2010年10月30日土曜日

(参考)中間試験のメモ用紙

googleで「試験 A4 カンニングペーパー」と検索してもらえると、中間試験においてA4指定用紙に書き込んだ自筆メモの参照を許可することに関連したページを見つけられるでしょう

「金融数理の基礎」第5回フォロー

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。


授業後に質問をいくつか受けました。その中で、3回目の授業に関することで説明が足りなくて誤解させてしまった部分があると思いましたので補足しました。

区間の形で表される集合族の可算個の和集合、共通部分に関する説明で
例を出して説明したときに
∩[ ) = [ ], ∪[ ) = ( )
という形で、) が ] に変わるとか ] が ) という点に注意するようにコメントしましたが、これは常に当てはまる法則というわけではありません。そういうとらえ方をして3回目の問1の問題を考えた人もいるようなので、そこは訂正しておきます。
ただし、「 ∩( ) = ( ), ∪[ ] = [ ](開区間の共通部分が開区間になる、または、閉区間の和集合が閉区間になるとは一般的には限らない」ということは言えます。
ですから、出題者としてはそのあたりをきちんと論証させたくなって問題を作るわけです。
これは、中間試験に向けてのヒントです。


第4回レポートの講評

第3回目の課題レポートを1次チェックしての講評です。

第3回課題の解説のときにも触れましたが、まだ書いてあるものを見る限りにおいて、要素、集合、集合族などの区別があいまいに思える人が見受けられます。
私の方で気づいたところは指摘していますので、指摘を受けた人は良く見直してください。

また、数学においては、解答の根拠として使えるのは授業で触れた内容と配付資料に書かれた内容に限るというのが前提です。
(話は飛びますが、この意味で、大学入試問題を大学レベルの数学の知識を使って解答してきた答案をどのように扱うかは非常に微妙な問題になります)

自分は知っていたけど授業や資料に書かれていない結果を使う場合には詳しく言及することが大事です。
また、授業や資料で触れていないことを持ち出している人の多くは「間違って道具を間違って使って」います(間違いが重なって結果だけはOKになっていたりしますが…数学としては×の扱いになります)


問1の前半は比較的良くできていました。外測度の単調性と劣加法性を使う方法がベストです。
ただし、気になる議論や記号の使い方もあったので、いくつか指摘しておきます。

  • m*(A ∪ B) = m*(A) +m*(B) -m*(A ∩ B) という式を持ち出していた人がいました。外測度m* に関して、こうした式が一般に成立することは定理などの形で述べられていません( 「測度 m」に関しては成り立つので証明はできます(授業等では直接触れていませんが)。したがって、これを使った解答は正しいと認められません。
  • m*(A) = 0 のとき、零集合A として空集合とか1点集合に限定した議論。零集合の中には、非可算濃度のもの(カントール集合と呼ばれるもの)もありますので、特別な零集合だけについて示しても議論として不十分です。
  • m*(A) = {0} や m*(A) ∪m*(B) などの表記。m*(A)の正体は0以上の実数か正の∞であることを理解していれば、上の2つのような表記は正しくないことに気づくと思います。うっかり書いてしまったと思いますが、読み手が常に好意的に理解してくれるとは限りません。
  • 「『加算』劣加法性」… もちろん『可算』です。まあこれくらいならあえて減点対象にはしませんが、思いこみをしていたら注意してください。
あと、一方の不等号の成立しか示していないのに、等号成立という結論に持ち込んでいる人がいました。ほぼ自明なことをあえて書いてもらうというのが問題の意図ですので、最後まできちんと議論してほしいです。

問1の後半はきちんとできている人はいませんでした。
「∀B(⊂R) に対して m*(A ∪ B) = m*(B)」が成立しているという仮定ですが、「∀B(⊂R) に対して」というところがポイントです。「偽」だと答えた人の多くが、A ⊂ B で m*(A) > 0 の場合が反例になるという議論をしていましたが、これは A を含むような特別な B だけしか見ていないことになります。そもそも A は Bとは関係なく与えられている状況なので、上の議論は、都合のよい B を先に与えて、さらに都合のよい A を選んでいるという議論に見えます。

他に、前半と同様な議論をして m*(A) ≧ 0 という自明の関係式を導出して、m*(A) = 0 とは限らないという議論で「偽」としていた人もいますが、これも「∀B(⊂R) に対して」の部分を適切に解釈できていないことになります。

