2012年12月29日土曜日

BFM2012 に関連した冬休み用問題

【問題】 $\Omega = \{1,2,\cdots,1000\}, \ \mathcal{F} = \mathcal{P}(\Omega), P(\{\omega\}) = \dfrac{1}{1000} \ (\forall \omega \in \Omega)$ として確率空間 $(\Omega, \mathcal{F}, P)$ を与える。
いま、確率過程 $\{X_n\}_{n=1,2,\cdots}$ を $\forall n$ に対して「$X_n(\omega) = \omega$ を $n$ で割った余り」と定義する。 例えば $\omega = 63$ とすると \[ X_1(\omega) = 0, X_2(\omega) = 1, X_3(\omega) = 0, X_4(\omega) = 3, X_5(\omega) = 3, \cdots \] となる。
では、$n = 1,2,\cdots$ という時間の進行とともに確率過程 $X_n$ の値を私たちは知らされていくとき、どの時点まで $X_n$ の値を知ることができれば $\omega$ を特定できるだろうか?
先の例で $n = 5$ までの結果が \[ X_1(\omega) = 0, X_2(\omega) = 1, X_3(\omega) = 0, X_4(\omega) = 3, X_5(\omega) = 3 \] と教えられたとしても $\omega = 63$ は特定できるかというと、できない。 なぜなら $\omega = 123$ とか $\omega = 603$ であっても上のような結果になるからである。

問1
$n=15$までの確率過程 $\{X_n\}$ の値が次のように観測された。 \begin{align*} &X_1 = 0, X_2 = 0, X_3 = 1, X_4 = 2, X_5 = 2, X_6 = 4, X_7 = 1, X_8 = 6, \\ &X_9 = 4, X_{10} = 2, X_{11} = 0, X_{12} = 10, X_{13} = 9, X_{14} = 8, X_{15} = 7 \end{align*}
(i) $\omega$ の値を答えよ。
(ii) この $\omega$ の値を特定するのに必要な最小の $n$ の値を答えよ。

問2
一般に、任意の $\omega \in \Omega$ を特定するためには $\{X_n\}$ の値をどの $n$ まで知る必要があるかを調べよ(当然、手計算では無理なので、適当なプログラムを自分で作って探すことになる)。

そのうえで、次の問いに答えよ。
(i) ある $\omega$ を特定することが可能となる最小の $n$ および特定できる $\omega$ の値を答えよ。
(ii) 全ての $\omega$ を特定することが可能となる最小の $n$ を答えよ。

問3 フィルトレーション $(\mathcal{F}_n)_{n \in \mathbb{N}}$ を $\mathcal{F}_n = \sigma\{X_1, \cdots, X_n\}$ のように与える。
(i) $\{ \emptyset, \Omega \}, \mathcal{F}$ および $\mathcal{F}_1, \cdots, \mathcal{F}_{10}$ の12個の$\sigma$-加法族について、これらを適当な順序に並べて、それぞれの間を「$=$」または「$\subsetneqq$」のいずれか適当な方を用いて包含関係を明らかにせよ。

(ii) 確率変数 $Y(\omega) = \omega$ について、問1 の(i)の答えの $\omega$ の値に対する $\mathbf{E}[ Y | \mathcal{F}_n](\omega)$ の値を $n = 1,2,\cdots,10$ についてそれぞれ求めよ(ここでは、条件付き期待値を確率変数として表示するのではなく、特定の $\omega$ を与えたときの数値をそれぞれの $n$ について答えることを求めている)。

2012年9月5日水曜日

数理ファイナンスセミナー

案内をいただいたので、こちらでも掲載しておきます 

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日時:9月20日(木) 15:30-19:00
場所:東京大学駒場キャンパス数理科学研究科棟123号教室
テーマ:CSAに関しての理論及び実務の問題点


 【プログラム】

15:30-15:35 オープニング

15:35-16:35 講演者:嶋田康史(新生銀行)
        タイトル:OTCデリバティブの担保化をめぐる近時の状況と実務的な課題 (仮題)

16:35-17:35 講演者:中原健二(BNPパリバ証券)
                タイトル:離散時間モデルでの担保付デリバティブの価格付けについて

17:45-18:00 討論

18:00-19:00 講演者:中山季之(三菱東京UFJ銀行)
                タイトル:CSAやその標準化の流れ、及びそれを反映したプライシング技術について

2012年7月11日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第15回に向けての課題】


2012年7月5日木曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第14回に向けての課題】


2012年6月30日土曜日

16マス伊藤の公式…

なんとなく…
標準Brown運動 $W_t$ 標準Poisson過程 $N_t$ \[ \exp\left((\mu-\frac{\sigma^2}{2})t+\sigma W_t\right)\] \[\int_0^t e^{-s}dW_s\]
$f(x)=x^2$
$f(x)=x^3$
$f(x)=e^x$
$f(t,x)=e^t\sin x$

2012年6月27日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第13回に向けての課題】


2012年6月20日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第12回に向けての課題】


2012年6月13日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第11回に向けての課題】


2012年6月6日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第10回に向けての課題】


2012年5月30日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第9回に向けての課題】


2012年5月23日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第8回に向けての課題】


2012年5月16日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第7回に向けての課題】


2012年5月9日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第6回に向けての課題】


2012年5月2日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第5回に向けての課題】


「金融数理の基礎」2011年度秋学期の総括

学生の皆さんの授業評価コメントをまとめたものが共同研究室から送られてきました。
今年度も、おおむね好意的に評価していただきました。

以下、皆さんのコメント(お褒めの内容については割愛させていただきます)および、それに対する回答です。
また、コメントは原文そのままではなく、要点が分かるように私が適当に編集したものも含まれています。


数学的な基礎部分の比重が想定よりも多かった。慣れていないのもあり、理解度半分だった」
「前半部分(測度論)はちゃんと理解できていない。かなり復習が必要だ」

「内容の密度が濃く、基礎科目レベルの授業ではない。やるなら、内容を前・後期に分割すべきである」
「前半は具体的な話題かと思っていたが、実際はかなり抽象的な議題が多く難しかった。理解度は低い。自分で使いこなすのは難しい

「イメージしていたよりも難しかった。自分の努力が足りず、理解が進んでいない」
「…スピードが速く理解が追いつかないところもあった」
「…理解は前半は難しかったのでいまいちだったが後半はよくわかった」
内容が抽象的すぎて、とっつきにくい。(財務系の学生には特に。)」

(回答)授業の難易度設定としては「難しかった」「分からなかった」「速すぎた」という評価もある程度あるくらいがちょうどよいかと(勝手ながら)思います。確かに内容として、前半は集合論・測度論・積分論という抽象数学を易しめのトピックに絞りつつも淡々とハイペースでこなしましたから、数学の授業から遠ざかっていた人が普通の量の勉強では内容を理解するのは大変だったとは思います。そうした状況を放置したままというのもよくないので、少しずつ変えていきますが、苦しくても勉強してもらうことでしか得られないこともあると思います。


ただ、試験では中間・期末のいずれにしても、自分でポイントを書き込んできたものを参照OKとしましたし、どんな問題を出すかについても授業中にだいぶヒントを出していました。その意味で数学の知識自体よりも、(私の独断ですけれども)定義を大事にして素朴な演繹が理解できる程度にロジカルに考える能力を、数学の試験という形で問うということを主眼にしたつもりです。
また授業でも知識の修得もできればしてほしいですが、それよりも数学的な思考というものはどういうものかについて、多少なりとも感じてもらうことが大事だと思います(実際は、いろいろと制約もあり、あいまいにしたりいい加減なままにしたりする部分も多くても申し訳ないのですが)



