2010年10月16日土曜日

第2回レポートの講評

第2回目の課題レポートをチェックしての講評です。

出題した時点で予想していましたが、レポートのチェックは苦労しました。
多くの人が、集合や写像の概念や記号法にまだ慣れていない段階ですので、
当たり前のことです。
レポートのコメント(読みにくいとは思いますが…)や解答例を参考に、私がどういう解答を期待しているのかを読み取っていただければと思います。
もちろん、私が示した方法でなくても、数学的に妥当な議論であって、それを理解して書いていることが分かれば、それを評価したいと思います。

ということで、2回目のレポート課題の解説を、次回の授業後(21:40~22:00くらい)に行いたいと思います。もちろん強制ではありません。聞きたい人だけ残ってください。

なお、証明問題については「Good」「O.K.」「だいたいO.K.」というようなコメントがあれば、いちおう合格と考えてください。

問1について。計算用紙やノートからの写し間違いのようなケアレスミスと思われるものもありましたが、それは後チェックで発見してほしいところでした。あと、集合演算の意味をきちんと理解していないと思われる解答も少なくありませんでした。少なくとも、有限集合についての共通部分、和集合、差集合については理解してほしいところです。
中間試験でも、この類の問題は出すつもりです。

問2について。他の2問に比べると出来はよかったのですが、集合で使う∪,∩,\, ∈,⊂,= といった記号と、論理で使う ∨(or),∧(and),¬(not), ⇒, ⇔ といった記号の使い方の混乱が多くの人に見られました。

あと、命題の式を変形していくうえで、定義に基づいた変形以外の理由で変形している部分については根拠(結合則、分配則、ド・モルガン、etc)を簡潔に示すようにしてください。根拠を簡潔に示せないということは、自分でもそういう変形が正当であるかどうかを理解できていない証拠です。

問3について。きちんと証明できていた人もいましたが、写像の記号の使い方や説明の仕方が身についていると読み取れたのはごく少数でした。もちろん、単射や全射の定義だけを聞いて、証明するのは簡単ではないので、今の段階で分からなくても悲観する必要はありません。

また、図を描けば直観的に明らかに見えるので、そのイメージを伝えることで証明にしようという人が少なくありませんでしたが、ここでは図はあくまでも補助的なもので、証明は集合と論理の言葉で積み上げるものと位置づけます。

まずは、3回目の授業を通じて、単射とか全単射が2つの集合の濃度を比べる際に必要不可欠な概念だということを分かってもらえればと思います。

問4について。手つかずの人も多くいました。また、B_n の定義の仕方を理解すれば、直観的に明らかなことを証明せよ、という問題なので、直観的なイメージを伝えようという人がこの問題でも少なくありませんでした。

(1)は、解いている人の多くが、証明のポイントとなる事実をつかんでいるように見えましたが、説明が冗長になりすぎていると感じられる人が目立ちました。

(2)は、数学的帰納法を宣言している人以外は、程度の差こそあれ論理の飛躍が目につきました。「以下同様に」と書かれていても、同様にどういう手続きをすればよいか明示されていないといけません。

なお解答例は、集合演算規則を既知として、集合の等号変形で示す方法をとっています。

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