2011年6月30日木曜日

第9回課題レポートについて

第9回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F029, IM10F002, IM10F006, IM10F011, IM10F013, IM10F019,
IM10F022, IM10F025, IM10F029, IM10F038, IM11F003, IM11F014,
IM11F021, IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。

課題レポートの一次チェックをしました。

(1)イントラにアップしていたExcelファイルの埋め込み数式の不備を指摘してくれた人がいました。具体的には、セルB35の埋め込み数式が、配付資料と微妙に異なっているのでは?というものです。

具体的には、$P(\tau \le T) + P(\tau > T, V_T \le D)$ を計算した式の中に出てくる
\[ \left(\mu_V - b - \frac{\sigma_V^2}{2}\right)\]
という部分(2箇所)の $-b$ に相当する部分が埋め込み数式では抜けているのでは、という指摘でした。

確認したところ、確かに抜けていました。結果も当然変わってきます。
(東京電力のケースで、$-b$ を反映させたことで、最後の確率は 0.885%上昇しました)

見つけてもらってありがとうございました。
こういうエラーを見つけることに対する評価点は高いです。


(2)Black-Coxのデフォルト確率で、$P(\tau \le T) + P(\tau > T, V_T \le D)$ だけを求めていた人が少なからずいましたが、できれば、$P(\tau \le T)$ と $P(\tau > T, V_T \le D)$ をそれぞれ別に計算してほしかったです。要するに満期前のデフォルトの可能性がどれくらいあるのか、という点を考察対象にしてほしかったからです。

(3)$P(\tau \le T)$ と $P(\tau > T, V_T \le D)$ を別々に計算してくれた人についてですが、
全体では Merton モデルのデフォルト確率を上回っていることが確認できていた人でも少し気になるところがあります。

Merton モデルのデフォルト確率は、要するに $P(V_T \le D)$ と表されるわけですが、これは Black-Cox の満期前デフォルトでないパターンの確率である $P(\tau > T, V_T \le D)$ と比べたときに
\[ P(V_T \le D) \ge P(\tau > T, V_T \le D) \quad \because \ \{ V_T \le D \} \supset \{\tau > T, V_T \le D\} \]
という不等号が成り立つはずです。つまり、この両者の比較では MertonモデルのPDの方が大きくなっていないと変です。
もっと言えば、後者の確率は $P(K=0.8D < V_T \le D)$ よりも小さくなるはずですから、ある程度は満期前デフォルト確率$P(\tau \le T)$ が大きくならないとおかしいと思います、

しかし、そこの大小関係が逆転している人が何人かいました。私と同様に計算式をどこか間違えている可能性があります。計算方法を再度確認してみてください。

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