また、「真」と答えた人も適切な議論になっている人はいませんでした。

「∀***に対して」や「∃*** 」という部分が、どこに修飾されているかを見抜くことは非常に重要です。


問2 についても、前半は問1と似たような指摘になりますので割愛します。
記号の使い方について指摘されている人は注意してください。集合が { } でくくられていない数字の0と「=」で結ばれるのは変だということをきちんと理解してください。

後半の答えは「偽」です。具体的な反例を示すことが大事ですが、「偽」と答えた人の中にも、具体的に反例を示さないで結論が成り立たない可能性がある(ようにできる)、という感じの議論をしているケースが少なからず見られました。
そういう解答については「だったら具体例を示してよ」という反応になります。「できそう」と「できる」は説得力がまるで違ってきます。


問3 は多少の記号ミスに目をつむっても完全正解者は半数以下でした。答えだけでなくきちんと条件を満たすかどうかについても議論している人も数名ですがいました。評価したいと思います。
いずれにしても、σ加法族については中間試験後の「確率論」で改めて解説します。

解答を見ると「そもそも何を質問されているか分からない」状態で解答されているものもありました。σ加法族ということに慣れていないので、答え方が分からないのも今の段階では仕方がないことですが、少なくとも答えとして求められているものは「5つの(異なる)集合族」だということには気づいてほしいです。

対象となる集合Ω={g,c,p}が与えられての集合族を考えるわけなので、
答えとしては { {g}, {c,p}} のようなものが期待されるわけです。{g} とか Ωがだけだと単に「集合」です。集合をもう一回 { } でくくって集合族になります。

今回の解答例とσ加法族の定義を見比べて、解答例がσ-加法族になっていることを確認してみてください。
(できれば、それ以外の集合族はなぜσ-加法族にならないかも検討してみるとよいでしょう)

2010年10月29日金曜日

(受領確認)第4回レポート

第4回の課題レポートを提出されたIDを確認のため掲示します。

適宜、この記事は更新していきますので、提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

10/29 22:20 時点の提出者:

IM10F001, IM10F006, IM10F010, IM10F011, IM10F013, IM10F014,
IM10F016, IM10F017, IM10F019, IM10F022, IM10F024, IM10F025,
IM10F029, IM10F030, IM10F031, IM10F032, IM10F033, IM10F035,
IM10F037, IM10F038, IM10F039, IM09F008

2010年10月26日火曜日

10/29(金)「金融数理の基礎」第5回:測度論(可測関数)-追記

第5回目は、Lebesgue積分を定義できる関数の性質を中心に見ていきます。

準教科書の3.2~3.4節の内容(あと、4章の定義4.1, 命題4.15も)に触れます。必要な人は、イントラネットに予習用資料をアップしておきましたので目を通してきてください。


* Lebesgue可測関数の定義
* Lebesgue可測関数の族の性質
* 可測関数の単関数近似


という流れで進めたいと思います。
前回の内容も含めて証明について授業でも触れたいと思います。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2010年10月23日土曜日

第3回レポートの講評

第3回目の課題レポートを1次チェックしての講評です。


3回目のレポート課題の問1のいくつかの解説を、また授業後(21:40~22:00くらい)に行いたいと思います。

問1は、完璧に近い出来の人もいましたし、一部だけという人もいました。
気になった点をいくつか挙げておきます。

  • 空集合(ここでは記号φを代用します)が答えであるところを、{φ} と表している人が目立ちました。φと{φ} は違うもので、試験のときに、この区別が出来ていないと大きな減点にするつもりです。{φ}は「空集合を要素にもつ集合(族)」の意味になります。
  • 答えの表記として (0,0) や(0,0]というものが見られましたが、意味から考えるとどちらも空集合ですから、φと答えるのが望ましいです。
  • 集合の上極限、下極限については解答していない人も多かったですが、答えとして 0 とか 1 といった数字を挙げている人がいました。「上極限、下極限」という呼び方は紹介しましたが、対象はあくまでも集合族の和集合と共通部分の組合せで表されていますので、結果は「集合」になります。
  • n=1,2 と同じように、n=∞ のときのA_∞, B_∞ というものを明示して考えていた人がいましたが、∞というのは自然数ではないので、こういう表記は厳密にはできません。可算個の集合族の和集合(あるいは共通部分)をとるという表記で「n=1から∞まで」と読める記号は使っていますが、それらは「∃ n ∈N」 (あるいは「∀ n ∈N 」)という記号で意味づけられるものです。

