2011年4月28日木曜日

第1回演習問題の解答例の差し替えについて

第1回課題の解答例ですが、2回目の授業終了時点でアップされていたものは古いものでした。すみませんでした。


第1回課題の解答例の差し替え版をイントラネットにアップしましたので、そちらでご確認ください。
問題2の解答例についても、内容が大幅に変わっています。

2011年4月27日水曜日

第1回の課題レポートについて

現時点までに第1回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F023, IM09F029, IM10F002, IM10F004, IM10F006, IM10F011,
IM10F013, IM10F014, IM10F019, IM10F022, IM10F025, IM10F029,
IM10F033, IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F011, IM11F012,
IM11F014, IM11F021, IK11F012, IK11F016,

いちおう早めにチェックをして返却するように努めます。
提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。


一次チェックを終えましたので、簡単なコメントをしておきます。
詳細なコメントは追って書きます。

全体的に「言葉での説明不足」「数式記号についての説明不足」が目立ちました。
学期の最初のレポートですので仕方ない部分はありますが、結局レポートは評価者である私が理解できなければ意味がありません。ある程度好意的には解釈を試みますが、分からないもの曖昧なものは減点対象です。
後でこういうつもりで書きましたとかを口頭で詳しく説明されても、レポートに対する評価は変わりませんので、レポートの中で書くべきことを過不足なく書くということを意識してください。

問題1. こちらが想定していた比較するための集団区分の妥当性についての言及も多くありましたが、他にもいろいろな視点があって面白かったです。
興味深かったのは、M2の人の中で、統計的な議論を通じての主張の仕方に関して、「○○である」という断定的な主張はそもそもできないはずという答えや、サンプルに偏りがあるのに必要以上に一般的な主張をしているのは良くない、といったニュアンスの答えが見られたことでした。おそらく1年前にM浦先生の授業で相当たたきこまれたのかな?と。

(1)では「事故を起こした人の回数が不明なのが問題」というコメントが多数ありました。それとの関連で「安全運転=無事故?」というコメントもありました。両者とも間接か直接かは別として、「安全運転」というものの定義についてのあいまいさを問題にしているという点で、意味のある指摘と思います。
あと、実際にクロス表から適合度検定というか独立性の検定というかを試行している人もいました。(1)ではいちおうそれが可能なのですが、まずそういう検定をするに値するクロス表かどうかを考えるということが問いの趣旨でした。

(2)ですが、表の単位「/人」は私の転記ミスでした。すみません。正しくは「人/年」でした。単位が不明という突っ込みも少しいただきました。
あとは「事故原因の詳細が不明」というコメントがいくつかありました。もちろんそれによって、家の中か外かよりは意味のある情報が得られると思いますが、家の中が危ないという主張を疑うだけなら、もっとシンプルな指摘ができるかと思います。あとは「東京都に限定された偏ったサンプルから一般的に言えるのか」といった指摘もありました。それももっともです。全体のサンプルの大きさについての指摘もありました


(3)では「挙げられている3業種以外の状況が分からない」「勤務時間とかを考慮して時間当たりで比較しないと賃金水準は論じられない」「男子だけのサンプルはどうか」「差の有無はサンプル数に関係するが、その情報がない」といったコメントが見られました。



問題2. 考えた内容を適切に数式を使って表現するというトレーニングをしていないと難しい課題です。だいたい伝わるけど、きちんと表現できていないものが多かったです。
もちろん、それでもかまいません。「○年に一度」というような表現を数式を通じて検討することが難しいことを実感してもらえれば、今のところはかまいません。

解答例の私なりの解説を読んで、もう一度考えてみてほしいと思います。


問題3. (1)~(3) は良くできている人が思ったより多かったです。(1)はノーヒントで解けたのなら大したものです。(2)(3)は方針は立てやすかったと思います。(2)で「n回目に勝つ」ことが「n-1回目にサイコロをふって6を出す」と勘違いしている人が少しいました。
間違っていた人は、計算や考え方で間違っているポイントは指摘しておきましたが、そんなに細かいチェックはしていないのであしからず。確率と漸化式は相性がよいので、解答例のような考え方に慣れておいて損はないと思います。
(4) では私の想定した格付推移以外にも、面白い指摘がありました。ただ、A,B,吸収状態という3つの状態があることをふまえてもう少し詳しい説明してほしかったと思うものが多かったです。

