余ったので 4.19 にも挑戦してもらいました。4.6節と4.7節を飛ばしたので、4.19を解くのに必要な「積の公式」と「Levy の定理」についてやっていなかったので、ヒントとして少し補足しました。

7月7日(月)第9回:5.1節から5.2節にかけてギルサノフの定理と測度変換の影響について、2名の方に発表してもらいました。日本の研究者としては、Cameron-Martin-Maruyama-Girsanov の定理と呼びたいというような話もしました。

7月14日(月)第10回:5.3節から5.6節の4つの節を4名に分担して発表してもらいました。時間の割に発表の分量は多めだったのですが、とりあえず5章までの重要な内容は読んだというアリバイを作りました・・・

「金融数理の基礎」第12回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第12回分の宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年7月21日月曜日

7/22(火)「金融数理の基礎」第14回:連続モデルへ

第14回目は、期末試験範囲ではありませんが、二項モデルの極限として Black-Scholes モデルが現れる部分について概説をしたいと思います。

当日資料を配付して、それにそって説明していきますが、Shreve の第2巻を持っている人は、3.2節あたりの内容になります。最後は、有名なヨーロピアン・コール・オプションの価格式を導出して授業を終わりにしたいと思います。

2008年7月16日水曜日

「金融数理の基礎」第13回フォロー

配布資料はイントラネットにアップしておきました。

7月15日(火)提出の「金融数理の基礎」第12回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の14名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM07F029, IM07F044, IM08F007, IM08F010, IM08F013,
IM08F023, IM08F024, IM08F026, IM08F027, IM08F028, IM08F030,
IM08F037, IM08F039

脱線話として、子供の数の認識の話をしましたが、その元ネタはこちらの本です。
この本の著者は、私の大学受験時代には受験数学のカリスマの一人で、今は経済学部の先生としていろんな本を出版しています。
数学部分をフォローするのに少し骨が折れるかもしれませんが、夏休みに読む本としてこちらの本もお薦めしておきます。

あと、数学における「原理」という用語の使われ方について質問がありましたので、少し調べてみましたが、腑に落ちる説明はありませんでした。
あくまでも私見ですが、数学における「○○の原理」と呼ばれるものは、公理や定義から証明さえるべき定理の一種にすぎないけれども、非常に汎用性が高く、その定理からさらに数多くのいろいろな命題が証明できるものが多いように思います。
そういう定理全てが「原理」と呼ばれるわけではありませんが、誰かがそれを principle と呼ぼうと言い出して、それに多くの人が同意された場合に、習慣的に「○○の原理」と呼ばれるようになったのではないでしょうか?

「金融数理の基礎」第12回分宿題コメント

第12回分の宿題についてのコメントです。

一通り目を通しましたが、もう一度ロジックの確認などをしたいと思います。
返却は来週の火曜日になるかと思います。

採点していて気になったところをコメントしておきます。

問題4.6
(i) r≧0 という条件がきいているのですが、そのことを明確に表現していないものがありました。数学の問題では、解答の中で与えられた条件を適切に使えているかどうかをチェックするので、 当たり前と思われる部分でもでいるだけ丁寧に理由を明示する方がよいでしょう。

あと、S_n/(1+r)^n という割引株価がリスク中立確率測度の下でマルチンゲールになるという性質に注目していた人が多く、それは良い方針なのですが、
E[S_τ/(1+r)^τ] =S_0 という式(期待値は~を省略していますが、リスク中立確率の下での期待値)を何も説明せずに使っている人がいましたが、細かく言うと、ここでは任意抽出定理を使うことになりますし、その場合でもE[S_(τ∧N)/(1+r)^(τ∧N)] =S_0 というように、停止時刻のところを(τ∧N) という形にしないといけません。

(ii) これは、結構採点に悩む解答が多かったです。肝要なところを言葉で説明しているので、本当に分かっているのかどうかがよく分からないのです。数式の扱いに慣れないと難しいことかもしれませんが、
今回、数式でうまく説明するための基本となるアイデアは
 max{f(x)+g(x)} ≦max{f(x)} + max{g(x)}
という不等式です。(f を (i) のペイオフの割引価値、g をコール・オプションの本源的価値の割引価値、x を停止時刻と思えば、今回のケースを考えることができます)

