2010年4月28日水曜日

4/28(水)「金融市場の計量分析」第4回

4回目は、Bielecki, T. R., M. Jeanblanc, and M. Rutkowski, CREDIT RISK MODELING の3.1節-3.2節, 3.5節-3.6節からいくつかトピックを取り上げました。
Hypothesis(H)の役割や同値測度変換での不変性成立の条件について、私なりの見方を説明しました。
(今回あまり強調しませんでしたが、multi-name credit を考える段階でこの仮説の意味は重要になります。)
あと、Lemma3.1.2の証明のロジックについて詳しく確認しました。欠席した人は、ここの証明のロジックをきちんと理解できるかよく確認しておいてください。

次回は、テキストの5章 Dependent defaults からトピックを拾いたいと思います。
どっちみち、具体的なcredit derivatives評価の話題には立ち入らないと思います。
set-up に近い一般的な話題 or 特殊なケースしか触れられないと思います。
全体に目を通してほしいですが、特に 5.2節, 5.6-5.7節あたりの内容を読んできてください。
5.4-5.5節のcopulaのところは、現時点で個人的に関心が低い(というか他のところでそこを重点的にやらなければいけない反動?)のでスルーすると思います。あしからず。

2010年4月27日火曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第4回フォロー

もろもろのファイルはをイントラネットにアップしておきました。参考にしてください。

ただし、それらに示した考え方や方法は絶対的に正しいとかお勧めというものではありません。むしろ、背後にどういう前提や仮定があれば、その方法が正当化されるのかということを考えながらリスクの数値を算出することが大事だと考えます。(それに私自身リスクを算出することについて今は無責任な立場にいますし、所詮バーチャルなリスクを算出するという話なので、注意を払っているつもりですが、細かいミスをしている可能性があります。Excelの埋め込み数式など適当かどうかを確かめてください)

第3回のオプショナル課題のレポートを提出してくれた人です。提出したのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F001, IM09F006, IM09F007, IM09F009, IM09F026, IM10F030

今回の課題は、VaRおよびES算出方法をいろいろと検討して、各自で適当と思われるポートフォリオの1日-99%VaR および 1日-99%ES を求めるというものです。配付資料の指示にしたがってファイルで提出してください。

また、配布資料の問題2を optional なレポート課題とします。BIS規制の250営業日分サンプルに基づくバックテストの考え方を仮説検定の枠組みを参考に論じよ、というのが主題です。

また期末提出のレポートに関しては口頭で詳しく説明できませんでしたが、配付資料を一読しておいてください。次回の授業の時に強調しますが、レポート評価のポイントは論理性と構成力を見ます。

簡単にいえば、論理性とは「私の頭にWhy?がいかに浮かばないように説明できているか」ということであり、構成力とは「私がいかに早くチェックすべき内容を読み取れるか」ということです。

いずれにしても成績評価者は(中川)であることがポイントです。そもそも客観的に正解と言える要素はない課題です(理論的に間違いであることのチェックは可能ですが)ので、評価は主観的な要素が多くなることに注意してください。


【重要】フィナンシャル・リスク・マネジメント補講日のリスケについて

当ブログおよびシラバス等で、7/20(火)に「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の補講を行う予定であることをアナウンスしていましたが、同日は別の授業のイベントが予定されるため、7/20(火)の「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の補講はキャンセルします。

補講がいつになるかは未定です。調整が難しい場合は補講そのものを中止します。

ただ、7/20(火)を1つ目のレポートと関係するポートフォリオ・ラリーの結果確定日としていましたので、それも修正して、ポートフォリオ・ラリーの結果確定日を1週間前倒しの7/13(火)にしたいと思います。

2010年4月22日木曜日

4/27(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第4回:市場リスク(2)

第4回目は、VaRとES算出に関する話題の残りです。

準教科書でいうと、2.3.2, 2.3.3, 2.3.5(or 4.4.3) ,3.1.4 項の内容に基づいたプレゼン資料を用意する予定ですが、次のトピックに重点をおきます。

