2009年4月7日火曜日

「金融数理の基礎」第1回フォロー

第1回目の講義資料、プレゼン資料、Excelファイルはイントラネットにアップしておきました。

宿題を確認しておくと、
配付資料の最後のページにある short questions に関して

  • 問題1の (1)(2) を解く
  • (3) の答えは (ii) である。そこで、実際に命題Pを満たすが、命題Qを満たさない関数f(および定義域A)の例を見つけて、できればその関数が P を満たすが Q を満たさないことを証明せよ
  • 問題2を解く
  • 問題3を解く(ユニークな解法を期待します)

宿題のレポート提出方法ですが、次回の授業時間に直接提出するか、あるいは共同研究室に宿題提出用のトレイを用意してもらう予定なので、次回の授業前までにそちらに提出してもらってもかまいません。

あと、traffic jam ゲームの件ですが、人の動きを忘れてスペースの動きに注目すると、問題解決のための別のアプローチも出てくると思います。
余裕があれば、小学生にも理解できるような、動き方について、できるだけシンプルな説明方法を考えてみてください(これは宿題ではありませんが、オプション問題として解答をお待ちしています)。

次回以降は、基本的には教科書に沿って、ホワイトボードに板書する形式の授業をする予定です。

2 件のコメント:

Taka さんのコメント...

人の動きを忘れて,スペースの動きに着目するのもおもしろい,というのはまったくその通りだと思います.

ちょうどルービックキューブの回転操作に着目するか,表面のパターンに着目するか,というのと似た話でしょう.

もう少し数学的に言えば,いわゆるdualityの問題に通じると思います.Traffic Jam問題そのものは有限群の置換操作ともともとの群の要素の問題ですが,たとえばHilbert空間の要素ととその空間上のオペレータを(Rieszの表現定理を通じて)同一視するときの話のようなものでしょう.
先生が着目されたのはオペレータの方で要素(特に穴の開いているところだけとは限らない)に着目するのがもうひとつの考え方なのだと思います.

一方,その前の先生の設問,つまりローカルな情報しか持たない参加者に与えるインストラクションというのは,昔ノイマンがやったセルラーオートマトンのプログラミングを思い出し,興味深く思いました.

中川秀敏 さんのコメント...

takaさん

コメントありがとうございます。

鋭い考察で、感服です。

お察しの通り、私はオペレータに着目しているわけですが、当初は taka さんの考察のように全体が見通せていたわけではありません。

最初はオペレータの代数構造をきちんと数学的に考えてみようと思ったのですが、それよりも授業のネタとして、Excelで見せるものを作ってみようと思いました。
そこで実験していくうちにスペースの動きについても注目できたというのが実際のところです。

ちなみに、「Riesz(リース)の表現定理」という名前が出てきましたので、少しコメントすると、実はこれは「数理ファイナンス」の根本的な議論をする上での不可欠なものです。
(※ヒルベルト空間のことを知らない人のために補足します。ざっくり言うとRiesz(リース)の表現定理とは、ベクトル x を実数に対応させる線形性をもつ関数 F があったとき、あるベクトル yが一つ存在して、F(x) は2つのベクトル xy の内積として表されるというようなことの一般的な定理です。この場合、オペレータに相当する関数Fとベクトルyは数学的な対象としては違う、1対1対応しているので同一視できるということです)

私の授業では明示的には使いませんが、シラバスを見る限りでは本多先生の授業ではその辺の話が出てくるかもしれません。リースの表現定理という言葉は出ないと思いますが、知っていると背後のカラクリがよく理解できるかもしれませんね。