ファイナンス的なポイントは、多くの人が指摘しているように、(i)のデリバティブとヨーロピアン・コールの合成ペイオフが、アメリカン・プット・オプションのペイオフと見た目が同じになるということです。
ただし、不等式の関係を示すということなので、正確には、
(i)のデリバティブとヨーロピアン・コールの合成ペイオフが、アメリカン・プット・オプションのペイオフを下回らないということを適切に示すのが良い方針となります。

(iii) こちらは V_0^EP≦V_0^AP を示すことは難しくないですし、ヨーロピアンの場合のプット・コール・パリティを使えば、それほど難しくなく、比較的よくできていました。

問題4.7
手つかずの人もいましたが、満期まで権利行使しないのが最適という結論は多くの人が得ていました。
ただし、時刻 0 での価値を S_0 - K/(1+r)^N と正しく解答していた人はあまり多くありませんでした。

r≧0 の言及がないものがありました。上の(i)と同様のコメントが当てはまります。

発展課題

4名の方がチャレンジしていました。
理論解をきちんと導出している人はいませんでしたが、漸化式に基づく議論で良いところまでいっている人はいました。ただ、素朴に考えていくと、計算すべき期待値は無限和の形で表されるため(しかも一般項のわからない漸化式が含まれる形)、工夫をしないと自力では計算できません(たぶん工夫は可能でしょうが、この方針では私も実は解けていません)。
数値計算で理論値を導出できている人がいましたので、期待値が有限になると知っていれば、無限和をある程度の有限和で近似するというアプローチも現実的ですね。

4名ともシミュレーションをしていて、そのうち3名の方は理論値に近く収束できていました。
残りの1名は、10回連続ではなく9回連続の場合のシミュレーションをしてしまったのだと思われます。
プログラム中の判定で <10 と ≦ 10 のようなところを微妙に間違えているのではないでしょうか?
私も、VBAをずっと使っていて、たまに C でプログラムするときは、
for と if の条件表記でよくミスしてしまいます。

解法については、何かの機会に紹介したいと思います。
ちなみに理論値は 2046 です。これは 2^11-2 に対応しますが、
実際には、2+2^2+・・・+2^10 を計算したものと見ることになります。

7/23(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」期末試験

期末試験のアナウンスです。

試験前に、授業評価のアンケートを実施するそうです。

日時と場所:7月23日(水) 18:40~19:40(正味60分) 第3講義室


※遅刻は試験開始30分後まで認めます(つまり19:10まで)
※追試験の予定はありません(ただし、
正当な理由があり、なおかつ
試験開始1時間前までに当日の受験が不可能であることを中川に連絡してきた場合のみ、追試験の可能性を検討します。ただし、仮に追試験をした場合の成績評価は「学生便覧・講義要綱」の一橋大学大学院国際企業戦略研究科細則の第18条(追試験)3に倣って、得点の8割とします)

試験範囲と出題形式
  • 第9回の授業から第14回の授業で扱った内容(プレゼン資料・配布資料)。プレゼン資料の内容や数式を細かく記憶してくる必要はないが、資料の中で強調されたり繰り返し使われている用語の意味を確認したり、授業でどういう話題を扱ったかを自分なりに整理したりしておくこと
  • 計算問題を40点分、記述問題を60点分出題する
  • 計算問題は、配布資料の演習問題の類題を出題する。特に Merton モデル、定数強度モデルによるクレジット・デリバティブの評価に関する問題、デフォルト相関について確認すること
  • 記述問題は、授業で触れた内容に関連したテーマの知識を問う問題とする。以下の点について、見直しておいてください。
    (線形判別分析の前提、KMVモデルのDD算出のアイデア、構造型(+完全情報)モデルの弱点、ハザードレート過程とマルチンゲール強度過程の相違点、条件付き独立モデルとデフォルト伝播モデルの相違点、損失分布手法によるオペリスク計測)
  • 参考書やノートなどの参照は不可とする。また卓上計算機などの使用も不可とする

2008年7月11日金曜日

7/8(火)「金融数理の基礎」第13回:ランダムウォーク(2)

第13回目では、メインテキストの5.2-5.4節を扱う予定でいます。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。
  • 対称ランダムウォークの初到達時刻の期待値が∞になることと、明示的な密度関数の導出のアイデア
  • 対称ランダムウォークの鏡像原理とその応用としての、初到達時刻の分布の導出
  • 永久アメリカン・プット
期末試験についてのアナウンスもする予定です。
5章については何とか次回で一区切りつけてしまいたいので、証明の細部に立ち入るのは控えたいと思います。