  • 前回積み残した長い期間への対処法(2.3.4項)
  • ヒストリカル法による VaRの計測の概要
  • 超過回数に基づくバックテストの考え方
準教科書が手もとにあれば、該当部分にざっと目を通しておいてください。
また、前回の問題3についても解説をします(レポートとして出してくれた方については、後でそちらも確認します)

バックテストに燗する予習用問題(4/22(木)の17:20頃修正版をアップしました)イントラネットにアップしておきます。事前に考えておいてください。
(問題自体は当日配付資料にも掲載します)

また、第1回レポート課題(成績評価に直結)の説明も行う予定です。

2010年4月21日水曜日

4/21(水)「金融市場の計量分析」第3回

3回目は、Bielecki, T. R., M. Jeanblanc, and M. Rutkowski, CREDIT RISK MODELING の2.1節と2.2節の最初の部分からいくつかトピックを取り上げました。
毎回、本当にやりたいことの2割程度しかできませんが、授業時間内に体系的に理解してもらうことを目指していません。
基本的には独力でテキストを読み進めてほしいということですが、いくつかのポイントの理解度を確認することで、このテキストをどのように読むべきかというヒントを得る場として授業を活用してもらえれば、と思います。

今回は、最後のRecovery at default の話が中途半端になってしまいました、前後のつながりがおかしな説明をしてしまったので修正・補足しておきます。

pre-default value の満たす線形の常微分方程式(ODE)の話を出しましたが、これは Lemma 2.1.3. の話です。これは、回収率の定義によらないで導出されるODEですね。Market Value に対する recovery の場合の方程式のような言い方をしてしまって混乱させてしまいました。すみません。
(それでも、この線形のODEの解き方については復習しておいてください。そうすれば、別角度から一般の場合の pre-default value の形に納得できると思います。)
Market Value に対する recovery の場合については、Lemma 2.1.3 のような一般論での結果を先に得ていれば、55ページの真ん中にあるように指数関数としてすぐに表されるものになることが分かり便利ですが、このような議論とは別のアプローチをとると少し面倒だと思います。

次回は、3.1, 3.2 および 3.5節の理解を目指したいと思います。115ページから146ページまで目を通しておいてくだい。
特に Hypothesis(H) の意味するものは何か、なぜこの仮定に注意が払われているかを考えてきてください。

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回問題についてのコメント

第2回の配付資料の問題を解答してレポートとして提出してくださった方がいますので、コメントしておきます。
問題1(1)~(3)は、準教科書の例2.4~2.6に対応していますので、そこをきちんと理解しておいていただければよいのですが、重要のはどのような原理で線形化の式が得られたのかなどを、自分なりにきちんと理解することです。
テキストに書いてあることや数式だけを写経してもほとんど意味はありません。
テキストにはっきりと書いていないことや省略されているであろう途中の数式を補うことが重要です。

問題2はcoherentの条件について2回目の授業では説明できなかったので、別の機会に再度出題しようと思っていました。
答えは「標準偏差は coherent でない」ですが、さて4つの条件のうち、何が満たされていないのでしょうか?理由(証明 or 反例)を考えてみましょう。満たされない条件は1つとは限りません。

その点では完全な正解者は今回レポートを提出してくださった方の中にはいませんでした。

問題3は答えより、どのような方法で計算を実行したかが重要です。その方法を33次の世界でもすぐに応用できればいうことありません。

2010年4月20日火曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第3回フォロー

配布プリント(課題付き)、プレゼン資料、問題の解答に関するExcelファイル、分散共分散法によるVaRとES算出の演習用のCSV形式のデータをイントラネットにアップしておきました。

今回は特にレポートの提出は求めていませんでしたが、何人かの方は提出してくださったので、いちおう目を通して返却しておきます。提出したことの記録もいちおうつけておきます。
(さしあたり成績評価には算入しませんが、何かの時に平常点の参考にする可能性はあります)