前から分っていたことだが、実際の金融市場への応用部分がもう少しあればよかったと思う」
「後半のデリバティブの計算の時間がもっと多いとありがたかった」


(回答)正直、分かった気にさせたり、試験問題を作ったりするという視点からすれば、デリバティブをメインにした内容編成(シュリーブ1巻を教科書にしていた以前の授業スタイル)にした方が私もやりやすいのです。ただ、それよりもあえて集合論とか 測度論に触れてもらうことが、少なからず後々役に立つこともあるかなぁ、と思ったり。
今年度は少し純粋数学パートのボリュームを減らして金融市場モデルの方に時間を回す予定です。とはいえ、トータルでは数学ボリュームは変わらないと思いますが。


先生は、教え方と板書の仕方が非常にうまいので、学生時代予備校の講師でもおやりになっていたのだろうかなと思ったりした」


(回答)メジャーな予備校で教えたことはないですけど、塾講師は通算8年くらいしてました。とはいえ、教え方がうまいと自分で思ったことはほとんどありません。まあ、もう少し広い黒板とかホワイトボードがあればいいと思います。





「いい授業なだけにハードルをもう少し下げれば、より学習の意欲が生まれたのでは、と思う」
「非常に役立ったので、来年もこのスタイルが良いと思う」
「社会人大学ではなかなかない授業内容だと思う。続けてほしい」

(回答)はい。そういう声に応えられるよう、できるだけ多くの学生の学習意欲を少しでも高められるように改善を図りたいと思います。もちろん譲れないところは譲らずに。

2012年4月25日水曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第4回に向けての課題】

2012年4月17日火曜日

ファイナンシャル・リスク・マネジメント【第3回に向けての課題】


2012年4月11日水曜日

4/17(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第2回:Chen et al.(2007) #1

第2回と第3回では、


  Chen, L., D. A. Lesmond, and J. Wei, “Corporate yield spreads and bond liquidity,” 
The Journal of Finance, 62, 119-149 (2007)


を扱います。



第2回では、同論文の§1 の部分を中心に、以下の予習課題の3つの問いに関連して

  • LOTモデルの全容の理解
  • そもそも流動性リスクをどうとらえるとよいか
  • 対数尤度関数の導出過程の理解

といった内容を中心に、学生の皆さんとのQ&A、ディスカッション、私からの解説を行いたいと思います。

第3回では、同論文の§2~§4で提示されている重回帰モデルのいくつか、およびAppendix の the unobserved "true" bond return のモデルの根拠づけ、を主たる題材にしようと思っています。



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Chen et al.(2007) に関する以下の課題について、
第2回(4/17)の授業までに自分なりの解答を用意してくること。


なお、「(★レポート)」がついた課題については、A4サイズ縦で横書き1ページ以内に解答をまとめて、PDFファイル(推奨)またはWordファイルの形式で、受付期間中にイントラネットを通じて必ず提出すること。




【問題1】 (★レポート) §1 Liquidity Measures の2番目のパラグラフ(P.122の下段)に、
"The LOT measure is a comprehensive estimate of liquidity ..."
というセンテンスがある。
この "LOT measure" とは具体的にどのような流動性リスクの尺度であるかを、自分の表現で分かりやすくまとめて説明せよ。
※該当部分の翻訳や単なる数式の羅列の説明を要求しているわけではない。




【問題2】 この論文では流動性リスク尺度として、上記のLOTの他に Bid-Ask Spread, Percentage Zeros が分析のために導入されている。この3つ以外に、(対象資産を問わず)流動性リスク尺度として定義されているものや、流動性リスクの代理変数として用いられているものを他の文献(日本語のものも含めて)調べて挙げてみよ。




【問題3】 数式番号(4) は、LOTモデルにおける対数尤度関数であると説明されている。このモデルにおける尤度の意味を考えたうえで、 数式番号(4) で表された対数尤度関数の導出過程を説明せよ。



2012年4月10日火曜日

FRM 第1回フォロー

授業でも触れたように、今学期は授業フォロー等の情報は イントラネットに集約していこうと思います。

第2回目に向けた課題(レポート問題含む)および第1回授業のフォローコメントをFS-授業資料2012のレポートおよび掲示板にアップしてありますので、そちらを確認してください。

2012年4月5日木曜日

書籍紹介:Model Risk

授業で扱う予定はありませんが、FRM受講者向けに以下の書籍を紹介しておきます。
ICS図書室にもリクエストしてあります(まだ一橋大学図書室HERMESの検索では出てきません)。

Massimo Morini, 
Understanding and Managing Model Risk: A Practical Guide for Quants, Traders and Validators,
The Wiley Finance Series (2011)


Understanding and Managing Model Risk: A Practical Guide for Quants, Traders and Validators (The Wiley Finance Series)

 「モデルリスク」というとかなり限定的な話題のように思えますが、実際にはファイナンスの広範なモデルを取り上げられており、モデルリスクというものが、いろいろなところでいろいろな形で浮かび上がっている状況に気づかされます。
 3章の途中までざっと読みましたが、ファイナンスのモデルの特徴と限界について、最近の金融危機をふまえつつ、実データや簡単な例をもって明らかにしていき、適正でないモデルを使うことの危険性と対処法についても言及しています。また、そうした議論を通じてファイナンスの知識やリスク概念を整理するという形式がところどころで使われており、ファイナンス理論のサブテキストとしても使えると思います。
 ただし、入門書としては使いにくいと思われます。他のファイナンスやリスク計量のテキストを勉強したことがあれば、違った角度でファイナンス理論やリスクマネジメント理論を眺めることができて、きわめて有用だと思います。

※個人的に、このテキストの私的勉強会に何回か参加させていただく予定ですので、そこで得た知見なども授業でお伝えできるかもしれません。

4/10(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、これからの講義内容についての説明とオリエンテーションということで

  • 授業内容を大幅変更した理由について
  • 授業の進め方&授業に臨むにあたって
  • 成績評価について
  • 授業で講究する5編の論文について
という流れで説明をしたいと思います。

【講究する論文】(授業では [1] → [3] → [4] → [2] → [5] の順にあつかう)

[1] Chen, L., D. A. Lesmond, and J. Wei, “Corporate yield spreads and bond liquidity,” The Journal
of Finance, 62, 119-149 (2007)

[2] Gordy, M. B., “A risk-factor model foundation for ratings-based bank capital rules,” Journal of
Financial Intermediation, 12, 199-232 (2003)

[3] Gourieroux C., J. P. Laurent, and O. Scaillet, “Sensitivity analysis of Values at Risk,” Journal of Empirical Finance, 7, 225-245 (2000)

[4] Li, D., “On default correlation: a copula function approach,” Journal of Fixed Income, 9, 43-54
(2000)

[5] Merton, R. C., “On the pricing of corporate debt: the risk structure of interest rates,” The Journal of Finance, 29, 449-470 (1974)

※なお、これらの論文は事前に各自で入手してください。論文を入手することも授業の一部です。

私の調べた限りでは、ICS内部からが [4]以外はジャーナル掲載版のpdfファイルをインターネット上で入手することができます。[4]も体裁が異なるだけで、内容的にはジャーナル掲載版とほぼ同じものを入手することはできますし、論文が掲載されたジャーナルをICS図書室内で見つけることができます)

また、論文を読んでいくうえで論文ごとに専用のノートも用意するとよいでしょう。
理想的には、思考を検討するための計算用紙兼落書き用ノートと、読み取った内容を整理していく清書用ノートの2種類があるとよいと思います。

2012年4月3日火曜日

4/3(火)授業は休講です。

FRM第1回の授業は、4/10(火)に延期します。
補講を含めたスケジュール調整については追って連絡します。





なお、新しいイントラネットでは、
「ファイナンシャル・リスク・マネジメント(FRM)」の受講(予定)者向けのアンケートを作成しました。

これはイントラのレポート機能の使い勝手などを、出題者である中川と回答者である学生の方が確認するためのテストを主たる目的にしています。
回答内容はまったくFRMの成績に影響しません。