速報!ついに、あの翻訳本が・・・



フィナンシャル・リスク・マネジメントの授業の準テキストの翻訳本の発売日が決まりました。
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フィナンシャル・リスク・マネジメントの授業を履修している人だけでなく、このブログを読んでいる方すべてにお薦めしたいと思います。

2008年7月10日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第13回分課題レポート【返却】

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第13回分の課題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

「金融数理の基礎」第11回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第11回分の宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年7月9日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第13回分課題コメント

第13回分の演習課題についての略解とコメントです。

(i) 手つかずの人もいました。また、議論が不十分だったり、いちおうできているけれど説明が冗長な人が目立ちました。場合分けを丁寧にしている人がいましたが、場合分けの議論は不要です。

まず、 E[Y^iY^j] = P(Y^i =1, Y^j =1) に注意です。つまり、E[Y^iY^j] は i と j の同時デフォルト確率を表していることに注意。

(A) min{p_i, p_j} ≧ E[Y^iY^j]=P(Y^i =1, Y^j =1) を示すには・・・

{Y^i =1, Y^j =1} = {Y^i =1} ∩ {Y^j =1} ⊆ {Y^i =1} であることから、P(Y^i =1, Y^j =1)≦P(Y^i =1) が分かります。
同様にして、P(Y^i =1, Y^j =1)≦P(Y^j=1)も分かります。

(B) E[Y^iY^j]=P(Y^i =1, Y^j =1) ≧ -min{0, 1 - p_i - p_j} を示すには・・・

P(Y^i =1, Y^j =1) ≧0 は明らか。
また、P(Y^i = 1) + P(Y^j = 1) - P(Y^i =1, Y^j =1) = P(Y^i =1 or Y^j = 1)
が成り立つことに注意して、 P(Y^i =1 or Y^j = 1) ≦ 1 であることから、
P(Y^i =1, Y^j =1) ≧ p_i + p_j - 1
が成り立つことがわかります。
よって、
P(Y^i =1, Y^j =1) ≧ max{p_i + p_j - 1, 0}
が成り立ちますが、max(a,b) = -min(-a, -b) という関係が一般に成り立つので、
max{p_i + p_j - 1, 0} = -min{1 - p_i - p_j, 0}
として、(B)が成り立つことがわかります。

(ii) 少し計算ミス・マイナス符号のつけ忘れもありましたが、だいたい良くできていました。
-0.01436≦ ρ≦0.70353
となります。

(iii) 分散の計算が不正確な人がいました。あと期待値も勘違いをしている人がいました。
(Σ記号を使わずに書きます)

E[L]=E[Y^1 + ・・・+Y^m] = E[Y^1] + ・・・+ E[Y^m]
                  = P(Y^1 = 1) +・・・+P(Y^m = 1)
= π + ・・・ + π = mπ
また、
V(L) = V(Y^1 + ・・・+Y^m)
= V(Y^1) + ・・・ + V(Y^m) + 2{Cov(Y^1,Y^2) + ・・・Cov(Y^{m-1},Y^m)
とできることに注意して、
  V(Y^i) = E[(Y^i)^2] - E[Y^i]^2 = π - π^2
i ≠ j のとき、Cov(Y^i, Y^j) = E[Y^i Y^j] - E[Y^i]E[Y^j] = π_2 - π^2
であることから、

 V(L) = m(π - π^2) + 2 × m(m-1)/2 (π_2 - π^2)
=m(π - π^2) + m(m-1) (π_2 - π^2)

となります。(m(m-1)/2 は m 以下の数の中から、異なる2つの数を取り出す組合せの数です)

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第14回フォロー

プレゼン資料とポートフォリオ・ラリーのデータをイントラネットにアップしておきました。

第13回の課題を提出したことが確認できているのは以下の9名です。
(共同研究室に提出された人がいたとすると、そちらは確認していません)
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM07F044, IM08F017, IM08F023, IM08F024, IM08F026, IM08F027,
IM08F037, IM08F039, IK08F001

2008年7月8日火曜日

「金融数理の基礎」第11回分宿題コメント

第11回分の宿題についてのコメントです。

提出した人の多くは正解でした。
最後の期待値の計算ミスや同じものをリストしてしまった解答が若干ありました。
(目を皿のようにして確認したわけではないので、見落としはあるかもしれません。あしからず)