以下は、レポートを提出してくれた人です。提出したのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F006, IM09F026, IM09F031, IM09F041, IK10F001

今回の課題は、分散共分散法に基づいて、各自のポートフォリオの1日-99%VaR および 1日-99%ES を求めるものです。
配付資料の指示にしたがって求めてください。

また、オプショナルなレポート課題として、配付資料の問題3を指定しておきます。任意で次回の授業時あるいは、授業前までに共同研究室の指定ラックに提出してください。
問題3については、6.1.2項の例がそのまま参考になりますが、簡単に答えが分かる場合でも、定義に基づいて、できるだけ丁寧な説明を加えてください。
(レポートでは答えとか結果を、私はあまり重要視しません。答えや結果に至るプロセスが理解できているかどうかを重視します)

授業中に触れた「ふぇるまーしーとのテキスト」というのは、こちらのことです。このテキストは私のツボで(数学プロパー向けということですね)、金融数理の基礎のテキストとして使うことを検討しましたが、数学のトレーニングを相当積まないと読んでいけない本ということで断念しました。
でも、ICSの博士課程に進もうとするレベルの学生であれば、進みは遅くとも読み進めていってほしいテキストに思います。
a の関数としてみたときの inf{x | F(x) ≧ a} と inf{x | F(x) > a}の違いについても上のテキストに割と詳しく説明があります。

さぁーっと流したリスク尺度についての最近の話題についてはこちらの2009年3月特別号の記事がおもしろいです。

なお、プレゼン資料に積み残しがだいぶあるので、次回の授業の最初の方で消化したいと思います。




2010年4月15日木曜日

日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ

本日、日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ として、下記論文が公開されました。
忌憚のないご意見等をお待ちしております。

金子拓也, 中川秀敏,「信用ポートフォリオのリスク計量:金利変化見通しと個別企業価値変動を考慮したトップダウン・アプローチ 」,日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ, 2010-J-13, (正味23ページ), 2010年4月15日

4/20(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第3回:市場リスク(1)

第3回目から市場リスクを題材に話を進めます。

とはいえ、今日リスク尺度としてのVaRやESの適用は、市場リスクに限った話ではありません。
ここでは、市場で観測される価格データを利用して統計的手法が有効と考えられる対象として、市場リスクを計量するという意味にすぎないと思ってください。
また、授業で紹介する方法が市場リスク計測方法としてお奨めすべきもの、ということでもありませ ん。

準教科書でいうと、2.2.2-2.2.4節 および 2.3.1節の内容のポイントを扱います。今回は事前に予習するための助けになるように、準教科書のうちの数学的な部分のポイントをまとめた予習用資料をイントラネット(第3回目のファイルのところ)にアップしておきました。第2回で扱った部分を前半につけてありますが、5ページ以降を見ておいてください。

また、最後の2つの問題も事前に考えてきてください。問題1は inf という記号を使った定義に基づいて考えることになります。inf って?という方はその意味も確認しておいてください。問題2は正規分布に基づく計測方法で、次回の課題の直接的なヒントになっています。

予定は以下の通り

  • 前回残した coherent risk measure の話
  • VaRとESの定義と演習
  • 分散共分散法による VaRの計測の概要と演習
  • 33業種ポートフォリオの分散共分散法による VaRの計測課題の説明

2010年4月14日水曜日

4/14(水)「金融市場の計量分析」第2回

2回目は、Bielecki, T. R., M. Jeanblanc, and M. Rutkowski, CREDIT RISK MODELING の1.3節と1.4節からいくつかトピックを取り上げました。

授業後に指摘をいただきましたが、Lemma1.3.3の証明の中の26ページの最初の等号部分の妥当性は、今回取り上げなかった22ページの(1.7)式前後の議論を適用して理解するのが、一番スマートだと思います。