上の指摘の1つめと3つめは、要素、集合、集合族(集合を要素とする集合)という3つの区別がきちんとついていないということを示唆しています。
最初は混乱しても仕方ありませんが、「∈」と「⊂」の違い、x と{x}と{{x}}の違いなどを自分で分かっているか振り返ってみてください。


問2の答えは「非可算」になりますが、それとは違う答えを出している人がいました。予習用資料の問題にもなっていましたし、略解も示してありました。無理数の濃度は「実数全体」と同じ非可算だということ自体は知識として持っていてよかったと思います。

解答例は濃度の演算規則をうまく使って解答することを期待していて、その方向で解いていたレポートは多かったですが、|R| = |(R-Q) ∪ Q| = |R-Q| + |Q| ということを言うためには、「(R - Q) ∩Q = 空集合」ということにも触れる必要があります。配付資料でそのことが抜けていて、当日の追加訂正で示しただけだったので、重要視されなかったのかもしれませんが、A=B (有限集合)とすると
|A| = |A∪B| = |A| + |B| となってしまい変です。濃度の和をとるときは、互いに素な集合で和集合を撮る必要があるので注意してください。

あと、濃度演算ではなく、 R-Q と R の間に全単射が存在することを示そうという方針の解答もありました。直接全単射を構成するという方針のものと、両方向の単射の存在を示して、Bernstein の定理に委ねるという方針のものが見られました。これらも非常に良い方針ですが、おそらくこの解答は別の文献を参考にしたものと思います。参考にすること自体は非常によいことですが、レポートの表現だけ見ると自分では理解しきっていない状態なのかな、という印象をもちました。


問3は、内容的に正しいことを言っていても、それぞれの質問(反論)のポイントをふまえて、「ここがおかしい」ということを端的に指摘しないと解答としては成立しません。
1つ目は「示された方法では無限小数には附番できない」こと、2つ目については「対角線部分をずらしたものが有理数とは限らない」ことを指摘することが想定したポイントで、具体例を示せればなお良いでしょう。
その意味で、答えの表現からだとポイントがつかめていないと思えるものが多かったです。自分では「解答例と同じことを指摘したつもり」という人がいるかもしれませんが、そう受け取ってもらえる表現かどうかを自分なりに見直してみてください。


問4は、選択公理の話をしていなかったので解けなくても仕方ない部分もありましたが、単射や全射の定義そのものに関係する部分をブランクにしたつもりでしたので、論理のつながりを注意すれば半分くらいはブランクを埋められると思いましたが、手をつけた人でも出来はそれほどよくありませんでした。
正確にいうと、必ずしも内容としては間違いではないけれども、前後のつながりを考えると、より適切な式や記号を入れるべき、という理由で不正解にしたものもあります。

試験では、重要な命題の証明論理を穴埋め式で考えてもらう出題形式も考えています。



2010年10月22日金曜日

「金融数理の基礎」第4回フォロー

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

本の紹介

前回課題の問3の元ネタはこちらです。部分的に3回目までの復習としても読めます。なお、私は10章の後半はきちんと読んでません。

あと、伊藤清先生のエッセイはこちら。この授業が内容的には20世紀初頭のものであることが分かると思います。

(受領確認)第3回レポート

第3回の課題レポートを提出されたIDを確認のため掲示します。

適宜、この記事は更新していきますので、提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

10/22 22:00 時点の提出者:

IM10F001, IM10F004, IM10F006, IM10F010, IM10F011, IM10F012,
IM10F013, IM10F014, IM10F016, IM10F019, IM10F022, IM10F024,
IM10F025, IM10F029, IM10F030, IM10F031, IM10F032, IM10F033,
IM10F034, IM10F035, IM10F037, IM10F038, IM10F039, IM09F008

2010年10月21日木曜日

補足:第3回出題のレポート課題について(更新)

