2008年12月11日木曜日

論文メモ(その3)

この前の大阪出張の行きの新幹線で読んだ論文がこちら

ここしばらく、信用リスクでは Giesecke 氏の論文をフォローしているわけですが、経歴を見ると彼の方が若干年下のようで、私自身もっと精進しなければいけません・・・

信用リスクの Top-down approach での self-exciting intensity についての simulation などが直接の応用例として考えられます。

彼らが提案している方法のベースとなるのは、「(完全情報下での)強度λをもつ点過程のジャンプ時刻の同時分布は、その点過程から生成される自然なフィルトレーションへの λ の optional projection を強度とする点過程のジャンプ時刻の同時分布が同じ」という数学的命題です。

結果的に、元々ジャンプ拡散過程などで強度過程λをモデル化しても、実際にλに従って、イベント時刻を発生させようとした場合には、拡散項のブラウン運動のパスを発生させたりする必要はなく、一般に「過去のイベント時刻とジャンプサイズの関数」として表される、射影された強度に従ってシミュレーションすればよいので楽になるということです。

問題は、その射影された強度が容易に得られるかどうかになりますが、その点については affine point process (強度が Duffie,Pan, Singleton(2000) でいうところの affine jump-diffusion process で与えられているもの)で、具体的に計算しています。
条件付の Laplace 変換を計算していくなかで、例によって Riccaci 型の連立ODEが出てきて、その解を用いて表現するという流れになっています。

数値例としては、Riccaci が明示的に解ける例(CIR型 に self-exciting なジャンプ項がくっついた形)でシミュレーションによる sample path の例が載っています。

自分の研究に関係するところなので、この方法でシミュレーションする必要が生じた段階になったら、もう一度詳しく検討したいと思います。(今考えているモデルは拡散項を入れておらず、 λ の optional projection が λ 自身になっているので、この論文の方法を参考にしなくてもよいのです)

この論文の内容については、こちらのリサーチ部門の方が詳しいと思いますし、もっと発展的なことをされているのではないでしょうか?

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