数学的にテクニカルな話題を中心に取り上げましたが、構造型モデルの発展としては、1.5や1.6節に興味深い議論が載っているので、そちらもぜひ見ておいてください。

次回は、2.1節と2.2節の理解を目指したいと思います。47ページから67ページまでは目を通しておいてくだい。


「フィ ナンシャル・リスク・マネジメント」第2回フォロー

プロジェクタはクールダウンすれば使えたみたいですね・・・
こちらにも書いてありますが、12月のシドニーの研究集会では最終日に会場となったホテル自体が停電になってしまうというハプニングがありましたが、ホワイトボードを使って講演プログラムはきちんとこなされたそうです(私は部屋から出るのが怖くて参加できませんでした orz)。
プロジェクタが使えなくても、あるいは部屋の明かりが消えても(?)、授業ができるようにしておかないといけないということを今日もまた教訓として得ました。

配布プリント(課題付き)とプレゼン資料などをイントラネットにアップしておきました。

今日の後半が中途半端になってしまい、一般論との対応づけが十分にできませんでしたが、
要は、株式ポートフォリオの損失は、投資比率ベクトルと対数収益率ベクトルの内積にポートフォリオの現在価値を掛けてマイナスをつけたもので一次近似できるということを確認しただけで、(表現の違いはあれど)実はすでに他の授業でも触れられている結果のはずです。

人によっては、個別に考えればもっと分かりやすい内容を、何故抽象的な数学で難しく考えようとするのだろうと感じるかもしれません。私が大事だと思うのは、一見違っていても、実は同じ構造で理解できるとすれば、その構造に注目して議論を一般化しておくことは、個別に同じことを繰り返さずにすむというメリットがあるという側面です。

なお、対数収益率ではなく、(S_{t+1,i}-S_{t,i})/S_{t,i} という通常の変化率で定義される収益率を X_{t+1,i} であるとしても同じような議論ができて、この場合は近似の意味ではなく実際にポートフォリオ損失をX_{t+1,i}の一次結合で表現できます。

では、なぜ準教科書では「対数収益率」を使っているのでしょうか?
理由を想像してみるのもよいと思います。

なお、前回の発展課題レポートの提出を確認できたのは、以下の9名です。
提出したはずなのに 自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM09F001, IM09F006, IM09F012, IM09F022, IM09F031,
IM09F037, IM10F030, ID06L006,IK10F001

問題2の「百年に一度」についての皆さんの解答については近いうちに集約して紹介したいと思います。
なお、前回の問題3の模範解答はこちらの6,7ページで確認してください。

問題3については、Excelを用いた数値的方法で解を探していた方もいます。
問題を理解していないと数値的方法も正しく実践できないはずですし、数学的に行き詰まったら数値的なアプローチを試みるということは非常に重要なことだと思います。


第1回発展課題レポート(「100 年に一度」)に関して(まだ途中ですが)

「100 年に一度」という表現を数学モデルでどのように表したらよいかという問題についてのフォローです。

まず、この問題に対しての解答というか納得させられるだけの例を、私自身まだ持っていません。
それだけ奥が深い問題だと私自身が感じています。

レポートで寄せられた解答のタイプは大まかに分けると次の3つになるかと思います。
  • 何らかの経済指標変数に対して、「100年に1度」と呼ぶのに見合った水準の確率(99% とか)についてのValue at Risk(VaR)のような基準を設定するというもの
  • 対象となるイベントが発生するまでの時間(イベントと次のイベントまでの時間)を確率変数と見て、発生するまでの時間の期待値を100年と考えるというもの
  • 「100年に一度」を「25000日に一度」と見なし、さらにそれを「ある1日の間に起こる確率が1/25000」と読みかえて、25000回試行の2項分布でイベント発生回数について考察するもの
VaR みたいなものを挙げてくるというのはこちらの予想通りです。VaR の概念を知っていれば、たぶん誰もが真っ先い思いつくと思います。
要は「100年に一度」を「1年に起こる確率が1/100」というような読み替えをして、特に損失分布の「最も悪い部分の1/100」に注目するということですね。