格付推移以外ですと、「ノックアウト型」「イベントトリガー型」「アメリカン」のように、勝負の決着を、途中での権利失効や権利行使になぞらえた答えがありました。面白いと思います。ただし、実際に扱うべき平常時の状態数は2つを超えてくるはずですので、精緻なプライシングには向かないように思います。

あとは「住宅ローンの期限前償還」「双方向のカウンターパーティリスク」「株の配当」といった意見もありました。それぞれ見直すポイントはありますが割愛します。


問題4. (1)は着手していた人は表現はいろいろでしたが、だいたいできていました。
(2)は間違いのパターンがいくつかありましたが、これとほぼ同じことを7月頃にやる予定です。
(3)はデフォルト(倒産)になぞらえた人が多かったですが、もう少し変数やパラメータの解釈にも言及してほしかったです。
デフォルト以外ですと、「住宅ローンの期限前償還」「人間の死亡率と見なしての生命保険評価」といったコメントもありました。

「フィ ナンシャル・リスク・マネジメント」第2回フォロー(追記)

前回課題の解答例、配布プリント(課題付き)をイントラネットにアップしておきました。

なお、今回の演習問題ですが、
問題1は、準教科書の2.1.3項を読んで検討してもらってかまいません。
問題2と問題3は、次回の授業で inf と行列を扱うことになるので、そのための復習という位置づけです。
行列の問題は、がんばれば手計算でできる範囲のものを出題しましたが、計算ツールを使って解いてもらってもかまいません。


授業後に質問をいただいたので、こちらでもフォローしておきます。

Q.リスクファクターとして株価の対数収益率を指定していたが、株価そのものをリスクファクターとしてはダメか?

A.株価自身でもかまいません。
ただし、各株価の対数収益率をリスクファクターとすると、リスクファクター全体が多変量正規分布に従うと仮定することが許容されます。
リスクファクターとしては扱いやすい確率分布に従うものを選ぶ方がいろいろと良い面があります。


Q. 株価の対数収益率が1より十分小さいことを仮定して一次近似の話をしていたが、実際に把握したいのは株価の変動が大きいときなので、対数収益率が小さいという仮定は妥当なのか?

A. どのあたりまでが小さいかということは主観でしかないわけで、ある意味でそこは利用者が責任をもつところであると思います。したがって、もし近似精度に問題ありと感じたら、そこを修正する工夫も必要になるでしょう。

ただ、正規分布を仮定して、過去データから日次収益率の標準偏差を推定した場合、10%程度変動する確率は相当低くなるでしょうから、その意味で今回の授業では一次近似がそれほど悪くないという立場をとります。
また、一次近似がギリギリ許容される場合のリスク量を把握しておけば、それ以上の悪いケースも副次的にとらえることができるので、ある程度の目安にはなると思います。

2011年4月26日火曜日

ポートフォリオのファイル提出者

FRM2011ポートフォリオラリーのファイル提出者(2011/4/26 12:00現在)

IM06F026, IM09F010, IM09F023, IM09F024, IM09F029, IM10F002,
IM10F004, IM10F006, IM10F011, IM10F013, IM10F014, IM10F019,
IM10F022, IM10F023, IM10F024, IM10F025, IM10F029, IM10F033,
IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F011, IM11F012, IM11F014,
IM11F021, IK11F012, IK11F016

