2008年12月26日金曜日

「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」2008年春学期の総括

遅くなりましたが、学生の皆さんの授業評価コメントに基づいて、春学期に行った「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」の反省を述べ、部分的に来年度以降の授業でどのように改善していくかを考えたいと思います。

全体的には、好意的に評価していただきました。
(期末試験前に回答していると思うので、最終成績によって評価が180度変わった人もいるかもしれません・・・)

以下、いくつかの学生コメントおよびそれに対する回答です。
コメントは原文ではなく、適宜、要点が分かるように私がまとめています。

------------------------------------------------------------------------------------

「第11回~13回(信用リスクの数理モデルのところ)の内容をもっと詳しくやってもらいたかった」
「以前の『信用リスク』の授業をカバーするという意味では不足」
(回答)カリキュラム評価の方にも「市場リスクと信用リスクは、別々の授業でそれぞれ扱ってほしい」という趣旨のコメントがあり、それと関係するコメントですね。
昨年度までは「市場リスク」を長山先生、「信用リスク」を中村先生が別々に担当していて、「市場リスク」を履修していた人の中には、「信用リスク」にどっぷりつかりたいと思っていたのに・・・とがっかりした人もいるかと思います。
また、それとは別に1コマ分の授業に無理につめこんだために、それぞれのトピックが表面的にしか扱われなかったという不満をもった方もいるでしょう。

残念ながら来年度も「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」という一つの授業で「市場リスク」も「信用リスク」も扱うことになります。
ただし、内容については見直して、信用リスクの数理をもう少し詳しく扱えるようにしたいと思います。
具体的には「確率論・統計学の復習」「オペレーショナル・リスク」について、1回分の授業を使うことをやめようと思います。あと、中間試験も無しにしようと思います。それで3回分浮くので、それをもう少し有効に使いたいと思います。

あと個人的な意見ですが、純粋に「市場リスク」をネタにして1学期もたせようと思うと、リスクというより統計の応用のような側面が強くなってしまうと思いますし、細かい話が多くなってくると思います。
また、「信用リスク」だけで1学期分ひっぱるためには、数理的に面倒なところ(要するに情報の構造の取り扱い)に入っていくことになります。授業として、そこまでカバーすべきかという点には少しひっかかります。
また最近では、「統合リスク」「リスクの資本賦課」「ERM」のような話題も出てきていますし、金融リスクをまとめて俯瞰する姿勢も大事に思います。
(問題は、それをナビゲートする役割として私自身が未熟だということですが・・・)

「プレゼン資料は予めイントラにUPしてもらえると良かった。ブログを活用されていますが、会社からはブログを見ることはできないので、イントラを活用してもらえると助かる」
(回答)プレゼン資料を前もってUPできるように努めます。また、ブログではなくイントラの活用ということですが、これについては検討させてください。もちろん、イントラを活用すべきことについては積極的に使いますが、ブログのメリットもありますし。
ブログのコンテンツをイントラに回すことも可能ではありますが、ブログの記事は気軽に修正できるため、そのたびにイントラの方もというのは大変なので避けたいというのが本音です・・・

「中川先生に他の分野についても授業をしてほしい。例えば、初級レベルの数学(特に確率過程)を上級レベルにつなげるような内容の授業をしてほしい」
(回答)最大の賛辞と受け取ります。ありがとうございます。ただし、現実に授業コマを増やすことについては・・・ 私大の先生に比べると授業負担は非常に 軽いかもしれませんが、社会人大学院生を相手にすると1コマ分の授業に対する準備やフォローを含めて、それなりに大変です。
とはいえ、他の授業評価やカリキュラム評価でももう少し数学をきちんとやりたいというニーズはあるようなので、単位にはならないが、集中的に何かのトピックをレクチャーする機会は作れると思います。

0 件のコメント: