2009年4月30日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第4回フォロー

配布プリント(課題付き)とプレゼン資料と関連するファイルをイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の12名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM05F023, IM08F007, IM08F010, IM08F013, IM08F014, IM08F020,
IM08F028, IM08F029, IM08F030, IM09F014, IM09F017, IK09F002

略解をイントラネットにアップしておきました。
簡単なコメントをしておきます。

(ii) で、線形近似が正規分布に従うことは分かっていながら、分散の計算の仕方が正しくない人が少しいました。間違えた人は復習しておいてください。
(iv) は準教科書の例2.18の式を知らないとできないと思います。式を正確に覚えなくてもよいですが、正規分布の場合は公式でESも計算できるということは記憶にとどめておいてください。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)講演会のご案内

ICS外部向けアナウンスです。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)講演会については、こちらを参照してください。


「金融数理の基礎」第3回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第3回分の宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室のドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2009年4月28日火曜日

「金融数理の基礎」第4回フォロー

宿題プリント(配布したもの)および前回の宿題の解答例(問3の解説が昨年度のままだったので修正しました)をイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の20名(順調に提出者が減少しています!)です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM08F014, IM08F019, IM08F033, IM08F036, IM09F001, IM09F002,
IM09F006, IM09F007, IM09F012, IM09F014, IM09F016, IM09F017,
IM09F022, IM09F023, IM09F024, IM09F025, IM09F031, IM09F032,
IM09F037, IM09F041

以下、コメントです。

問1 は教科書の ωn+1=H の場合の証明を参考にすればできますが、どういう根拠を使って式変形しているのか説明不足に感じられるものにはコメントしています。
ほとんどの人が証明の内容を理解しているとは思いますが、式変形の際の根拠がレポートに中に触れられていないということは、よく分からないまま書き写している可能性を払拭できないので、評価上は少し減点することになります。

また、付け足しの計算問題を忘れていたのか解答していない人や、計算ミスの人が少なからずいました。

問2は(0) は皆さん正解でした。(i)(iii) は答え方がまだ分かっていない人が若干いました。あと、式はできるだけ整理した形で書くようにしてください(減点まではいきませんが)。
(i) の答えの中で、r=0.03 であることや u = 2.5 としていることを途中で忘れている人がいました。
(ii) は正解している人は半数くらいでしょうか?手計算派とコンピュータ派は今回も半々といったところでしょうか。
コンピュータ派の人も、試験対策として手計算の練習はしておいてください。

問3は、二項モデルと同様の複製戦略を考えようとして、未知数2つに対して、制約となる方程式が3つあり、解が求まらないという議論をしている人がいました。その考察自体は間違いではないのですが、では価格をどう与えるのか?をさらに一歩進めてほしかったと思います。
解答例で最初に紹介している方法は、すぐにはピンとこないかもしれませんが、自分で図を描いたりして説明の意味を考えてみてください。
同じような考え方は、アメリカン・デリバティブの価格付けのところで使います。

また、リスク中立確率が存在するとしてリスク中立価格評価式を持ち出して議論する人も多かったです。(複製の議論と併記している人もいました)
確率であるという要請があるので、3つの確率の和が1であるという条件には多くの人が気づいていました。
ただ、リスク中立ということから導かれる条件や、いすれの確率も正の値であるという不等式条件まで考慮している人はあまりいませんでした。

無裁定という条件だけを使って数理ファイナンスで用意される答えは、公正価格は 0.6<V_0<1.2 を満たさないといけないというものですが、そこまでたどり着いている人は一人でした。
(計算ミスや条件を忘れていなければこの答えにたどりついたかもという人はあと二人くらいいました)

また、無裁定条件だけでなく、非完備市場で価格を一意に求めるために、元の確率測度とリスク中立確率の「距離」が最小になるとか、エントロピーが最小になるとか、別の条件を持ち出して一意に求めるということに言及している人が二人いました。
よく勉強されていると思います。ただし、どうしてそのような追加条件を求めることが適当であるかについて、ファイナンス的に説明できるようにしてほしいと思います。

2009年4月27日月曜日

4/30(木)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第4回:市場リスク(2)

第4回目は、VaRとES算出に関する話題の残りです。

準教科書でいうと、2.3.2, 2.3.3, 2.3.5 項の内容に触れます。3.1.4 項の内容にも少し触れます。

  • ヒストリカル法およびモンテカルロ法による VaRの計測の概要
  • 正規性および独立性の検定に関して
  • バックテストの考え方
準教科書が手もとにあれば、該当部分にざっと目を通しておいてください。

また、第1回レポート課題(成績評価に直結するもの)の説明も行います。

2009年4月24日金曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回分課題レポート【返却】

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回分の課題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