第3回出題のレポート課題についての補足です。

問1のC_n の定義で、場合によっては a>b に対して閉区間 [a, b] となってしまうところがあります。
私としては、この場合は [b, a] のつもりに読み替えるつもりで出題してしまいましたが、当然それはきちんと補足するか、[min{a,b}, max{a,b}] のような形で与えるべきでした。
問題を解く際に、こういうケースを空集合と思って解いた方もいるかもしれません。お詫びして訂正します。ただし、答えそのものは変わりません。

問1は、具体的に答えを予想して集合として等しいことを示すタイプの問題だと説明しましたが、3種類の集合族すべてについて、共通部分、和集合、上極限、下極限を同じように厳密に説明するのは面倒だと思いますから、同じロジックを繰り返し使う場合には2回目以降の説明は簡略にしてもらってもかまいません。
ただし、レポートに答えだけを書いて、それらが正しかったとしてもあまり意味がないということは繰り返し強調しておきます。

また、問2および問4は、授業中で触れた以外に、配付資料で書かれた部分も読んだうえでないと解答は困難なので注意してください。

2010年10月17日日曜日

10/22(金)「金融数理の基礎」第4回:測度論(外測度,測度)

第4回目から、測度論の話題に移ってきます。

準教科書の2.1~2.4節の以下の内容に触れます。必要な人は、イントラネットに予習用資料をアップしておきましたので目を通してきてください。

* 零集合
* 外測度
* Lebesgue可測集合とLebesgue測度
* Lebesgue測度の性質

という流れで進めたいと思います。
集合論の復習にもなりうる短めの証明は、授業でもできるだけ見ていきたいと思います。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2010年10月16日土曜日

第2回レポートの講評

第2回目の課題レポートをチェックしての講評です。

出題した時点で予想していましたが、レポートのチェックは苦労しました。
多くの人が、集合や写像の概念や記号法にまだ慣れていない段階ですので、
当たり前のことです。
レポートのコメント(読みにくいとは思いますが…)や解答例を参考に、私がどういう解答を期待しているのかを読み取っていただければと思います。
もちろん、私が示した方法でなくても、数学的に妥当な議論であって、それを理解して書いていることが分かれば、それを評価したいと思います。

ということで、2回目のレポート課題の解説を、次回の授業後(21:40~22:00くらい)に行いたいと思います。もちろん強制ではありません。聞きたい人だけ残ってください。

なお、証明問題については「Good」「O.K.」「だいたいO.K.」というようなコメントがあれば、いちおう合格と考えてください。

問1について。計算用紙やノートからの写し間違いのようなケアレスミスと思われるものもありましたが、それは後チェックで発見してほしいところでした。あと、集合演算の意味をきちんと理解していないと思われる解答も少なくありませんでした。少なくとも、有限集合についての共通部分、和集合、差集合については理解してほしいところです。
中間試験でも、この類の問題は出すつもりです。

問2について。他の2問に比べると出来はよかったのですが、集合で使う∪,∩,\, ∈,⊂,= といった記号と、論理で使う ∨(or),∧(and),¬(not), ⇒, ⇔ といった記号の使い方の混乱が多くの人に見られました。

あと、命題の式を変形していくうえで、定義に基づいた変形以外の理由で変形している部分については根拠(結合則、分配則、ド・モルガン、etc)を簡潔に示すようにしてください。根拠を簡潔に示せないということは、自分でもそういう変形が正当であるかどうかを理解できていない証拠です。

問3について。きちんと証明できていた人もいましたが、写像の記号の使い方や説明の仕方が身についていると読み取れたのはごく少数でした。もちろん、単射や全射の定義だけを聞いて、証明するのは簡単ではないので、今の段階で分からなくても悲観する必要はありません。

また、図を描けば直観的に明らかに見えるので、そのイメージを伝えることで証明にしようという人が少なくありませんでしたが、ここでは図はあくまでも補助的なもので、証明は集合と論理の言葉で積み上げるものと位置づけます。

まずは、3回目の授業を通じて、単射とか全単射が2つの集合の濃度を比べる際に必要不可欠な概念だということを分かってもらえればと思います。

問4について。手つかずの人も多くいました。また、B_n の定義の仕方を理解すれば、直観的に明らかなことを証明せよ、という問題なので、直観的なイメージを伝えようという人がこの問題でも少なくありませんでした。