「OTM のとき決して権利行使されない停止時刻」という意味が分からなかった人がいたので、フォローしておきます。

OTM は Out of The Money の略で、その時点で仮にオプションを行使しても正の payoff を受け取れない状態を指すことに注意します。

今回の例で、OTM に当たるのは、G_n という本源的価値が負の値のときですから、
具体的には G_1(H) = -3, G_2(HH)=-11 の部分ということになります。
よって、「OTM のとき行使する」ということは、「1回目のコイントスが H のときに行使する」あるいは「最初の2回のコイントスの結果がHH のときに行使する」 ということです。
これは停止時刻でいうと、τ(HH)=τ(HT)=1 あるいは τ(HH)=2 という場合に相当します。

ですから、「OTM のとき決して権利行使されない停止時刻」として、○をつけるのは、上のような場合を除いたもので、具体的には τ(HH)=0 または τ(HH)=∞ になっている停止時刻ということになります。
正しく解答していた人でも、その辺の説明をしているレポートは無かったので、確認しておいてください。

「金融数理の基礎」第12回フォロー

配布資料はイントラネットにアップしておきました。

7月8日(火)提出の「金融数理の基礎」第11回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の19名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM05F023, IM07F029, IM07F044, IM08F007, IM08F010,
IM08F013, IM08F017, IM08F020, IM08F023, IM08F024, IM08F026,
IM08F027, IM08F028, IM08F030, IM08F037, IM08F038, IM08F039,
IM08F040

証明は適当に省略して、テキストに挙げられていないR.W. のオモローな性質を紹介しようと
思いましたが、結局、証明に時間をかけてしまいました。
次回はもう少し、いろんな話題を紹介できるように配慮したいと思います。

2008年7月7日月曜日

7/9(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第14回:オペリスク

第14回はオペレーショナル・リスクの評価について概説する予定です。

予定では、
  • オペリスクについての概説
  • 損失分布手法
  • 複合Poisson 分布モデル
  • シナリオの活用
などを予定しています。
準テキストではいちおう10章に相当します。

また、前回尻切れになってしまった Giesecke-Goldberg の研究紹介についても少し補足します。

そして、約2ヶ月におよぶポートフォリオ・ラリーの最終結果と表彰?も行う予定です。

2008年7月4日金曜日

7/8(火)「金融数理の基礎」第12回:アメリカン・デリバティブ(残り), ランダムウォーク(1)

第11回目では、メインテキストの4.5節、5.1-5.2節を扱う予定でいます。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。
  • アメリカン・コール・オプションの価格
  • 対称ランダムウォークの定式化
  • 対称ランダムウォークの初到達時刻の面白い性質
5章に入ると、ほとんど単なる数学のお話になりますが、直感に反するような
不思議な結果が得られるところでもあります。
また、証明で使われているテクニックの中には、是非この機会に知っておいて
ほしいものもありますので、証明についてもポイントとなる部分は詳しく見ていこう
と思います。

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回分課題レポート【返却】

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回分の課題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

「金融数理の基礎」第10回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第10回分の宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年7月2日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回分課題コメント

第12回分の演習課題についての略解とコメントです。

問1(iii) で c(0,1) が「 qδ で近似できる」とすべきところを 「 q(1-δ) で近似できる」としてしまいました。 私の出題ミスです。申し訳ありませんでした。

問1 (i) 1/(1+0.05) ≒ 0.952
(ii) 1/1.05 *[(1 - q)・1 + q * 0.6] = 0.941 という方程式を立てて、q = 0.0299 となり、約3% と分かる。
また、q > p という理由としては、債券に投資する場合はデフォルト・リスクを引き受ける見返りとして、リスク・プレミアムを要求することが反映されているというのが自然な説明でしょう。
もちろん、リスク・プレミアムが意味するところをきちんと議論する必要が本当はありますが。

(iii) 数字を入れると c(0,1) ≒ 0.012 となりますが、
数式のままで考えると、c(0,1) = -log ( 1 - qδ) となりますが、
一般に x が十分小さいとき、log(1-x)≒-x が成り立つので
c(0,1) ≒ qδ と近似できることが分かります(実際、qδ ≒ 0.012 となることからも重ねて確認できます)。

私の出題ミスを悟って、正しい近似の議論をしてくださった方も多かったです。

※金利を年複利で与えておいて、スプレッドを連続複利で計算せよというところに違和感を覚えた人もういるかもしれませんが、
  1/(1+r+c) = 1/(1+r)*[(1 - q)・1 + q * (1-δ)] という形で、スプレッド c を定義しても、c ≒ qδ を結論づけることはできます。