授業アンケートの回答は、本日4/3の21:30~翌日の4/4の12:00まで受け付けます。

(イントラにアクセスできるのであれば) 受講予定でない人も、実験目的のアンケートですので回答に参加していただいてかまいません。

レポートへのリンク: https://ics.manaba.jp/ct/course_2756_report

2012年2月16日木曜日

成績確定

2011年度秋学期の私が関係する授業・演習の単位はすべて確定させます。

2012年度の「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」について

【授業の概要】(※ 2011 年度までと大きく授業内容・形態が変わります)
金融リスク(市場リスク・信用リスク)の計量に関するいくつかの論文の講究を通じて、モデルの理論的背景(特に数学的議論)の理解を深め、実際の金融リスク・マネジメントとの距離感や実用化の方法などについて議論する。

【履修のための条件】計量ファイナンス系のM2 向け科目という位置づけだが、意欲があれば誰でも受講可能。

【授業の目的・到達目標】
金融リスク計測に関連するモデルの理論的側面について、数学的議論を通じてきちんと理解することを目指す。くわえてモデルの実証方法を理解し、部分的に論文中の手法を再現できるようにリスク計測技術の向上も目指す。さらに、専門学術雑誌に掲載された学術論文をきちんと読む姿勢を身につけることも副次的に目指す。

【授業計画】(※ 2012 年1 月段階の構想のため変更の可能性あり。詳細は4 月初めに告知予定)

1. (4/3) Guidance & Introduction : 講義全般のオリエンテーション
2-3. (4/10, 4/17) 社債スプレッドと流動性:Chen et al.(2007)
4-6. (4/24, 5/1, 5/8) VaR の感応度分析:Gourieroux et al.(2000)
7-9. (5/15, 5/22, 5/29) デフォルト相関とコピュラ:Li (2000)
10-12. (6/5, 6/12, 6/19) リスク・ファクターモデル:Gordy (2003)
13-15. (6/26, 7/3, 7/10) 構造型モデルの原点:Merton (1974)

※海外出張などにより、スケジュール変更の可能性あり

【直接扱う論文】

[1] Chen, L., D. A. Lesmond, and J. Wei, “Corporate yield spreads and bond liquidity,” The Journal
of Finance, 62, 119-149 (2007)

[2] Gordy, M. B., “A risk-factor model foundation for ratings-based bank capital rules,” Journal of
Financial Intermediation, 12, 199-232 (2003)

[3] Gourieroux C., J. P. Laurent, and O. Scaillet, “Sensitivity analysis of Values at Risk,” Journal of Empirical Finance, 7, 225-245 (2000)

[4] Li, D., “On default correlation: a copula function approach,” Journal of Fixed Income, 9, 43-54
(2000)

[5] Merton, R. C., “On the pricing of corporate debt: the risk structure of interest rates,” The Journal of Finance, 29, 449-470 (1974)


【他の授業科目との関連】「金融数理の基礎」「金融数理」「金融データ分析の基礎」「統計科学の数理」などの授業を一通り履修しており、確率論・統計学の基本的な事項を修得していることを期待する。

【成績評価の方法】平常点(小レポートや課題への取組、発言内容など)。いわゆる筆記試験は行わない

【学生へのメッセージ】予習に相当時間をかけないと授業について来られないはずです。席に座って何かを教わりたいという姿勢の人は最後まで続かないでしょう。

2012年2月10日金曜日

解いてみました…

正解であることは別に保証しません。解答方針だけは分かって満足してるので。

(1) $\frac{1}{\sqrt{2\pi t}}e^{-\frac{x^2}{2t}}$

(2) $e^{(\frac{1}{2}\alpha^2+\alpha\beta+\beta^2)t}$

(3) $e^{(\frac{1}{2}\alpha^2+\beta^2)t}$

(4) $W_s^2 + 2t - s$

(5) $2\sqrt{\frac{t}{\pi}}$

(6) $2\sqrt{\frac{t}{\pi}}$

(7) 満たす方程式自体はいろいろ考えられるけど期待されているのは熱方程式? $\frac{\partial f}{\partial t} = \frac{1}{2}\frac{\partial^2 f}{\partial x^2}$

