2011年10月27日木曜日

第3回課題レポートについて(追記)

第3回目の課題レポートをチェックしての暫定的な講評です。


今回は、いずれも難しかったのか、私を気づかってくれたのか(笑)、提出者数は少なかったです。


問1の(1)(2)以外は解いていた人がまばらでしたので、とくに問1の前半の「答え」についてコメントしておきます。


問1で気づいたところ。
$ \bigcap_{n=1}^{\infty} A_n$ を $\{0\}$ としたり、0 としたり、$(0,0)$ としたり、$\{\emptyset\}$ としたりしたものがありました。
いずれも間違い(と言い切れないものもありますが)のレベルは少しずつ違います。


$\{0\}$ は、そもそも $\forall n$ に対して $0 \not\in A_n$ なので、答えの集合が0を要素をもつことはおかしいです。
0 というのもその意味でおかしいですが、0は単なる要素です。$ \bigcap_{n=1}^{\infty} A_n$ は実数の部分集合になるはずなので、集合と要素が「=」で結ばれるのはおかしいことです。


$(0,0)$ あるいは $(0,0]$ は意味を考えれば $\emptyset$ ですから、ここは $\emptyset$ と答えてほしいところです。
ただし、$\{\emptyset\}$ は誤りです。これは空集合を要素として含む集合族という意味になり、これ自体は空集合ではありません。


また、$ \bigcap_{n=1}^{\infty} B_n = (0,1)$ という解答がありました。
こちらは、$\forall n$ に対して $0 \in B_n$ なので、答えの集合が0を含まないと逆におかしいです。


他に $ \bigcup_{n=1}^{\infty} C_n = \{ \mathbb{N} \}$ というのも、$\{ \mathbb{N} \}$ は自然数全体を要素にもつ集合族ですから、「自然数の部分集合=自然数の部分集合を要素にもつ集合族」という構図になっていて、階層の異なる対象同士を「=」で結んでいることになり、おかしいです。


おそらく内容は分かっていて、適切な記号の使い方ができなかっただけだと思うのですが、採点する側は記号の使い方で、要素・集合・集合族の区別についての理解度をチェックすることになります。$\{ \quad \}$ で囲むべきか否か、$=$ で結べるかどうか、$\in$ なのか $\subset$ なのか、などに注意するくせをつけてほしいと思います。


ふつうの語学だと文法を多少間違えても意味が通じることはありますが、数学は「文法」を間違えると、意味が伝わらなくなることすらありますので、表記には細心の注意をはらってほしいです。




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