ただし、私の出題意図は「VaR で表現して済ませられる単純な話なのか?」ということを考えてもらいたいというものです。その点についての私の考えは後にまとめます。

「発生するまでの時間の期待値」というのは、昨年度の受講生も数名が示していたアイデアで、実は私は当時想定していなかった考え方で、なるほどと思いました。ただし、「100年に一度」を「発生するまでの時間の期待値が100年」と読み替えることが自然かどうかを考えると、それほど単純ではないかも、と私は思いました。
今回のレポートでは、私が自然でないと感じた感覚の原因について考察をしている内容に触れたものもあり、その点は注目して読むことができました。
期待値が100年という場合は実際には100年未満に起こる確率がけっこう高い一方で、確率はひどく小さいけれども極端に長い間起こらない可能性があって、その結果平均としては100年に落ち着くというモデルがよくあります。つまり、分布全体のイメージと期待値とのギャップですね。そこが基本的な違和感の原因だと思います。

2項分布の視点のポイントは、VaR派と異なり「金融危機」のような事象をどう認定するかという問題を棚上げにして、対象となる事象が起きるor起きないということに注目していると言えると思います。しかし、それゆえに(日々の事象発生を独立と見なせるのであれば)「100年に一度」ということを表現して、分析するのには意外と有効ではないかと思います。今回もこの方針をとった方は興味深い考察をしています。
ただし、VaR派と同様に、「100年に一度」を「1年に起こる確率が1/100」とか「1日に起こる確率が1/25000」という読み換えを出発点にしているので、

では「100年に一度」の数学的表現のどの辺が難しいのか、自分なりに整理してみます。異論や感想があればお寄せください。私もまだまだ視野が狭いと思いますので。
  • 「100に一度」ではなく「100に一度」であり、時間の概念についてはきちんと考慮しなければならない。
  • 500年に一度」や「1000年に一度」ではないところも考慮した方がよいとも思える。
  • 「100に一度」は「100年のうち1年にだけ」と読み替えるのが最も自然に思える。そうなると、単年の損失とかを見てはだめで、100年についての同時分布(100年のうち1年はあるイベントが発生するが、他の99年は起こらないといった確率)を考えていく必要があるのか、とも思えてしまう。その意味で2項分布の議論は使える。
  • 短いスパンで考えるのはあまり得策ではなく、すごく長いスパンで見たとき(要するに何らかの極限として見たとき)に、100年に1回とか100年周期というとらえ方ができればよいとして、大数の法則のような表現がよいかもしれない。


2010年4月10日土曜日

研究覚え書き

新年度になって研究プロジェクトの進捗覚え書き
  • Project-K:さしあたり、4/15にBOJのディスカッションペーパーとしてアップされる見込み。英語版も準備中
  • Project- N:英語版はconditional accept だった。レフェリーコメントに沿って修正し再投稿。日本語論文はもう少し待ってほしいという連絡の後、音信不通。accept で無かったら取り下げて別のところに出そうかと考え中。
  • Project-O:私の改訂メモの方針がパートナーに気に入ってもらえたらしく、もう少し時間をかけて、majorなjournalを目指したいということなので、基本的には君の考えに従うと回答。
  • project-SG:他のことで手が回らない
  • Project-Ya:とりあえず投稿しましょう、と進言
  • Project-Yo:無事出版されたので、complete
  • Project-Yu:4月にパートナーが台湾で話すことに。私は参加を断念

2010年4月8日木曜日

Twitterの拾い物より

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の次回授業の記事をまるごとこちらにコピペして診断したところ、以下のような評価をいただきました…