(8) $\left(\frac{e^{\alpha}+e^{-\alpha}}{2}\right)^t$

(9) $e^{\alpha Z_s}\left(\frac{e^{\alpha}+e^{-\alpha}}{2}\right)^{t-s}$

(10) $\frac{15}{128}$

(11) $\frac{15}{28}$

(12) $Se^{(r - \frac{\sigma^2}{2})t + \sigma W_t}$

(13) $Se^{rt}$

(14) $S^2e^{2rt}(e^{\sigma^2t}-1)$

(15) $2S_ue^{(r+\sigma^2)(T-u)}$

2012年2月9日木曜日

「金融数理の基礎」の成績評価について

「金融数理の基礎」期末試験の採点答案とメモを本日返却するよう手配します。
(採点した答案・メモについてはコピーをとってあります)

1枚目の答案の氏名右のところに
青い○で囲まれた赤い数字が100点満点での期末試験の点数です。
また、赤いで囲まれた数字が、この講義に対する点数としての成績評価になります。
この点数は、以下のように算出しました。
max{中間試験の点数, 期末試験の点数} × 0.5 + 期末試験の点数 × 0.5 + 平常点(課題レポートの出来に応じて1~6点)

課題レポートについては、1回でも出していれば1点、毎回出していて平均くらいの出来なら5点、といった感じにしました。平常点はすこし甘めにつけました。

なお、上記の点数が60点以上の人は、それでまずA~Cの評点をつけました。
(80点以上がA, 70~79がB, 60~69がCというルールに沿っています)

次に、59点以下の人については、試験の平均点などを勘案して「最終成績が50点以上」の人は成績処理上60点(C)をつけることにしました。
最終成績が40点以上」かつ「4つの大問のうち2つ以上で大問の平均点を上回った点数をとっている」の人も成績処理上60点(C)をつけることにしました。
過去3年間の救済条件に比べると、やや甘めではありますが、基礎科目という位置づけで平時の取り組みと部分的にでもきちんと理解している跡が見られれば評価するということで判断しました。
このケースの人は緑でCと記入しています。


共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室のドアのところ個人フォルダから受け取ってください。


なお、期末試験の採点結果について質問・異議等があれば、2月16日(木)までに、直接中川に問い合わせてください。

2012年2月8日水曜日

「金融数理の基礎」:期末試験採点講評(更新)

解答例はイントラネットにアップしておきました。


受験者数は17名。 問題冊子に示したとおりの配点でのガチンコ採点は一通り終了しました。
2回目の見直し採点を行い,期末試験としての素点は確定させました。
いちおう中間試験と課題レポート評価をもとにした成績も算出していますが、最終的な成績のつけ方はもう少し考えます。
ただし、過去に比べても、試験問題の難易度はあまり変えていないつもりですので、必要以上に救済するつもりはありません。

なお、期末試験だけの最高点は85点(1名)です。

なお、大問別の平均点は以下の通りです。
問題1:13.59 (/25点)   問題2:7.29 (/25点)  問題3:11.65 (/25点)  問題4:10.29 (/25点) 

以下は各問題についての簡単な講評です。

【問題1】 問題の背景はトランプ1枚をランダムに選ぶだけのことです。それをふまえて「マークが赤か黒か」と「数字部分を4で割った余りはいくつか」に応じてそれぞれ点数(確率変数 $X$ と $Y$)を与えて、最終的にマークと数字からのポイントをかけ算したものを得点とする(確率変数$Z$)といったゲームを想定してもらう問題でした。