4/28(火)「金融数理の基礎」第4回:二項モデルの確率論的整理(1)

第4回目は、教科書の2.1節~2.3節の内容を扱います。また、準教科書の1.1節の内容にも言及します。特に「条件付き期待値」の定義は、準教科書に書かれているものを紹介する予定です。

前2回は「ファイナンス」が背景にあることを前提にした数学モデルの話をしましたが、第4回は純粋に「数学」の話が中心になります。

また、第2回の宿題(d<1+r<u が無裁定の十分条件であること)についても復習したいと思います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • 有限確率空間、確率変数、分布、期待値などの用語の確認(すでに授業の中で使っていますので、この辺はさらっと進める予定です)
  • 条件付き期待値の記法と何を表しているかのイメージ
  • 条件付き期待値の重要な性質

2009年4月23日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第3回フォロー

配布プリント(課題付き)とプレゼン資料と第3回の演習用のデータをイントラネットにアップしておきました。

また、第1回目のレポートは授業前に返却しましたが、欠席した人の分は共同研究室のフォルダに入れてもらうようにしました。

※今回のレポート課題は「問2」だけです。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の14名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM05F023, IM08F007, IM08F010, IM08F013, IM08F014, IM08F020,
IM08F022, IM08F028, IM08F029, IM08F030, IM08F036, IM09F014,
IM09F017, IK09F002

なお、第2回目のレポート課題の問1は準教科書の例2.4と例2.5の内容をまとめてあるだけの場合は特にコメントしませんので、ご容赦ください。オリジナルなことを書いてある場合にはコメントをつけます。

問2 は全て正解していたのは3名でした。
何人かの人は(5) のLに対する99%ESを、約6280万円(6.28)と算出している人がいました。
これは Lの99%VaRが5と求めていたので、L≧5 としたときの条件付き平均をそのまま計算してしまったのでしょう。
授業でも説明したように、きっちり99%以上のところだけの平均をとる必要があるので注意が必要です。

また、説明なしに正規分布のときのVaRやESの計算式を持ち出している人がいましたが、この場合はそのままでは使えません。
二項分布を正規分布で近似するという文脈で、正規分布のときのVaRやESの計算式を使っている人がいましたが、今回の設定ではVaRもESも正確な値に比べてかなり低い数字が出てしまうようです。

あと「劣下方性」とか「劣法性」とかの記述もありました・・・

今日の授業中に問1で演習したような離散分布に対する VaR と ES の計算は、期末試験でも必ず出題します。
VaR や ES になじみのない人には、今回の説明は不親切だったかもしれませんが、数式に振り回されず、VaR や ES の根本的な意味を考えれば、どう考えればよいかを自分自身の力で見いだせるはずです。良く考えてみてください。
そのうえでVaR や ES の定義の数式を見直すと、意味するところが理解できてくるようになると思います。

あと今回は市場リスクに対するVaR と ES 計算方法について概説したわけですが、「市場リスク」が何を指しているのか、という質問を受けました。
確かにそこは明確に定義していませんでした。

準教科書には「市場リスクとは、株や債券の価格、為替、商品価格など基礎的要素の価値の変化によって、それに依存する金融資産の価値が変化するリスク」(準教科書1.1.2項より引用)とあります。

「基礎的要素」という用語が多少あいまいですが、現実には、取引するための市場が存在していて、客観的な価格なり値(実際の取引値ではなく、bid と ask かもしれませんが)を少なくとも日次で取得できる金融商品や金融指標(あるいはそれらを変換したもの)のことを「基礎的要素」と考えればよいのでしょう。

蛇足ですが、「客観的な価格なり値」は、実際取引可能な価格を意味していませんし、流動性の低い資産であれば、両者はかなり乖離するはずで、「流動性リスク」を考慮する必要があることはいうまでもありません。

実務的な市場リスクおよび流動性リスクの対応については、こちらこちらが非常に参考になると思います。

2009年4月22日水曜日

「金融数理の基礎」第2回分宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第2回分の宿題レポートを返却します。

一度書いたコメントを消したり書き直したりして、レポート用紙を汚くしてしまっている人が今回もいます。すみません。

コメントを消しているのは、私が比較的最初の方でレポートをチェックしている場合や初見ではその人の解答ロジックが私にスッと入ってこない場合が多く、他の人のレポートをチェックしたり、じっくり読み直したりしているうちに、私が適当でない(あるいは的外れな)コメントを書いていることに気づくというパターンです。

私があまりコメントしていないレポートは、私から見て特に問題がなく(あるいは少々ミスしていても、私が理解しやすいロジックで説明してあって細かいところをスルーしている)良くできていることを意味しています。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室のドアのところ個人フォルダから受け取ってください。