文章評価


評価項目評価とコメント
1文章の読みやすさE一文が長い
2文章の硬さE文章が硬い
3文章の表現力Aとても表現力豊か
4文章の個性Aとても個性的

4/13(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回:金融リスクの基本的概念

第2回目は、金融リスクの基本的概念というテーマで授業を行います。

最初は、リスク尺度としてどのようなタイプのものが考えられてきたかについて大まかな話をします。

その後、市場リスクとか信用リスクとかリスクのカテゴリに関係しないリスク計量の数学的なフレームワークについての解説になります。???となる人も出てくるかもしれませんが、準教科書の例に沿った演習という形を取り入れながら少しでも数学的な表現に慣れてもらいたいと思います。
(途中、ブレークタイムとして気軽に考えられる統計クイズを出題する予定)
最後に時間が許す範囲で、coherent risk measure という望ましいとされる性質をもつリスク尺度の概念について少し話をします。

準教科書でいうと、2.1、2.2節および6.1節の内容にあたること を扱います。主なトピックは次のようなものです。
  • リスク計測方法についての概観(準教科書2.2.1項)
  • 損失分布およ びリスク・マッピングの考え方(準教科書2.1節)
  • Coherent risk measure(準教科書6.1節)
準教科書が手元にあれば、該当部分にざっと目を通しておいてください。

また、ポートフォリオ・ラリーへのエントリーも忘れずに!

2010年4月7日水曜日

4/7(水)「金融市場の計量分析」第1回

初回は、Bielecki, T. R., M. Jeanblanc, and M. Rutkowski, CREDIT RISK MODELING のChap.1の冒頭の記号の導入部分からRisk-neutral valuation の枠組みについて、数学的な視点で文献を読む際の心構えのようなものについてレクチャーしました。

次回は、Chap.1 の
1.3 First Passage Times 1.4 The Black and Cox Model 1.5 Extensions of the Black and Cox Model
の中のいくつかの部分について、数式の解釈、証明の鍵となるアイデアや計算過程について、いくつか確認をしたいと思いますので、参加者はChap.1全体を事前にきちんと読んできてください。

特に、ドリフト付きブラウン運動のある時点での位置と first passage time の同時分布についての結果、Black-Cox モデルにおける割引社債価格評価式、optimal capital structure に議論あたりは証明や議論の仕方を詳しく追ってきてください。
(余裕があれば、Black-Cox の optimal capital structure の議論と Leland の議論では、どのあたりが異なるかも調べてみてください)



『定量的信用リスク評価とその応用』(ジャフィー・ジャーナル|金融工学と市場計量分析)


朝倉書店より
『定量的信用リスク評価とその応用—ジャフィー・ジャーナル|金融工学と市場計量分析』
が出版されました。

携帯で私が撮影した画像を載せておきます。
(執筆者への献本という形で私の手元に届きました)

僭越ながら、世話人として「序論」を書いています。あとは吉規さんとの共著論文(Project-Yo)も掲載されています。

こちらにも少しですが情報がアップされてます。

2010年4月6日火曜日

4/6(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回

授業で触れたファイルはこちらにアップしておきました。

何だか説明がグダグダしてしまいました(いつものこと?)が、今日はいろいろと忙しくて気持ちを授業に向けて集中させることがうまくできませんでした(と言い訳)。

午前中に授業のプレゼン・配付資料の最終チェック
午後イチのタイミングで自分の投稿論文についてのレフェリーコメントが来たので、それに沿って論文を手直しして再投稿。
その後、夕食まで断続的にJAFEE(現在、一人で事務局を切り盛りしている状態)の雑用をいろいろとこなす。
途中、Astraで東証業種指数のデータを取得して、授業で使うツールの稼動テストなど。
あと、Excelにて Euler capital allocation の演習問題作り。
夕食前後にフランスの共同研究者から今後についての相談メールが来てやりとり2往復。
学生面談1件。
そして授業・・・

書いてみると、そんなに大した仕事量に見えませんね…

閑話休題。今回の課題は
 ・必須のもの:ポートフォリオ・ラリー(レポート課題1)のための33業種投資比率を決めて、規定のフォーマートでテキストファイルとしてメールで送る(4月13日(火)正午締め切り)※配付資料の2~3ページ参照
 ・余力があれば考えてほしいもの:配付資料の問題2と問題3(次回授業時間時に提出)
です。