そう言われればもっと気楽に答えられたというかもしれませんが、質問の仕方をわざと難しくしていたこともありますし、テストということで必要以上に難しく考えすぎたのでしょう。
その意味で数学というよりは国語力の要素が強かったのでしょうか。

(1) これはできていてほしい問題でしたが、間違えている人もいました。
(2) 二つとも正解という人はかなり少なかったです。どちかといえば $Y$ の期待値の正答率が低かったです。(1)を間違えていても期待値は正解という人はいました。
(3) 何を示せばいいか理解できていると判断できたら2点あげました。
(4) (2)の答えが間違っていても、独立な確率変数の期待値の計算を意識している(かどうかは本当は分かりませんが)という意味で、 (2)の積になっている人には1点あげました。
(5) どうも逆像は苦手な人が多いようです。ゲームの点数が2点になるカードは何種類かを答えるだけの問題です。
(6) 減点を1つ間違いにつき1点にしました。5個間違いなら3点になります。ここの条件付期待値は、要するに「マークだけ分かったときのゲームの点数の期待値」および「数字だけ分かったときのゲームの点数の期待値」を考えよ、という問題でした。ですから難しく考えすぎなければ、条件付期待値の性質に頼らずとも、直感で入る数字は分かったかと思います。


【問題2】少し本格的な数学の問題にしましたが、(1)~(3)くらいは解けるかな、という期待でした。

(1) 必要条件と十分条件は、混乱すると思いますが確実に答えてほしいところでした。間違った人の方も半数くらいいました。
(2) 授業でもやりました。説明不足なものが目立ちましたので、ポイントを完全に抑えていないと減点しています。
(3)「期待値が一定」というものが入らないと、最後の結論に直接つながりません。
(4) 下線部(d)の期待値の中を見ると、$k = \ell+1$ の場合だけ項が残っているので、$k=\ell + 1$ということに気づけます、という意図で出題しました。
(5) 条件付期待値の定義は分かりにくいので、これが一番難しいかな、と思っていました。できていたのは一人だけでした。

【問題3】いちおう授業で出しますよ、といったところを中心に出したつもりです。

(1) 過不足なく3つ選んでいて4点。一つ少ない、一つ多いは2点、1つ正解なら1点、という風にしました。さすがに全部選択した場合は0点にしました。
(2) $\mathcal{F}_k$-可測とすると「(未来の情報を使うことになるので)不合理」だというニュアンスがない場合は減点しました。しっかり説明できていると判断できた人は数名でした。
(3) 遠回りな説明のものもあって最初は減点したりしていましたが、期待値の計算が本質的に分かっているというものは正答として扱いました。
(4) 完全正解以外は正解ごとに1点与えるようにしました。(a)(d)(e) のところの出来が相対的に今一つでした。
(5) サービス問題のつもりで出題しましたが、意に反して不正解or空欄が多かったです。期待値の方はまじめに計算しなくてもリスク中立確率の下での株価の期待成長率は無リスク利子率に一致するというファイナンスの原則に気づけば、2期間後に株価がリスク中立確率下で平均何倍になっているかは、安全資産を2期分複利で運用したときと同じ倍率 $(1+r)^2 = (1+\frac{1}{6})^2$ であることも納得できると思います。


【問題4】出しますよと言っていたタイプの問題です。(2)だけは少し応用ですが。

(1) $Y$ 以外の変数の値を書いているような人が数名いました。もったいないです。$Y$ は後で計算が楽になるような設定にしたつもりですが、かえって仇となったのでしょうか…
(2) この問題は手付かずの人も多かったのですが、意外と健闘が見られたという印象です。
(3)(4)(5) はサービス問題のつもりでしたが、出来はあまりよくありませんでした。時間切れの人も多かったのか空欄のままの人も多かったです。