2011年4月21日木曜日

4/26(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回:金融リスクの基本的概念

第2回目は、金融リスクの基本的概念というテーマで授業を行います。
プレゼン資料のハンドアウトをイントラネットにアップしておきました。

最初は、金融リスク尺度としてどのようなタイプのものが考えられてきたかについて大まかな話をします。

その後、市場リスクとか信用リスクとかリスクのカテゴリに関係しないリスク計量の数学的なフレームワークについての解説になります。

具体例から入らずに、最初に一般的な数学的なフレームワークを与えるという形式で導入する予定です。そこは大学での数学の授業スタイルになります。
その後で、準教科書の例に沿った演習という形で、代表的なケースを例として考えていく予定です。

そうした導入の仕方に面食らう方も多いかもしれませんが、分かりにくいという批判は甘受しますが、専門的な論文を読む方のためにも、あえて上記のような導入をしたいと思います。

最後の方で、時間が許す範囲で、coherent と呼ばれるためにリスク尺度が満たすべき条件と、リスク尺度研究についての最近の話題について触れたいと思います。

準教科書でいうと、2.1、2.2節および6.1節の内容にあたること を扱います。主なトピックは次のようなものです。
  • リスク計測方法についての概観(準教科書2.2.1項)
  • 損失分布およ びリスク・マッピングの考え方(準教科書2.1節)
  • Coherent risk measure(準教科書6.1節)
準教科書が手元にあれば、該当部分にざっと目を通しておいてください。

授業の冒頭には、ポートフォリオ・ラリーへのエントリー状況について紹介したいと思います。
また、第1回の演習問題についても少しやりとりしたいと思っています。

講義「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」の参考図書

第1回目の授業に関して、参考図書を2冊紹介しておきます。

どちらも翻訳ですので、興味があれば原著を読むのも勉強になると思います。

(1)S.E. ハリントン, G.R. ニーハウス著(米山 高生・箸方 幹逸監訳)『保険とリスクマネジメント
東洋経済新報社 (2005/03), 732ページ

※「保険」と表題についていますが、より一般の企業リスク管理(ERM)についての考え方・方法論をまとめている本です。使われている数学は初歩的なものです。いわゆる普通のビジネススクールであれば、これを教科書にするというのが有力な選択肢だと思われます。























(2)リカルド・レボネト著(茶野 努・宮川修子訳)
なぜ金融リスク管理はうまくいかないのか
東洋経済新報社 (2009/9), 269ページ

※著者は金利モデルなどでも有名な研究者ですが、定量的なリスク管理手法についての限界を示し、警鐘を鳴らしている点で興味深い本です。ある意味で、この授業に対するアンチ・テーゼと言えるかもしれません。翻訳は(少なくとも私には)分かりにくい部分が若干ありましたが、大意は分かると思います。

説明を追加

2011年4月19日火曜日

4/19(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回

レゼン資料、配付資料、TOPIXと33業種インデックスのデータ、ポートフォリオ作成ツール、提出するポートフォリオのファイルのサンプル、および traffic jam ツールはイントラネットにアップしておきました。
今回の課題の確認ですが、以下の通りです。


 ・必須のもの:ポートフォリオ・ラリー(レポート課題1)のための33業種投資比率を決めて、規定のフォーマートでテキストファイルとしてメールで送る(4月26日(火)正午締め切り)
※配付資料の2~3ページ参照

 ・余力があれば考えてほしいもの:配付資料の演習問題4題。全部解けなくてもかまいません。数学が苦手でも考えることが出来る問題もあります。
解答した人は次回授業時間時にレポートとして提出してください。授業時までに共同研究室のレポート提出トレイに提出していただいてもかまいません。
なお、レポートとは、解答を読みやすくきちんと整理した形式のペーパーを指します。検討段階のメモ書きのようなものも一度は受け取りますが、ひどい場合はそのまま返却します。

プレゼン資料の最後の部分について言及できなかったのですが、とある社長の講演資料についてはこちらで見ることができます。けっこう過激な内容にも見えますが実務上有益な示唆がたくさん含まれていると思います。

ポートフォリオ投資比率作成ツールについては説明しないと言いましたが、昨年度のブログ記事を再掲しておきますので、参考にしてください。

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(1) まず、VBAマクロを使用していますので、Excelでマクロが使えるようにセキュリティ・レベルを下げておく必要があります。

