2011年5月10日火曜日

第2回の課題レポートについて

現時点(5/10 20:20)までに第2回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F023, IM09F029, IM10F002, IM10F004, IM10F006, IM10F011,
IM10F013, IM10F014, IM10F019, IM10F022, IM10F024, IM10F025,
IM10F029, IM10F033, IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F011,
IM11F012, IM11F014, IM11F021, IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。

問題1.(1) 授業で説明したものなので、特にコメントはありません。


(2) 準テキストの例2.5を参考にして解いた人が多かったですが、自分なりに考えた人もいました。ただ自分なりに考えた人の中では数式を使ってうまく表現できている人は少なめでした。
 準テキストを参考にしていた人でも、レポートを読む限りでは、きちんと「行間」を埋められている人と、その辺が怪しい人が見受けられました。
 対数価格を1つめのリスクファクターとして考えて、対数価格差(=対数収益率)をリスクファクター変化量にしているわけなので、
\[ C_{\ln S}^{BS}X_{t+1,1} \]
という数式が来るのが自然に思われますが、実際にはいわゆる原資産価格に関する価格感応度「デルタ」を用いて
\[ C_{S}^{BS}S_tX_{t+1,1} \]
という数式が使われています。これはこれで正しいのですが、なぜそのように表示できるかを整合的に説明できていた人はわずかで、多くの人が結果を書き写した感じでした。



例えば、合成関数の微分と逆関数の微分を用いて
\[ C_{\ln S}^{BS} = \frac{\partial C^{BS}}{\partial \ln S} = \frac{\partial C^{BS}}{\partial S}\frac{\partial S}{\partial \ln S} = \frac{\partial C^{BS}}{\partial S}\frac{1}{S} = C_{S}^{BS} S \]
となるという説明が可能かと思います。



(3) これも 準テキストの例2.6を参考にして解いた人が多かったです。自分で考えたと思われる人の中には、株式と同様に債券の対数価格そのものをリスクファクターにしていた人がいました。間違いではありませんが、債券の場合は「最終利回り」をリスクファクターと見なせば、その感応度が修正デュレーションになるということを知っていれば、$y(t,T_i)$ をリスクファクターと考えることができたでしょう。


ちなみに準テキストに沿って素朴に式変形していくと (2.13)式での $X_{t+1.i}$ の係数部分は $(T_i - tΔ)$ ではなくて、$(T_i - (t+1)Δ)$ になると思います。前回の授業できちんと触れなかった「偏微分を用いた1次近似」の式を使えば$(T_i - tΔ)$ が現れてくるはずです。
素朴な式変形の場合でも、おそらく、$\Delta$ と $X_{t+1.i}$ の積の部分は他と比べていっそう小さくなるはずなので、無視してもかまわないため

\[ (T_i - (t+1)\Delta)X_{t+1,1} \approx (T_i - t\Delta)X_{t+1,1} \qquad (\because \Delta X_{t+1,1} \ll 1 ) \]

と読み替えて、(2.13)式に帰着させることができると思います。

問題2. 答えは正しい人は多数いました。ただし、議論としては不完全な人がほとんどでした。この段階では厳密な論証を期待していませんが、自分の解答が不十分であるという認識はもってほしいと思います。

ポイントは
 (1)答えとなる数字をみつける(それはほとんどの皆さんが出来ていました)
 (2)その数字が本当に集合の sup や inf になっていることを「定義」の条件を満たしているかをチェックする
ということで、(2)に頭が向いた感じの人は少数でした。

慣れてくれば(1)だけで十分とも思えますが、慣れないときだからこそ、面倒くさい(2)のような手続きが本来必要だということを述べておきます。
いずれにしても、最大・最小や上限・下限の問題は、計算問題という側面が強いですが、最後の決め手は証明というか条件の確認になることをお忘れなく。

問題3. 手計算した人が多かったです。手計算した人も、検算の意味で何かツールを使って一致するかを調べてもよかったと思います。
(3) で「解なし」と答えた人が比較的多かったですが、連立方程式を行列表示して、逆行列を書けて求めるという方法に慣れすぎているのかもしれません。この問題は逆行列が存在しないケースなので、その方法は使えません。だからといって解がないわけではなく、解は無数に存在します。
もちろん、本当に解がないケースもありますが、いずれにしても逆行列が存在しないからといって、短絡的に解なしとは思わないでください。


GW特別問題については別記事として触れます。

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