採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2009年4月21日火曜日

「金融数理の基礎」第3回フォロー

※アンケートの「速すぎる」に2票(1票は少し速いから移動?)入りました!
授業はテキストの該当箇所を一度はしっかり読んでおいてもらうことを前提に組み立てていますので、真っ新で授業に臨まれると、さすがに速いと感じると思います。それに授業時間内に完全に理解できるというわけでもないと思いますので、復習も忘れずに。

最後にやってもらったプット・オプションの計算練習は是非自分なりに完結するようにしてください。

あと、年を重ねてくると実行に移しにくいとは思いますが、授業中に「少し待ってください!」と言うのも学生の権利です。

宿題プリント(配布したもの)および前回の宿題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の22名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM06F023, IM08F014, IM08F019, IM08F022, IM08F032, IM08F033,
IM09F001, IM09F002, IM09F006, IM09F007, IM09F010, IM09F012,
IM09F014, IM09F016, IM09F017, IM09F022, IM09F023, IM09F025,
IM09F031, IM09F032, IM09F037, IM09F041

以下、コメントです。

問1はしっかり解けている人もいましたが、全体的に出来が良いとは言えませんでしたので、次回の授業で解説します。

問題文のエッセンスは、(X_0 = 0 として)
(★)「0<d<1+r<u ⇒全ての実数Δ_0 に対して 『P(X_1<0)>0でない ⇒ P(X_1>0)>0でない
を証明せよということです。

否定で条件付けられると分かりにくいので、『』内の命題を対偶で表します。
(元の命題(A ⇒ B)とその対偶(「Bでない」 ⇒「Aでない」)は真偽が必ず同じになるというのは、誰もがどこかで習っていると思いますが・・・)

上の『』内の命題の対偶は
『P(X_1>0)>0 ⇒ P(X_1<0)>0
になります。

ここで、(A ⇒ B)というのは、(「A でない」または B)と同値だと話したと思いますので、 ⇒ を使わずに表すと
『P(X_1>0)=0 または P(X_1<0)>0
となります。
これを別の表現にすると『P(X_1≦0)=1 または P(X_1<0)>0と表せます。これは授業でも説明した形のはずです)

ということで、
「0<d<1+r<u ⇒全ての実数Δ_0 に対してP(X_1≦0)=1 または P(X_1<0)>0
を示すという問題になりました。「または」なので、どんな実数Δ_0に対しても、必ず X_1≦0 になるか、 P(X_1<0)>0 となることのどちらか一方でも成り立つことを示せばOKです。

他に議論が不十分な点として、以下のようなケースが見受けられます。昨年度も同じ課題を出しましたが、そのときのコメントとも重複します。

  • 株の購入単位Δが正の場合でしか成り立たない議論をしている(Δ=0, Δ<0では様子が変わります)
  • (★)の対偶を示そうとした人もいましたが、「d<1+r<u」の否定を考えようとした人に、「1+r<d」「u<1+r」としている人が多く見られました。厳密には、「d<1+r<u」の否定は「1+r≦d または≦1+r」となり、等号も入れる必要があります。
  • 数式の記法が若干変な人もいました。
問2コール・オプションと勘違いしていた人が何人かいました。テスト本番では注意してください。(2) は本質的に問1と同じことを尋ねている問題だということに注意してください。
ポイントは、X_1(H)とX_1(T)のどちらかが正だと、もう一方は必ず負になるということを数式で明確にすることです。

なお、この問題の(隠れた?)メッセージとしては、「株式現物とマネーマーケットで No Arbitrage が成立していれば、株のオプションをポートフォリオに加えてみたところで arbitrage を見出すことはできない」ということです。
完備市場になっているので、どんなデリバティブも複製できるので当然なのですが、要するに完備市場では、デリバティブを導入しても本質的に資産数を増やすことにつながらない、ということですね。

問3は(1)は出来が良かったですが、(2) は K=1 の場合にS_1(T) も In the money になって (2^2 - 1^1)^+ = 3 を考慮しないといけないことを忘れている人が若干いました(計算ミスの人も)。また、K=9 のところも 0 でない数値を答えている人が少しいました。
ほとんどが routine な作業でも、少しだけ irregular なことが混ざっていて、注意しなくてはいけないよ、という教訓だと思ってください。
まあ、これは手計算を少なからず行って、計算効率をあげよう?と思った人について言えることで、機械的にプログラムしてしまうと、 irregular な要素はなくなってしまうのですが。

手計算派とコンピュータ(Excel?)派は半々といったところでした。

2009年4月20日月曜日

4/23(木)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第3回:市場リスク(1)

第3回目から市場リスクを題材に話を進めます。
といっても、市場の価格データを利用してリスクを計量するという意味で市場リスクを題材にするというだけで、紹介する考え方は他のリスクを計量する場合にも応用可能ですし、紹介する方法が市場リスク計測方法としてお奨めであるということでもありません。

