2009年4月28日火曜日

「金融数理の基礎」第4回フォロー

宿題プリント(配布したもの)および前回の宿題の解答例(問3の解説が昨年度のままだったので修正しました)をイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の20名(順調に提出者が減少しています!)です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM08F014, IM08F019, IM08F033, IM08F036, IM09F001, IM09F002,
IM09F006, IM09F007, IM09F012, IM09F014, IM09F016, IM09F017,
IM09F022, IM09F023, IM09F024, IM09F025, IM09F031, IM09F032,
IM09F037, IM09F041

以下、コメントです。

問1 は教科書の ωn+1=H の場合の証明を参考にすればできますが、どういう根拠を使って式変形しているのか説明不足に感じられるものにはコメントしています。
ほとんどの人が証明の内容を理解しているとは思いますが、式変形の際の根拠がレポートに中に触れられていないということは、よく分からないまま書き写している可能性を払拭できないので、評価上は少し減点することになります。

また、付け足しの計算問題を忘れていたのか解答していない人や、計算ミスの人が少なからずいました。

問2は(0) は皆さん正解でした。(i)(iii) は答え方がまだ分かっていない人が若干いました。あと、式はできるだけ整理した形で書くようにしてください(減点まではいきませんが)。
(i) の答えの中で、r=0.03 であることや u = 2.5 としていることを途中で忘れている人がいました。
(ii) は正解している人は半数くらいでしょうか?手計算派とコンピュータ派は今回も半々といったところでしょうか。
コンピュータ派の人も、試験対策として手計算の練習はしておいてください。

問3は、二項モデルと同様の複製戦略を考えようとして、未知数2つに対して、制約となる方程式が3つあり、解が求まらないという議論をしている人がいました。その考察自体は間違いではないのですが、では価格をどう与えるのか?をさらに一歩進めてほしかったと思います。
解答例で最初に紹介している方法は、すぐにはピンとこないかもしれませんが、自分で図を描いたりして説明の意味を考えてみてください。
同じような考え方は、アメリカン・デリバティブの価格付けのところで使います。

また、リスク中立確率が存在するとしてリスク中立価格評価式を持ち出して議論する人も多かったです。(複製の議論と併記している人もいました)
確率であるという要請があるので、3つの確率の和が1であるという条件には多くの人が気づいていました。
ただ、リスク中立ということから導かれる条件や、いすれの確率も正の値であるという不等式条件まで考慮している人はあまりいませんでした。

無裁定という条件だけを使って数理ファイナンスで用意される答えは、公正価格は 0.6<V_0<1.2 を満たさないといけないというものですが、そこまでたどり着いている人は一人でした。
(計算ミスや条件を忘れていなければこの答えにたどりついたかもという人はあと二人くらいいました)

また、無裁定条件だけでなく、非完備市場で価格を一意に求めるために、元の確率測度とリスク中立確率の「距離」が最小になるとか、エントロピーが最小になるとか、別の条件を持ち出して一意に求めるということに言及している人が二人いました。
よく勉強されていると思います。ただし、どうしてそのような追加条件を求めることが適当であるかについて、ファイナンス的に説明できるようにしてほしいと思います。

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