(1)は、解いている人の多くが、証明のポイントとなる事実をつかんでいるように見えましたが、説明が冗長になりすぎていると感じられる人が目立ちました。

(2)は、数学的帰納法を宣言している人以外は、程度の差こそあれ論理の飛躍が目につきました。「以下同様に」と書かれていても、同様にどういう手続きをすればよいか明示されていないといけません。

なお解答例は、集合演算規則を既知として、集合の等号変形で示す方法をとっています。

「金融数理の基礎」第3回フォロー

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

授業中にフォローできなかった、集合族の演算の共通部分についての証明と、de Morgan 法則についての証明についてのファイルをイントラネットにアップしました。
ただし、TeXに強制的に触れてもらうために、pdfにせずに、TeXソースファイルをアップしておきました。

TeX環境がなくても「TeXを使ってみよう」ページにコピペすればpdfが作れて保存もできるはずですので、この機会にTeXを体感してみてください。

授業に関する細かい補足です。
「濃度(あるいは基数)」に対応する英単語を power と言いましたが、一般には
cardinal あるいは cardinality というというご指摘いただきました。
確かに、英和辞典ではそういう説明を見ることができますし、集合Aの濃度を
card(A) と表す文献もあったと思います。
cardinal, cardinality で覚えておいてください。
(メジャーリーグのセントルイス・カージナルスの「カージナル」と同じ単語ですが、こちらは鳥の名前が由来のようです)

あと、開区間 A=(0,1) と閉区間 B=[0,1] の全単射 h:A → Bの例としては、例えば以下のようなものが考えられます。

x=1/2 のとき h(x)=0, x=1/3 のとき (x)=0, x=1/n (n ≧4)のとき h(x) = 1/(n-2), その他の場合 h(x) = x

なお、小学1年の算数の数の教え方についてのネタもとはこちらの本です。
自分が「数学につまずいている」と感じた人は大至急読むとよいでしょう!?

2010年10月15日金曜日

(受領確認)第2回レポート

第2回の課題レポートを提出されたIDを確認のため掲示します。

適宜、この記事は更新していきますので、提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

10/15 22:00 時点の提出者:

IM10F001, IM10F003, IM10F004, IM10F005, IM10F006, IM10F010,
IM10F011, IM10F012, IM10F013, IM10F014, IM10F016, IM10F019,
IM10F021, IM10F022, IM10F023, IM10F025, IM10F026, IM10F029,
IM10F030, IM10F031, IM10F032, IM10F033, IM10F034, IM10F035,
IM10F037, IM10F039, IM09F008

予習用資料の追加

イントラネットに、第4回~第7回分の予習用資料をファイルでアップしておきました(これらのファイルが不要の方もいますが)。

あと、第2回・第3回の予習用資料の問題略解もアップしておきました。

2010年10月11日月曜日

第1回レポート解答例のおまけ問題について

第1回レポート解答例のおまけ問題についてですが、正解者が現れました。

組合せ数が非常に多いので、手計算では解答は不可能なはずです。したがって、何らかのプログラムを実行
して、組合せを絞り込む必要があります。

誰か解答するとしても、もう少し先の話だと思っていましたが・・・あっぱれです。

2010年10月10日日曜日

10/15(金)「金融数理の基礎」第3回:集合論(集合、写像、集合族、濃度)

第3回目は、前回の「集合・写像」に続いて、集合論における基本的な話題を確認していきます。

イントラネットのこちらにある「集合・写像」に関する基礎的内容の予習用資料では、1-4,1-7,1-8,1-9 について触れます。最低限この4つの項目には目を通してきてください。

* 集合族
* 可算集合族の共通部分、和集合の演算
* 集合の濃度
* 可算無限集合、非可算無限集合
* 濃度の大小、濃度の演算

という流れで進めたいと思います。

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。
(授業日前日までに出していただけると、レポート確認作業を分散化できて助かります)

2010年10月9日土曜日

第1回レポートの講評

第1回目の課題レポートをチェックしての講評です。

問3に関しては、皆さんポイントを押さえて答えられていました。表を使って分かりやすく説明していたレポートも多かったです。採点でも「Very Good!」としかコメントしなかった人が多かったですが、特に問題ないと判断したものについては、私は必要以上のコメントはしません。
若干、説明文章をもう少し整理した方が良いと感じられた人や、文章化すべき肝心なロジックをあいまいにしている人については、少し注意をしておきました。