プレゼン資料の最後の部分について言及できなかったのですが、とある社長の講演資料についてはこちらで見ることができます。けっこう過激な内容にも見えますが実務上有益な示唆がたくさん含まれていると思います。

ポートフォリオ投資比率作成ツールについてフォローしないと言いましたが、昨年度のブログ記事を再掲しておきますので、参考にしてください。

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(1) まず、VBAマクロを使用していますので、Excelでマクロが使えるようにセキュリティ・レベルを下げておく必要があります。

(2) また、リスク最小化とかSharpe ratio 最大化というところで、ソルバーアドインをVBAで動かすようにしています。当然、ソルバーがアドインされていないと使えないことと、Excel のバージョンによっては、VBAのエディタを開いて参照設定を手でいじらないといけないかもしれません。対処法はExcelに詳しい人を周りで見つけて尋 ねてください。
#私も直接エラーの状況を見ればいくつか対処はできますが、メール等では十分に対応を回答できないと思います。

(3) とりあえず、設定周りがうまくいっていれば、[data]というシートのデータをアップデートします。
古いデータも活かしたければ、重複しない ように新しい分を付け足してください。まるまる入れ替えてもかまいませんが、1行目はラベル、1列目は日付というような構成は変えないでください。

(4) その後、[control]シートの「統計量計算」というボタンを押してもらえれば、[daily_return]というシートに自動的に[data] シートに対応した日次対数収益率が計算されます。
さらに、[control]シートのE列の「標準偏差」のところが自動的に計算されます。また、 見えないようになっていますが、33×33の相関行列も別のところに計算されていて、後でポートフォリオのリスク計算をするときに考慮されるようになって います。

(5)あとは、[control]シートのD列の「期待リターン」に適当な数字を入れる必要があります。対数収益率データから標 本平均を計算してもいいのですが、CAPMで求めたり、大まかな見込み数字を入れるなどしてもよいと思います。B,C列は各業種に対する投資比率の上下限 制約です。デフォルトでは上下限は一律10%,0%になっていますが、業種ごとに設定できます。その業種を絶対に組み入れたくなければ上限も下限も0%に すればよいです。

(6)あと推定日数とかいろいろ設定を要しますが、コメントを読んでください。いじらなくてもよいと思います。

(7) あとは、「Sharpe Ratio 最大化」というボタンを押してください。うまく計算できたら、F列に返った数字が制約つきの平均-分散モデルにおけるSharpe ratio についての最適投資比率になっています。
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2010年4月1日木曜日

2010年度のM1ゼミについて

まだ迷っているのですが、今年度春学期のM1ゼミでは、テキストの輪読をやめて次の2本の論文を輪読しようと考えています。
テーマは市場性の信用リスクで、ある意味で先駆的な論文を選択しました。

1本目:Li, D. X., On default correlation: a copula approach. Journal of Fixed Income, 9(4), 43-54 (2000) ※全4回くらいで

2本目:Jarrow, L. and Turnbull, S., Pricing derivatives on financial securities subject to default risk. Journal of Finance, 50, 53-85 (1995) ※全8回くらいで

どちらも数学的な議論を含みますが、1本目はそれほど難しくはありません。2本目は後半のcontinuous trading の部分は数学的にハードになりますが、前半の two-period discrete trading のところで、期間構造やreduced-formモデルの概念をつかんでもらうことを目標としようと思います。

4/6(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、講義内容についての説明とオリエンテーションということで
  • リスクとは?リスク管理とは?
  • 授業の到達目標の説明
  • 準教科書や参考文献の紹介
  • 授業の進め方、演習・レポート課題について
  • Exercises など
という流れで進めたいと思います。

過去2年間のICSでの授業に関してのブログ記事はFRM2008FRM2009で見ることができます。