準教科書でいうと、2.3.1節の内容にあたることをメインに扱いますが、VaR や ES の復習もします。

  • 第1回課題(問題2)についての振り返り
  • VaRとESについての計算問題
  • 分散共分散法による VaRの計測の概要
  • 分散共分散法による VaRの計測演習とその説明
予習のポイントですが、ポートフォリオ理論をご存知の方は、平均-分散アプローチにおける平均ベクトルや分散共分散行列の取り扱いについて確認しておいてください。
(本質的には、正規分布のいろいろな性質の確認になると思います)

また、それに加えて業種インデックスの過去データから、いかに期待リターンや分散共分散行列を推定すべきかについても少し考えてみてください。

2009年4月17日金曜日

M1ゼミ(2009年度春学期)

M1ゼミの振り分けは、20日(月)の自己紹介が終わった後に、各教員からどのような内容のゼミを行うかについて簡単な説明があって、その後に希望する教員のところに集まって相談するという流れになると思います。

実際には、ゼミ所属希望者の意向や予備知識のレベルに応じて内容を変える可能性がありますが、私のM1ゼミでは、クレジット・リスクをテーマにすると話したと思うので、

この記事でも紹介しましたが、最近翻訳版が出版された

D.Duffie, K.J.Singleton 著(本多 俊毅, 上村 昌司翻訳)『クレジットリスク ―評価・計測・管理―』,共立出版(2009) ※原書はこちらです。(今現在、Amazonでは原著の方が安くなっています・・・)

をテキストとして輪講をしたいと考えています。

実質1.5時間×10回程度で全部を読もうとすると、か なりのハイペースにしないと読めないですし、
かといって、生半可な理解のままでページ数だけをこなすという読み方もしたくないので、どのように進めていくかは思案中です。

スケジュールとしては、何をするかにかかわらず、
4/27(月)は、顔合わせと、テキストの読み方や準備・発表の仕方についてのガイダンスと、予備知識のレクチャーの予定です。

学生の方に発表してもらうのは、
5/11(月)から7/13(月)までの計10回になります。
#希望があれば、休み中に延長戦で2回くらいやるかもしれません。





 

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回フォロー

配布プリント(課題付き)とプレゼン資料と第1回課題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の16名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM05F023, IM08F007, IM08F010, IM08F013, IM08F014, IM08F020,
IM08F022, IM08F028, IM08F029, IM08F030, IM09F014, IM09F017,
IK09F003, IK09F004, ID06L006, EM091014

問題2の「百年に1度・・・」については、皆さんの答えを集めて、次回の授業で少し検討したいと思います。

解答として多かったのは、VaR をイメージしているもので、
年次で観測される何らかの経済or金融の指標の観測値が発生する確率が 1% 以下であるという表現のものです。もちろん、自然な答えだと思います。
ただし、「百年に1度」=「1年に起こる確率が1%(以下)」という単純な読み替えだけで良いのでしょうか?また、年次単位だと過去サンプルもそれほど多くはないなかで、1%以下とする水準(つまり99%V@R)をどのように決めるのが妥当でしょうか?

注目すべき経済or金融指標を明確にしていない解答が多かったですが、資産間の相関や流動性に注目していた人もいましたし、100年以上年率データがとれる事例ということでダウ平均を例にして、パラメータ推定も含めて具体的な計測プロセスを示したものもありました。

また、「百年に1度」とありますが、年単位で考えなくても月次、週次、日次での観測値が「百年に1度」ということは考えられるわけで、その場合に1%という確率を観測期間に対応して変換して、過去の有名なイベントと照らして考察している人もいました。

2項分布を持ち出している人もいましたが、それで何が説明できるのかについてあまり深い考察がされていないと感じました。2項分布はVaRの水準の妥当性をテストする際に不可欠なので、良い着眼だと思いますが。

また、希有なイベントの発生時刻が Poisson 過程のジャンプ時刻だと考えるというものもありました。そうなると考慮すべき「希有なイベント」が分かっていて、なおかつそれを数千年単位で観測して、適合度検定をするというような話になってしまいます。

問題3は、一読して気になった文章についてはコメントをしておきました。最初の2つの小問は字数制限を気にしたせいだと思いますが、「なぜそういう選択をすると言えるのか」についてもう少し言葉を補ってほしいというものがいくつかありました。
(実際での入試採点のポイントがわかりませんが、満点をもらえそうな解答は多くないかもしれません)

課題としたのは、Exercises の 2 と 3 でしたが、1 についても触れた人がいたので、チェックしました。

4/21(火)「金融数理の基礎」第3回:無裁定価格評価二項モデル(2)

