2010年10月9日土曜日

第1回レポートの講評

第1回目の課題レポートをチェックしての講評です。

問3に関しては、皆さんポイントを押さえて答えられていました。表を使って分かりやすく説明していたレポートも多かったです。採点でも「Very Good!」としかコメントしなかった人が多かったですが、特に問題ないと判断したものについては、私は必要以上のコメントはしません。
若干、説明文章をもう少し整理した方が良いと感じられた人や、文章化すべき肝心なロジックをあいまいにしている人については、少し注意をしておきました。

問4に関して「1と4」という答えを出していた人は少なくなかったのですが、「Very Good!」に相当した解答は10名程度でした。本質はついているけど、説明が分かりにくかったり、発見的すぎたりしている人が数名、答えは結果として正しいものを含んでいるけれど問題の要求と照らして、推論の仕方として不完全な人が10名程度でした。

「1と4 または 8と9」という2つを答えとした人が、けっこう目立ちました。

「8と9」が答えとして妥当かを少し考えてみましょう。
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積は72、和は17になります。
A君は最初の時点で、(8,9) か (6,12) のどちらなのかを断定できないので、
「分からない」と答えることになります。

B君も (8,9), (7,10), (6,11), (5,12), (4,13) の可能性がありますが、(8,9) と (5,12) 以外は、積だけで断定できるので、A君が分からないということは、 (8,9) と (5,12) のどちらかということまでは分かるが、どちらかは断定できないことになります。

A君は (8,9) なら和は17、 (6,12)なら和は18 であることは分かってます。しかし、和が18のとき、 (9,9), (8,10), (7,11), (6,12), (5,13) の可能性のうち、自分が積だけで判断できないのは (6,12)だけであり、和が18であればA君が分からないと答えたらB君には直ちに(6,12)だと分かるはず。B君は分からないと答えたので、和が18の可能性は除外できます。すると積72を達成できるのは(8,9) の方と断定できるので、A君は分かったと答えることになります。

B君はA君が教えられていた積が72であると仮定すれば同じ推論で (8,9) に気づくはずです。
一方で、 (5,12)が正しく積が60であると仮定した場合はどうか?このときは、A君が(5,12) か (6,10)で迷うことになるはずだが、これまでのやりとりだけでは、B君は「A君が(6,10)の可能性を合理的に除外できない」ことに気づく(この部分の詳細説明は割愛します)ことになるので、A君が分かったと答えられたことで、積60すなわち (5,12)の可能性を除外でき、B君は結局(8,9)だと分かった。
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どこかおかしな点はあるでしょうか?
「分からない」→「分からない」→「分かった」→「分かった」の
応酬からの推論としてはおかしくないと思います。

ポイントは、(8,9)を導く過程に
「A君が『分からない』と言ったことにうなずける」という内容が、一切使われていないところです。
実は、この発言の一つの役割は、(8,9)の可能性を除外して、答えを(1,4)に特定するための条件と考えられます。
B君の1つ目の発言の後半を単なる冗長部分ととらえてしまうと(8,9)も正解とできますが、そうなると合理的なB君がなぜ無意味な発言をしたのかという話になります。
また、解答例に書きましたが、実際にはB君の1つ目の発言は後半こそが本質であり、「分からない」の方がredundantな部分になっています。

よって発言全体の情報を勘案すると、(1,4)に限定できます。

一方で「A君が『分からない』と言ったことにうなずける」は、解答例のような意味以外の解釈も可能であるという趣旨のコメントをしていた方がいました。
 実はそこも今回の問いの隠れたポイントです。あえて実際の出題時とは違う表現にしています。あまりストレートに表現すると、分かりやすくなると思って、ギリギリこちらの思惑に誘導できる表現を狙ってみました。ただし、ギリギリを狙っていますので、上記の発言内容をこちらの意図とは違うニュアンスでとらえてしまった方がいても不思議ではありません。
 ただし、どのように解釈したかについて分かりやすく表現できた人はほとんど、出題意図にそった解釈をした人です。違うニュアンスでとらえていると読めた人で、どのようにとらえたかを適切に表現できていた人はごくわずかでした。






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