2008年7月2日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回分課題コメント

第12回分の演習課題についての略解とコメントです。

問1(iii) で c(0,1) が「 qδ で近似できる」とすべきところを 「 q(1-δ) で近似できる」としてしまいました。 私の出題ミスです。申し訳ありませんでした。

問1 (i) 1/(1+0.05) ≒ 0.952
(ii) 1/1.05 *[(1 - q)・1 + q * 0.6] = 0.941 という方程式を立てて、q = 0.0299 となり、約3% と分かる。
また、q > p という理由としては、債券に投資する場合はデフォルト・リスクを引き受ける見返りとして、リスク・プレミアムを要求することが反映されているというのが自然な説明でしょう。
もちろん、リスク・プレミアムが意味するところをきちんと議論する必要が本当はありますが。

(iii) 数字を入れると c(0,1) ≒ 0.012 となりますが、
数式のままで考えると、c(0,1) = -log ( 1 - qδ) となりますが、
一般に x が十分小さいとき、log(1-x)≒-x が成り立つので
c(0,1) ≒ qδ と近似できることが分かります(実際、qδ ≒ 0.012 となることからも重ねて確認できます)。

私の出題ミスを悟って、正しい近似の議論をしてくださった方も多かったです。

※金利を年複利で与えておいて、スプレッドを連続複利で計算せよというところに違和感を覚えた人もういるかもしれませんが、
  1/(1+r+c) = 1/(1+r)*[(1 - q)・1 + q * (1-δ)] という形で、スプレッド c を定義しても、c ≒ qδ を結論づけることはできます。

問2

与えられた等式の c^* のところに 0.02 を代入して、h^Q の非線形方程式を作り、例えばExcel のゴールシークやソルバーで解くと、およそ h^Q = 0.0323 程度になります。

一方、(r+h^Q)Δ が十分小さいとすると、
exp(-(r+h^Q)Δ) ≒ 1 - (r+h^Q)Δ
となることから、

c ≒ {Lh^Q(r+h^Q)Δ}/{(r+h^Q)Δ [1 - (r+h^Q)Δ]}
≒ {Lh^Q(r+h^Q)Δ}/{(r+h^Q)Δ}  ({(r+h^Q)Δ}^2 ≒ 0 と見なす)
≒ Lh^Q

と整理してみることができる。よって、 h^Q ≒ c / L と近似できることが分かります(実際、c/L ≒ 0.033 となることからも重ねて確認できます)。

問2 の方は、数式レベルで近似関係の成立を議論している人はあまり多くありませんでした。

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