(2) また、リスク最小化とかSharpe ratio 最大化というところで、ソルバーアドインをVBAで動かすようにしています。当然、ソルバーがアドインされていないと使えないことと、Excel のバージョンによっては、VBAのエディタを開いて参照設定を手でいじらないといけないかもしれません。対処法はExcelに詳しい人を周りで見つけて尋 ねてください。
#私も直接エラーの状況を見ればいくつか対処はできますが、メール等では十分に対応を回答できないと思います。

(3) とりあえず、設定周りがうまくいっていれば、[data]というシートのデータをアップデートします。
古いデータも活かしたければ、重複しない ように新しい分を付け足してください。まるまる入れ替えてもかまいませんが、1行目はラベル、1列目は日付というような構成は変えないでください。

(4) その後、[control]シートの「統計量計算」というボタンを押してもらえれば、[daily_return]というシートに自動的に[data] シートに対応した日次対数収益率が計算されます。
さらに、[control]シートのE列の「標準偏差」のところが自動的に計算されます。また、 見えないようになっていますが、33×33の相関行列も別のところに計算されていて、後でポートフォリオのリスク計算をするときに考慮されるようになって います。

(5)あとは、[control]シートのD列の「期待リターン」に適当な数字を入れる必要があります。対数収益率データから標 本平均を計算してもいいのですが、CAPMで求めたり、大まかな見込み数字を入れるなどしてもよいと思います。B,C列は各業種に対する投資比率の上下限 制約です。デフォルトでは上下限は一律10%,0%になっていますが、業種ごとに設定できます。その業種を絶対に組み入れたくなければ上限も下限も0%に すればよいです。

(6)あと推定日数とかいろいろ設定を要しますが、コメントを読んでください。いじらなくてもよいと思います。

(7) あとは、「Sharpe Ratio 最大化」というボタンを押してください。うまく計算できたら、F列に返った数字が制約つきの平均-分散モデルにおけるSharpe ratio についての最適投資比率になっています。
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2011年4月18日月曜日

準備用教材(演習用)の答えについて

準備用教材(演習用)については、これまで特に解答者がいません。
それでも、いちおう答えだけ知りたい人のために答えだけをイントラネットのCoursesの「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の「4/5(実際は休講)」の追加資料としておいておきます。


授業では、特に解説とかはしません。

2011年4月12日火曜日

【更新】4/19(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回:Guidance & Introduction

第1回目のプレゼン用ファイルをイントラネットにアップしました。


第1回目は、これからの講義内容についての説明とオリエンテーションということで

  • リスクとは?リスク管理とは?
  • 授業の到達目標
  • 授業の進め方、演習・レポート課題について
  • 課題レポート(その1)用のポートフォリオ作成の説明
  • 「リスク計測」に関連する数学問題の演習
という流れで進めたいと思います。


この授業では、紙資源の節約のため、プレゼンテーション資料の印刷配付は行わない予定です。
毎回、予習してもらうことも兼ねて、プレゼン用のpdfファイルを事前にイントラネットにアップしておく予定ですので、必要があれば各自でプリントするようにしてください。




また、ホワイトボードを使った説明も行うので、専用ノートも用意するようにしてください。
(印刷資料に授業中メモ書きするだけというスタンスでは、頭に入らないと思います)


なお、2種類の準備用教材は、イントラネットのCoursesの「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の4/5(実際は休講)の資料としてもアップロードしておきました。
まだ、準備用教材の演習問題を解いたという人は現れていません。

過去3年間のICSでの授業に関してのブログ記事はFRM2008FRM2009FRM2010 でそれぞれ見ることができます。
基本的には今年度の授業は、2010年度の再放送的な授業構成ですが、授業実施回数が増えたこと、および東日本大震災の影響で補講を設定する必要があることを考慮して、特別授業的な要素も取り入れようかと考えています。