第3回目の授業では、前回の復習と補足をした後、教科書の1.2節「多期間二項モデル」を扱います。1.3節の内容にも少し言及したいと思います。(1.3節の内容自体は、2.5節のマルコフ過程のところで詳しく触れるので、最初はスルーします)

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

* 多期間の場合の記号の確認
* 1期間と本質的に違いはあるのか?
* 例題1.2.4の Lookback option(path-dependent の例)

あと、説明しようと思っていて時間が無くて端折っていたこととして、以下のことにも触れたいと思います。

* 「リスク中立」と名付けられている理由
* 1期間で3つ以上の価格に変化しうる場合を考えるのは難しいのか?(これは14ページの「完備」というキーワードとも関連します)

2009年4月16日木曜日

ポートフォリオのファイル提出者(ファイナンシャル・リスク・マネージメント)

エントリー期限(4/16(木)正午)までに、私がポートフォリオのファイルを受領したことが確認できた人のIDは以下の14名です。確認してください。

IM05F023, IM08F007, IM08F010, IM08F013, IM08F014, IM08F020,
IM08F022, IM08F029, IM08F028, IM08F030, IM08F036, IM09F014,
IM09F017, EM091014

このラリーへの参加自体は任意ですが、自分でポートフォリオを作ってリスクを計測するという作業はレポート課題で必須となります。
ラリーへの途中エントリーも可能ですが、(授業成績とはほとんど関係ない)パフォーマンス評価の際に、期限を守った人と不公平にならないようにハンデをつけることになると思います。

証券化商品のリスク管理についてのセミナー

5月26日(火)に、証券化商品のリスク管理についてのセミナーがあるそうです。
詳細はこちら
会場は市ヶ谷駅から歩いていくところだと思いますが、
会社員時代に私も、そこで何回かセミナーの講師を務めたことがあります。

通常は、世の中でたくさん開かれているであろうセミナーのアナウンスを、このブログでいちいちしませんが、このセミナーの講師の一人であるKさんは、東工大時代の私の「弟子」(私が彼の博士課程時の指導教官だったということ。実際は彼が独力でほとんどの研究成果を出したわけで、私はゼミで議論したり、論文添削したりした程度です)にあたりますので、弟子の活躍を影ながら応援するという意味で宣伝しておきます。

2009年4月15日水曜日

「金融数理の基礎」第1回分宿題レポート【返却】

※授業のスピードについてのアンケートのガジェットを追加しましたので、投票してください(21日の夕方まで投票可能)。

「金融数理の基礎」初回分の宿題レポートを返却します。

赤ボールペンの調子が悪かったので、青ペンでコメントを入れてあります。
(また、書いたコメントを消して汚くしてしまった人もいます。すみません)

最初の課題の否定命題の表現については「自分はこういうつもりで書いたのに!」と思う方もいると思いますが、「存在する」εやx,y が自由にとれる δに依存して設定できるかどうかがポイントであり、そこが一義的に読み取れない表現については注意しています。

連続だが一様連続ではない関数と定義域の例について、証明をしているものについて一字一句細かく見たわけではないですが、若干細かいところが不正確な人もいました。この授業では、ε-δ論法は必要ではありませんが、昔勉強したはずだという人は機会あるときに復習しておいてください。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2009年4月14日火曜日

「金融数理の基礎」第2回フォロー

宿題プリント(配布したもの)および前回の宿題の解答例をイントラネットにアップしておきました。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の23名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM06F023, IM07F001, IM08F014, IM08F019, IM08F022, IM08F033,
IM09F001, IM09F002, IM09F006, IM09F007, IM09F010, IM09F012,
IM09F014, IM09F017, IM09F022, IM09F023, IM09F024, IM09F025,
IM09F030, IM09F031, IM09F032, IM09F037, IM09F041

宿題レポートもざっと目を通しましたので、コメントをつけておきます。

課題1ですが、最初にお詫びしないといけません。
ホワイトボードに命題Pと命題Qの否定命題を書いたときに、「A⇒B」の部分の否定を「A⇒(Bでない)」としたままでした。その後、少し触れたと記憶していますが、「A⇒B」の否定は「Aかつ(Bでない)」となるので、命題Pと命題Qの否定でも該当箇所は 「|x-y|<δ かつ |f(x)-f(y)|≧ε」ととらえないといけません。
皆さんの解答に、「|x-y|<δ ⇒ |f(x)-f(y)|≧ε」とメモしてあるものが多数あったので、気づきました。
私のミスです。すみません。

上記の私のミスにつられてしまったために表現が不正確になった人もいましたが、そもそも不適当な表現の人が少なからず見受けられました。解答例を参考にしてください。それほど難しい表現はしていませんが、x,y,ε,δ のことをどのような順番で説明するかが重要です。

