授業はテキストの該当箇所を一度はしっかり読んでおいてもらうことを前提に組み立てていますので、真っ新で授業に臨まれると、さすがに速いと感じると思います。それに授業時間内に完全に理解できるというわけでもないと思いますので、復習も忘れずに。
最後にやってもらったプット・オプションの計算練習は是非自分なりに完結するようにしてください。
あと、年を重ねてくると実行に移しにくいとは思いますが、授業中に「少し待ってください!」と言うのも学生の権利です。
宿題プリント(配布したもの)および前回の宿題の解答例をイントラネットにアップしておきました。
前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の22名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。
IM06F023, IM08F014, IM08F019, IM08F022, IM08F032, IM08F033,
IM09F001, IM09F002, IM09F006, IM09F007, IM09F010, IM09F012,
IM09F014, IM09F016, IM09F017, IM09F022, IM09F023, IM09F025,
IM09F031, IM09F032, IM09F037, IM09F041
以下、コメントです。
問1はしっかり解けている人もいましたが、全体的に出来が良いとは言えませんでしたので、次回の授業で解説します。
問題文のエッセンスは、(X_0 = 0 として)
(★)「0<d<1+r<u ⇒全ての実数Δ_0 に対して 『P(X_1<0)>0でない ⇒ P(X_1>0)>0でない』」
を証明せよということです。
否定で条件付けられると分かりにくいので、『』内の命題を対偶で表します。
(元の命題(A ⇒ B)とその対偶(「Bでない」 ⇒「Aでない」)は真偽が必ず同じになるというのは、誰もがどこかで習っていると思いますが・・・)
上の『』内の命題の対偶は
『P(X_1>0)>0 ⇒ P(X_1<0)>0』
になります。
ここで、(A ⇒ B)というのは、(「A でない」または B)と同値だと話したと思いますので、 ⇒ を使わずに表すと
『P(X_1>0)=0 または P(X_1<0)>0』
となります。
これを別の表現にすると『P(X_1≦0)=1 または P(X_1<0)>0』と表せます。これは授業でも説明した形のはずです)
ということで、
「0<d<1+r<u ⇒全ての実数Δ_0 に対して 『P(X_1≦0)=1 または P(X_1<0)>0』」
を示すという問題になりました。「または」なので、どんな実数Δ_0に対しても、必ず X_1≦0 になるか、 P(X_1<0)>0 となることのどちらか一方でも成り立つことを示せばOKです。
他に議論が不十分な点として、以下のようなケースが見受けられます。昨年度も同じ課題を出しましたが、そのときのコメントとも重複します。
- 株の購入単位Δが正の場合でしか成り立たない議論をしている(Δ=0, Δ<0では様子が変わります)
- (★)の対偶を示そうとした人もいましたが、「d<1+r<u」の否定を考えようとした人に、「1+r<d」「u<1+r」としている人が多く見られました。厳密には、「d<1+r<u」の否定は「1+r≦d または≦1+r」となり、等号も入れる必要があります。
- 数式の記法が若干変な人もいました。
ポイントは、X_1(H)とX_1(T)のどちらかが正だと、もう一方は必ず負になるということを数式で明確にすることです。
なお、この問題の(隠れた?)メッセージとしては、「株式現物とマネーマーケットで No Arbitrage が成立していれば、株のオプションをポートフォリオに加えてみたところで arbitrage を見出すことはできない」ということです。
完備市場になっているので、どんなデリバティブも複製できるので当然なのですが、要するに完備市場では、デリバティブを導入しても本質的に資産数を増やすことにつながらない、ということですね。
問3は(1)は出来が良かったですが、(2) は K=1 の場合にS_1(T) も In the money になって (2^2 - 1^1)^+ = 3 を考慮しないといけないことを忘れている人が若干いました(計算ミスの人も)。また、K=9 のところも 0 でない数値を答えている人が少しいました。
ほとんどが routine な作業でも、少しだけ irregular なことが混ざっていて、注意しなくてはいけないよ、という教訓だと思ってください。
まあ、これは手計算を少なからず行って、計算効率をあげよう?と思った人について言えることで、機械的にプログラムしてしまうと、 irregular な要素はなくなってしまうのですが。
手計算派とコンピュータ(Excel?)派は半々といったところでした。
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