問2

与えられた等式の c^* のところに 0.02 を代入して、h^Q の非線形方程式を作り、例えばExcel のゴールシークやソルバーで解くと、およそ h^Q = 0.0323 程度になります。

一方、(r+h^Q)Δ が十分小さいとすると、
exp(-(r+h^Q)Δ) ≒ 1 - (r+h^Q)Δ
となることから、

c ≒ {Lh^Q(r+h^Q)Δ}/{(r+h^Q)Δ [1 - (r+h^Q)Δ]}
≒ {Lh^Q(r+h^Q)Δ}/{(r+h^Q)Δ}  ({(r+h^Q)Δ}^2 ≒ 0 と見なす)
≒ Lh^Q

と整理してみることができる。よって、 h^Q ≒ c / L と近似できることが分かります(実際、c/L ≒ 0.033 となることからも重ねて確認できます)。

問2 の方は、数式レベルで近似関係の成立を議論している人はあまり多くありませんでした。

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第13回フォロー

プレゼン資料と課題のファイルをイントラネットにアップしておきました。

第12回の課題を提出したことが確認できているのは以下の11名です。
(共同研究室に提出された人がいたとすると、そちらは確認していません)
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM07F016, IM07F044, IM08F017, IM08F023, IM08F024, IM08F026,
IM08F027, IM08F037, IM08F039, IK08F001, IM05F023

授業の話題に、日経平均が43年ぶりに10日連続下落という話題に触れましたが、
それに関して次の問題の答えは分かるでしょうか?
「1営業日ごとに日経平均が上がるか下がるか半々の確率であり、日々の上がり下がりは独立であるとしたとき、計測してから初めて10日連続下落するまでの日数の期待値はどれくらいか?」
けっこうな難問だと思いますが・・・

「金融数理の基礎」第10回分宿題コメント

第10回分の宿題についてのコメントです。

解き方は分かっていながら計算ミスをした人、ストラドルのアルゴリズムの理解が不十分だった人、
(iv)の答え方が不適切と判断された人がそれぞれ少しずついましたが、全体的に良くできていたと
思います。

授業フォローのところに書いておいた宿題コメントをこちらに転記します。

解答は、
(i) 116/125=0.928 (ii) 64/25 = 2.56 (iii) 412/125 = 3.296
(iv) 大まかに言えば、「straddle は結局1回の行使で、call か put いずれか一方のpayoff しか受け取れないが、put と call を別々にもっていれば、それぞれを最適なタイミングで行使して、両方の payoff を受け取る可能性があるため」といったもので、そのような内容に触れていればOKとしています。
ただし、厳密には call と put それぞれを行使する機会が存在するというだけでは、straddle の価格が put と call の価格の和を上回らないことは言えても、真に小さくなることまでは言えないと考えます。
したがって、真の不等号が成り立つことを主張するためには、straddle の最適行使タイミングが、put と call の最適行使タイミングとずれていることを具体的に指摘することが大切に思います。

2008年7月1日火曜日

「金融数理の基礎」第11回フォロー

配布資料はイントラネットにアップしておきました。

7月1日(火)提出の「金融数理の基礎」第10回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の20名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM05F023, IM07F029, IM07F031, IM07F044, IM08F007,
IM08F010, IM08F013, IM08F017, IM08F020, IM08F023, IM08F024,
IM08F026, IM08F027, IM08F028,IM08F030, IM08F037, IM08F038,
IM08F039, IM08F040

前回の課題の解答ですが、
(1) 116/125=0.928 (2) 64/25 = 2.56 (3) 412/125 = 3.296
(4) 大まかに言えば、「straddle は結局1回の行使で、call か put いずれか一方のpayoff しか受け取れないが、put と call を別々にもっていれば、それぞれを最適なタイミングで行使して、両方の payoff を受け取る可能性があるため」といったもので、そのような内容に触れていればOKとしています。
ただし、厳密には call と put それぞれを行使する機会が存在するというだけでは、straddle の価格が put と call の価格の和を上回らないことは言えても、真に小さくなることまでは言えないと考えます。
したがって、真の不等号が成り立つことを主張するためには、straddle の最適行使タイミングが、put と call の最適行使タイミングとずれていることを具体的に指摘することが大切に思います。