命題 P の否定では、εをxに応じて与えることが許されますが、命題Q の否定では、まず最初に適当な正の εの存在を宣言する必要が出てきます。

また、おおよそ正しいことを言っている人でも妙にややこしく書いている人がいました。
そのほか、∀, ∃を使わないという指示でしたので、δ>0 とか |x-y|<δ とか |f(x)-f(y)|≧ε はそのまま使ってもらってかまいませんでした。ここも記号を使わないで言葉で説明してくれた人が何人かいました。

このあたりは、数学独特の表現なので、慣れない人もいると思いますが、論文や他の授業のレポートを書く際にも論理はとても重要なので、適当な論理学の本を読んで勉強してみてください。

連続だが一様連続でない関数の例ですが、定義域 A の与え方も大事です。
定義域は省きますが、1/x, 1/(x-1), sin(π/x) (x が 0 に近づくところがポイント)、x^2(x が∞に近づくところがポイント)などが例として挙げられてました。


課題2は、固有方程式の計算ミスなどは見られましたが、手を付けた人はだいたいできていました。
線形代数の基本的な計算ですから、できなかった人は勉強しておいてください。

課題3も、前半の確率については、簡単な表現が得られなかったにしても多くの人が正解に達していました。後半の期待値については、発散する(あるいは存在しない)といった正解の人は全体の半数くらいでしょうか。
いろいろと数値的な実験をしていた人が何人かいましたし、失敗したときに赤玉ではなく白玉を追加した場合の考察をしていた人もいました。良いことです。

2009年4月13日月曜日

4/16(木)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回:金融リスクの基本的概念

第2回目は、金融リスクの基本的概念を扱います。

ただし、前半は市場リスクとか信用リスクとかリスクの種類を限定しないリスク計量化の一般的なフレームワークを扱うため、数式を多用した抽象的な解説になります。
後半は、Value at Risk およびExpected Shortfallの話をしますが、今回はそれに厳密な数学的定義を与えます。
・・・具体的な話に触れてから一般化する方が理解しやすいのでは?という意見もあると思いますが、とりあえずガツンといきましょう。

準教科書でいうと、2.1、2.2節および6.1節の内容にあたることを扱います。主なトピックは次のようなものです。
  • リスク計測方法についての概観(準教科書2.2.1項)
  • 損失分布およびリスク・マッピングの考え方(準教科書2.1節)
  • Value at Risk(VaR) の定義と性質(準教科書2.2.2項)
  • Expected Shortfall(ES) の定義と性質(準教科書2.2.4項)
  • Coherent risk measure(準教科書6.1節)
準教科書が手元にあれば、該当部分にざっと目を通しておいてください。
最低限、Value at Risk および Expected Shortfall がどういうものかを調べておいてください。

また、ポートフォリオ・ラリーへのエントリーも受け付けています。

2009年4月10日金曜日

4/14(火)「金融数理の基礎」第2回:無裁定価格評価二項モデル(1)

第2回目では、教科書の1.1節「1期間二項モデル」を扱います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • (この講義全体を通して用いる)記号の確認。連続ドラマの初回に登場人物を紹介する感じですね。大事なことは、その記号が表すもののファイナンス的な意味ですが、数学的にはどういう性質のもの(定数なのか変数なのか、実数値なのか自然数値なのかetc.)かもきちんと押さえるようにしてください。
  • 「裁定」とは?「無裁定」とは?教科書の地の文には言葉でしか書いていません。数式ではどう表すべきでしょう。
  • 「複製」という考え方に基づくデリバティブの価格付けの手続き
  • 「リスク中立確率」とはどういうもの?「リスク中立」とはどういう意味?

2009年4月9日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回フォロー

第1回目の配布資料・プレゼン資料およびTOPIXと東証33業種指数(2007/4/2~2009/4/8の営業日ベースの終値)のデータはイントラネットにアップしておきました。

宿題は、Exercises の 2番と、答えが分かった上での3番の(1)(2)(3) です。
解いた人はレポートとして、次回の授業前後に直接私に手渡すか、共同研究室のトレイに授業前に提出するようにしてください。

あと1番について、ホワイトボードに密度関数のグラフを描きましたが、fat tail なものを描いてしまいました。一般に非負値しかとらないような確率変数の分布を fat-tail にすると平均が大きくなってしまいますから、平均を上回る割合が多くなるようにするためには、tail を薄くしておく必要があります。
まあ、「生活水準の平均」などというものは定義があいまいなものですし、定義できたとしても回答者が母平均を知らない状況での「平均以上」という回答割合を議論しても、そもそもあまり意味のないですが。

