2008年12月18日木曜日

論文メモ(その6)

今回目を通した論文はこちら

本当は、こっちを先に読んでおくべきなのだろうが、ぱっと見た印象で取っつきやすそうだったので、前者をまず選択した。

CDS に対する standard market model を設定して、
CDS option (というか、最近は Credit Default Swaptions とか CDS swaption と呼ばれることが多いようだ)の価格付け式や、Constant Maturity CDS 評価の近似式などを論じている。

ざっくり言えば、金利デリバティブの評価において、通常の money market account を numeraire とする risk-neutral measure でなく、満期がCFのタイミングにうまく対応している discount bond を numeraire とする forward risk-neutral measure で考えるというようなことを、CDS spread に絡むデリバティブ評価でも考えようというもの。

CDSwaption をリスク中立確率の下で表現したときに現れる "defaultable present value per basis point" と呼ぶべきものを numeraire とすることで、equivalent な測度変換が可能で、最終的に、CDSwaption に対して、いわゆる「Black 公式」を用いた表現ができるということを示している。
(idea は Jamshidian(2004) によるものらしい。Schonbucher(1999) は defaultable bond そのものを numeraire と考えたため、risk-neutral measure との同値性が保証されない状況で考えているとのこと)

Constant Maturity CDS 評価については、いわゆる BGM モデル(論文では、LIBOR market model)の枠組みで、CDS spread 変動のドリフトは CDS spread の水準にはほとんど影響しないという仮定と、足下の spread が forward CDS spread の一次結合で近似できるという仮定によって、扱いやすい近似評価式を導出している。

empirical な分析もしているが、きちんと見ていない。
また、数学的な議論の確認も例によって端折ってしまっているので、「読んだ」レベルではない。

おそらく、数学的な議論としては、この論文この論文で、先行研究が消化・昇華された形でまとめられているのだろう。CDS pricing およびその周辺の数理の進展はしっかり勉強したいところだが、後回しになっている。

#回によって、ですます調になっていたり、今回のようにである調だったり、していますが、その違いは書いているとき微妙なメンタリティが反映されています・・・

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