問4に関して「1と4」という答えを出していた人は少なくなかったのですが、「Very Good!」に相当した解答は10名程度でした。本質はついているけど、説明が分かりにくかったり、発見的すぎたりしている人が数名、答えは結果として正しいものを含んでいるけれど問題の要求と照らして、推論の仕方として不完全な人が10名程度でした。

「1と4 または 8と9」という2つを答えとした人が、けっこう目立ちました。

「8と9」が答えとして妥当かを少し考えてみましょう。
*****
積は72、和は17になります。
A君は最初の時点で、(8,9) か (6,12) のどちらなのかを断定できないので、
「分からない」と答えることになります。

B君も (8,9), (7,10), (6,11), (5,12), (4,13) の可能性がありますが、(8,9) と (5,12) 以外は、積だけで断定できるので、A君が分からないということは、 (8,9) と (5,12) のどちらかということまでは分かるが、どちらかは断定できないことになります。

A君は (8,9) なら和は17、 (6,12)なら和は18 であることは分かってます。しかし、和が18のとき、 (9,9), (8,10), (7,11), (6,12), (5,13) の可能性のうち、自分が積だけで判断できないのは (6,12)だけであり、和が18であればA君が分からないと答えたらB君には直ちに(6,12)だと分かるはず。B君は分からないと答えたので、和が18の可能性は除外できます。すると積72を達成できるのは(8,9) の方と断定できるので、A君は分かったと答えることになります。

B君はA君が教えられていた積が72であると仮定すれば同じ推論で (8,9) に気づくはずです。
一方で、 (5,12)が正しく積が60であると仮定した場合はどうか?このときは、A君が(5,12) か (6,10)で迷うことになるはずだが、これまでのやりとりだけでは、B君は「A君が(6,10)の可能性を合理的に除外できない」ことに気づく(この部分の詳細説明は割愛します)ことになるので、A君が分かったと答えられたことで、積60すなわち (5,12)の可能性を除外でき、B君は結局(8,9)だと分かった。
*****

どこかおかしな点はあるでしょうか?
「分からない」→「分からない」→「分かった」→「分かった」の
応酬からの推論としてはおかしくないと思います。

ポイントは、(8,9)を導く過程に
「A君が『分からない』と言ったことにうなずける」という内容が、一切使われていないところです。
実は、この発言の一つの役割は、(8,9)の可能性を除外して、答えを(1,4)に特定するための条件と考えられます。
B君の1つ目の発言の後半を単なる冗長部分ととらえてしまうと(8,9)も正解とできますが、そうなると合理的なB君がなぜ無意味な発言をしたのかという話になります。
また、解答例に書きましたが、実際にはB君の1つ目の発言は後半こそが本質であり、「分からない」の方がredundantな部分になっています。

よって発言全体の情報を勘案すると、(1,4)に限定できます。

一方で「A君が『分からない』と言ったことにうなずける」は、解答例のような意味以外の解釈も可能であるという趣旨のコメントをしていた方がいました。
 実はそこも今回の問いの隠れたポイントです。あえて実際の出題時とは違う表現にしています。あまりストレートに表現すると、分かりやすくなると思って、ギリギリこちらの思惑に誘導できる表現を狙ってみました。ただし、ギリギリを狙っていますので、上記の発言内容をこちらの意図とは違うニュアンスでとらえてしまった方がいても不思議ではありません。
 ただし、どのように解釈したかについて分かりやすく表現できた人はほとんど、出題意図にそった解釈をした人です。違うニュアンスでとらえていると読めた人で、どのようにとらえたかを適切に表現できていた人はごくわずかでした。






2010年10月8日金曜日

(受領確認)第1回レポート

第1回の課題レポートを提出されたIDを確認のため掲示します。

適宜、この記事は更新していきますので、提出したはずなのに自分のIDが
無いという人は、早めに中川に連絡ください。

10/8 21:50 時点の提出者:

IM07F009, IM09F008, IM09F010, IM09F023, IM10F001, IM10F003,
IM10F004, IM10F005, IM10F006, IM10F010, IM10F011, IM10F012,
IM10F013, IM10F014, IM10F016, IM10F017, IM10F018, IM10F019,
IM10F021, IM10F022, IM10F023, IM10F025, IM10F026, IM10F029,
IM10F030, IM10F031, IM10F032, IM10F033, IM10F035, IM10F037,
IM10F038, IM10F039, IM10F040,