あと、宿題というわけではありませんが、ポートフォリオ・ラリー用のポートフォリオ構築をするという課題もあることをお忘れ無く。
来週16日(木)の正午までにファイルをメール添付で送ってください。
あと期間中の投資比率は固定したままです。

ポートフォリオ構築と言われても何をどうしたらよいか分からないという声もありましたので、昨年度まで提供していたExcelツールもイントラネットにアップしておきました。
ただし、ツールの使用法は授業中に口頭で説明していたので、きちんとしたマニュアルはありません。

今回のポートフォリオ構築は、理論にのっとっていなくてもかまいません。
ドタ勘でもそれぞれの比率が0以上で足して1という条件を満たしていればOKです。
#あとの演習では、ドタ勘で作ったポートフォリオであっても、平均-分散アプローチに基づいてVaRやESを求めてもらいます。

ここでツールについて少しだけ説明をするので、それを手がかりにしてみてください。

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(1)まず、VBAマクロを使用していますので、Excelでマクロが使えるようにセキュリティ・レベルを下げておく必要があります。

(2) また、リスク最小化とかSharpe ratio 最大化というところで、ソルバーアドインをVBAで動かすようにしています。当然、ソルバーがアドインされていないと使えないことと、Excel のバージョンによっては、VBAのエディタを開いて参照設定を手でいじらないといけないかもしれません。対処法はExcelに詳しい人を周りで見つけて尋ねてください。
#私も直接エラーの状況を見ればいくつか対処はできますが、メール等では十分に対応を回答できないと思います。

(3) とりあえず、設定周りがうまくいっていれば、[data]というシートのデータをアップデートします。
古いデータも活かしたければ、重複しないように新しい分を付け足してください。まるまる入れ替えてもかまいませんが、1行目はラベル、1列目は日付というような構成は変えないでください。

(4) その後、[control]シートの「統計量計算」というボタンを押してもらえれば、[daily_return]というシートに自動的に[data]シートに対応した日次対数収益率が計算されます。
さらに、[control]シートのE列の「標準偏差」のところが自動的に計算されます。また、見えないようになっていますが、33×33の相関行列も別のところに計算されていて、後でポートフォリオのリスク計算をするときに考慮されるようになっています。

(5)あとは、[control]シートのD列の「期待リターン」に適当な数字を入れる必要があります。対数収益率データから標本平均を計算してもいいのですが、CAPMで求めたり、大まかな見込み数字を入れるなどしてもよいと思います。B,C列は各業種に対する投資比率の上下限制約です。デフォルトでは上下限は一律10%,0%になっていますが、業種ごとに設定できます。その業種を絶対に組み入れたくなければ上限も下限も0%にすればよいです。

(6)あと推定日数とかいろいろ設定を要しますが、コメントを読んでください。いじらなくてもよいと思います。

(7)あとは、「Sharpe Ratio 最大化」というボタンを押してください。うまく計算できたら、F列に返った数字が制約つきの平均-分散モデルにおけるSharpe ratio についての最適投資比率になっています。
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最後になりますが、授業中に紹介した「とある社長」が作成したドキュメントはこちらから見ることができます。

2009年4月7日火曜日

「金融数理の基礎」第1回フォロー

第1回目の講義資料、プレゼン資料、Excelファイルはイントラネットにアップしておきました。

宿題を確認しておくと、
配付資料の最後のページにある short questions に関して

  • 問題1の (1)(2) を解く
  • (3) の答えは (ii) である。そこで、実際に命題Pを満たすが、命題Qを満たさない関数f(および定義域A)の例を見つけて、できればその関数が P を満たすが Q を満たさないことを証明せよ
  • 問題2を解く
  • 問題3を解く(ユニークな解法を期待します)

宿題のレポート提出方法ですが、次回の授業時間に直接提出するか、あるいは共同研究室に宿題提出用のトレイを用意してもらう予定なので、次回の授業前までにそちらに提出してもらってもかまいません。

あと、traffic jam ゲームの件ですが、人の動きを忘れてスペースの動きに注目すると、問題解決のための別のアプローチも出てくると思います。
余裕があれば、小学生にも理解できるような、動き方について、できるだけシンプルな説明方法を考えてみてください(これは宿題ではありませんが、オプション問題として解答をお待ちしています)。

次回以降は、基本的には教科書に沿って、ホワイトボードに板書する形式の授業をする予定です。

2009年4月5日日曜日

team building のゲームの数理モデル

新M1の皆さん、team building お疲れ様でした。
私は微妙に全身が筋肉痛です。

さて、team building の中で heavy traffic (だったか traffic jam だったか、そういう名前の記憶力が最近衰えている気がします)という2つのチームの入れ替えゲームをして、事前に戦略を皆さんで検討して見事成功しましたね。
帰宅後、そのゲームの数理モデルを私なりに作って、それを Excel で簡単なゲームとして再現できるように実装してみました。

