最近ブログの更新をさぼっています。
もともと授業についての情報提供を目的としているので、授業がない今学期は休眠状態でもよいのですが、自分のためになるかと思い、読んだ論文の概要でも書いていこうと思います。
これも何回かで企画倒れになる可能性は高いですが。
今日読んだのは、こちらの論文。証明部分を除いて本文が10ページなので、すぐ読めます。
Structural approach with incomplete information の範疇の信用リスク・モデルについて、delayed filtration という概念で整理しようという論文。ただし、「連続型」と「離散型」という2つのタイプの delayed filtration を定義し、これらが本質的に異なるものであることを主張しています。
「連続型」delayed filtration は、time-change によって実際の時刻よりも過去の情報が到着するようなもので、情報は遅れながらも連続的に更新されていくようなもの。
一方、「離散型」delayed filtration は、イベントが発生しないと情報が更新されないようなもので、本質的に marked point process から生成される自然な filtration のようなもの。
また、それぞれのタイプについて delayed filtration の例を挙げて、具体的な停止時刻(要はデフォルト時刻)の強度表現を求めています。強度を求める際に、「瞬間的なデフォルト率」という直感的な見方(Meyer's Laplacian approximation という呼び方が Aven によってなされたようです)を用いています。しかし一般には、瞬間的なデフォルト率として得られたものが、停止時刻の compensator のRadon-Nikodym 微分と一致するとは限らないので、その辺は Aven の定理を持ち出して注意深く議論しています。
Appendix の証明はざっと目を通しただけです。
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