「金融数理の基礎」第2回フォロー

※授業のスピードについてのアンケートのガジェットを追加しましたので、投票してください(14日(木)の23:59まで投票可能)

今回の配付資料、前回問題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

あと、ギリシャ文字、ドイツ文字、アレフ等の文字についてのオマケ資料を次回分のところにアップしておきました。

授業の最後に質問がありましたので補足しておきます。

内包的な集合表記で、{x | P(x), Q(x), R(x)} のように書いた場合は、{x | P(x) かつ Q(x) かつ R(x)} の意味です。「かつ」は面倒になってくると「,」に変わるので今後も注意してください。

あと真偽表について知らなかったという質問がありました。
他力本願ですみませんが、例えばこちらとかこちらなどを見てみてください。

2010年10月4日月曜日

10/8(金)「金融数理の基礎」第2回:数学独特の記号、表現、論理、集合論(集合、写像)

 第2回目は、「集合・写像」について、記号の使い方、言葉の定義、基本的性質について確認していきます。
 繰り返しになりますが、イントラネットのこちらに「集合・写像」に関する基礎的内容の予習用資料に目を通してきてください。次回の授業では、1-1,1-2,1-3,1-6 について触れますので、最低限この4つの項目はきちんと読んで、できれば問題も解いてみてください。

ただし、板書の方は上記資料とは別に行います。予習用資料に書き込もうとせずに、板書用のノートを用意してきてください。

* 授業前半を通じての問題意識について
* 集合に関係する用語、記号
* 集合の基本的演算
* 写像に関係する用語、記号
* 写像と集合についての基本的関係

という流れで進めたいと思います。
(準教科書「測度と積分」でいえば1ページから4ページあたりの内容になります)

また、前回の課題レポートを提出する人は、授業前後に私が教室に持参するトレイに提出するか、授業開始前までに共同研究室の指定トレイに提出してください。

2010年10月1日金曜日

「金融数理の基礎」第1回フォロー

今回の配付資料はイントラネットにアップしておきました。
次回に向けて予習しておいてほしい資料のファイルもおいてあります。

宿題レポートの課題は配付資料の問3(答えだけは明らかにしました)と問4です。
次回の授業の前後に教室で回収します。また、早めに提出できる人は共同研究室のレポート提出トレイに提出してください。
(学籍番号と氏名を忘れないこと)

問3のヒント(?)はこちら

また、TeXを使ってみようのページはこちらです。


★授業中に紹介したテキストなど

今岡光範他『これだけは知っておきたい教員のための数学I 代数・幾何」培風館(2007)
※「解析・統計・コンピュータ編」もある。2冊読み通せば相当勉強になります。

S.E.シュリーヴ(長山いづみ他訳)『ファイナンスのための確率解析 II-連続時間モデル』シュプリンガー・ジャパン(2008)
※この本の1章2章に相当することをやろうとするわけで、これを教科書にすることも考えたが、この本の神髄である連続時間モデルに触れる予定はないため、そりゃないだろうということで教科書採用を見送り。でも1章2章には是非目を通して欲しいです。

あと、授業では紹介を割愛しましたが「金融工学」と「数理ファイナンス」の違いについての HQ vol.26 の中川エッセイへのダイレクトリンクはこちら

その他、すでに過去のブログ記事で紹介したものも再掲する。

  1. M.ツァピンスキ, E.コップ(二宮 祥一, 原 啓介翻訳), 『測度と積分-入門から確率論へ』, 培風館(2008) ※準教科書。原著は、Marek Capinski, Peter E. Kopp, Measure, Integral and Probability. 2nd ed. [Paperback], Springer(2004)
  2. 関根 順, 『数理ファイナンス』, 培風館(2007) ※準教科書
  3. 新井 紀子, 『数学は言葉』, 東京図書(2009) ※参考書
  4. 上野 健爾 , 『測る』, 東京図書(2009) ※参考書
  5. Sean Dineen, Probability Theory in Finance: A Mathematical Guide to the Black-Scholes Formula, American Mathematical Society (2005)