2009年5月21日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第7回フォロー(追記)

配布プリントをイントラネットにアップしておきました。今回のプリントには課題はありません。
プレゼン資料をアップしました。

授業後に、某銀行のリスク計測モデルについての情報を寄せてくださった方がいます。ありがとうございます。

あと、授業で回覧してリストに載せなかった本はこちらこちらです。

前回の宿題レポートの提出を確認できたのは、以下の14名です。
提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IM05F023, IM08F007, IM08F010, IM08F013, IM08F014, IM08F020,
IM08F028, IM08F029, IM08F030, IM08F036, IM09F014, IM09F017,
IK09F002, IK09F004

以下、課題(前回問題3)へのコメントです。

ES の計算方法をまだ正しく理解できていない人が若干いました。
(答えだけを列挙すると、(i) -0.8 (ii) H のとき -2, T のとき -0.5 (iii) -0.8 (ii) H のとき -2, T のとき +1)

特に時点1で最初のコイントスの結果で条件付けした場合の計算が不正確な人がいました。

例えば、(ii) で最初のコイントスが H の場合は、

1/(1-0.1) × [(-2)×0.1] = -2

となるのですが、0.1 の部分を 0.2 とか 0.1/0.2=0.05 とかにしてしまっている人がいました。
また、最初のコイントスが T の場合は、

1/(1-0.1) × [1×0.05 + (-2)×(0.1-0.05)] = -0.5

となりますが、(0.1-0.05)の部分が、(0.1-0.04)/0.8 などになっている人がいました。

もう一度ES の計算方法を確認しておいてください。
変に機械的に考えないで、ESの意味そのものを考えれば、求めた数字がESとして適当かどうかを自分でも判定できるはずです。

(v)のコメントについてですが、「時点0でのESの値が同じでも、時点1の状態によってESの値が異なることがある」というような内容の人が多かったです。
これは前回の問題2で私が解説した内容に引きづられたためかもしれません。説明不足だったと思います。すみません。
(ちなみに、時点0 での5/8-ES は L_1 もL_2 も -1 で、時点 1 において u だった場合は、L_1 の方の 5/8-ES は 5となり、L_2 の方の 5/8-ES は -1 でした。また、時点 1 において d だった場合は、L_1 の方の 5/8-ES は -13となり、L_2 の方の 5/8-ES は -1 となります)

ポイントは、損失という意味では、L_1 では最初に u のときには 5 だけリスク資本を積むべき水準になりますが、L_2 では(uでもdでも)-1 のままです。となると、次の時点の状態によって片方はリスクが顕在化し、片方はリスクが現れてこない状態なわけです。そうなるとL_1 の場合に、時点0の段階で5/8-ES の結果が -1 であるとしても、それを時点0でのリスクとすることは、自然には感じられないということです。

問題3においても、多期間リスク尺度を考える以上は、「時点0でのESの値が同じでも、時点1の状態によってESの値が異なる」こと自体は不自然なことではなく、むしろ時間と状態によってリスク値が変わって当然です。
問題なのは、各時点のリスク値および時間による変化の仕方が、「リスク」という意味合いに照らして整合的と思えるかどうかということです。時点1で状態によっては正のリスクが算出されることがわかっているのに、時点0でリスクが負(リスク資本が不要である)という状態は違和感がありませんか?というところがミソです。

ですから、考察する際にはもう少し2つの確率分布の設定の結果の違いに注目することが必要になります。
確率測度 P の下では最初のコイントス結果が H でも T でも 90%-ES がマイナスになりますから、時点0のリスクがマイナスであってもあまり違和感がありません。
(ちなみに、時点0での90%-ES は、時点1の90%-ESの期待値に一致しています。これは一般的に成り立つことではありません)
一方で、確率測度 P^ の下では最初のコイントス結果が T のとき 90%-ES が+1となり、リスク資本が必要な状態になりますから、それが20%の確率でしか起こらないことであったとしても、時点0のリスクがマイナスであり、リスクが正として現れないP のときと同じ値であるということはあまり自然とは思えません。
(ちなみに、P^ の下では時点0での90%-ES は、時点1の90%-ESの期待値に一致しません)

これは一つの説明の仕方ですが、いずれにしてもリスク量は「積むべきリスク資本」という視点からすると90%-ES は不自然な状況を引き起こすということを指摘してほしいというのが出題の意図でした。

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