新M1の方が多く受講されそうな「金融数理の基礎」の初回に、そのExcel ツールもお見せしながら、その話題にも少し触れようかと思います。

2009年4月2日木曜日

4/9(木)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、講義内容についての説明とオリエンテーションということで
  • リスクとは?リスク管理とは?
  • 授業の到達目標の説明
  • 準教科書・参考書の紹介
  • 授業の進め方、演習・レポート課題について
  • Exercises など
という流れで進めたいと思います。

なお、この授業と似たような内容のものを2007年度東工大大学院技術経営専攻向けに講義しました。そのときの情報はこちらにあります。
また、昨年度のICSでの授業に関してのブログ記事はこちらで全て見ることができます。

4/7(火)「金融数理の基礎」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、講義内容についての説明とオリエンテーションということで

* 授業の到達目標の説明
* 教科書・準教科書および参考書の紹介
* 授業の進め方、予復習のポイントの説明
* 金融数理の歴史についての概観
* short questions(高校生~大学教養レベルの数学の知識確認)

という流れで進めたいと思います。
実際に教科書の中身に入るのは2回目の授業からとなります。

なお、この授業とほぼ同内容のものを2006,2007年度の東京工業大学工学部経営システム工学科3年生向けに講義しました。そのときの情報はこちらからたどっていけます。
ただし、ICSの授業の方がカバーする内容が多くなります。

また、昨年度のICSでの授業に関してのブログ記事はこちらで全て見ることができます。

2008年度M1ゼミ(1月~3月)

2009年1月~3月にかけて、ゼミ所属の学生さんが取り上げた論文を以下に挙げておきます。

Duffie, D. and N. Gârleanu, "Risk and Valuation of Collateralized Debt Obligations," Financial Analyst Journal, 57 (1), 41-59 (2001).

Hull, J. and A. White, "Valuing Credit Derivatives Using an Implied Copula Approach,"
Journal of Derivatives, Fall (2006).

Gates, S., "Incorporating Strategic Risk into Enterprise Risk Management"
Jounal of Applied Corporate Finance, 18(4), 81-90 (2006).

Nocco, B., "Enterprise Risk Management:Theory and Practice"
Jounal of Applied Corporate Finance, 18(4), 8-20 (2006)

Christensen, B. J., M. Nielsen ,and J. ZhuLong, "Memory in Stock Market Volatility and the Volatility in Mean effect:The FIEGARCH-M Model"

Bollerslev, T. and H. O. Mikkelsen, "Modeling and pricing long memory in stock market volatility,"
Journal of Economics, 73, 151-184 (1996)

Rosenberg, J. V. and R. F. Engle, "Empirical Pricng Kernel,"
Journal of Financial Economics, 64, 341-372 (2002)

Bliss, R. R. and N. Panigirtzoglou, "Option Implied Risk Aversion Estimates,"
The Journal of Finance, 59(1), 407-446 (2004)

Leland, H. E.,
"Corporate Debt Value, Bond Covenants, and Optimal Capital Structure,"
The Journal of Finance, 49(4), 1213-1252 (1994)

Harada, K. and T. Ito, "DID MERGERS HELP JAPANESE MEGA-BANKS AVOID FAILURE?
ANALYSIS OF THE DISTANCE TO DEFAULT OF BANKS,"
NBER WORKING PAPER SERIES 14518

Piazzesi, M., "Bond yield and the Federal Reserve,"
Journal of Political Economy, 113(2), 311-344 (2005)

Liao, S. L. and J. C. Chang, "Economic determinants of default risks and
their impacts on the pricing of the credit derivatives," Working paper

Dyck, A. and L. Zingales, "Private Benefits of Control: An International Comparison,"
Journal of Finance, 59(2), 537-598 (2004)

山田健, 「強制転換条項付き優先株式の2項ツリー法によるプライシング」,
日本銀行金融研究所『金融研究』2006.10 189-213 (2006)

2009年4月1日水曜日

新刊本『クレジットリスク ―評価・計測・管理―』

表題の書名で、こちら翻訳本が出たようですので、紹介しておきます。
(私は出版社を通じて訳者の先生からいただきました)

原著はかつて学生のゼミでも使ったことがあります。数理的な記述は多すぎず少なすぎずという印象です。数学的に同書の内容をきちんと理解しようとするのは骨が折れるかもしれませんが、細部をあまり気にしなければ、少し前までの一連の数理モデルの流れはしっかりと理解できると思います。
また、経済学的な側面や市場との関連など、慣れていないと英語では読みにくかった部分が日本語で読めるようになっていることは非常に有益だと思います。

「ファイナンシャル・リスク・マネージメント」の授業の後半でも多少触れる予定です。