2008年5月30日金曜日

6/4(水)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第9回:信用リスク(1)

第9回目は、信用リスクの初回と言うことで、信用リスク・モデルについての概説をしたいと思います。
内容に関しては特に予習するポイントはありませんが、2つ目のレポート課題に向けての知識確認ということでB/S, P/L の基礎知識と財務指標の定義などについての小テストをしようと思っています。

予定としては、

  • 中間試験の講評
  • 信用リスクのとらえ方
  • 信用リスク・モデルの一つの分類
  • 会計知識の小テスト
などです。
時間があれば、判別分析についても少し説明したいと思います。

「金融数理の基礎」第5回宿題コメント

第5回分の宿題についてのコメントです。

問1:テキストでいうところの「条件付Jensen不等式」とマルチンゲールの条件を組み合わせるだけです。少し回りくどい説明をしている人がいました。
ただし、厳密にいうと、φ(M_n) が適合過程であることにも言及する必要があります。ほぼ自明なことですが、そのことについて触れているかどうかで、その人がきちんと定義を確認できているかどうかが判断できます。その意味では誰も適合性について触れていませんでした。

問2:これも、条件付期待値の性質を繰り返し適用して式変形していき、とどめとして M_n がマルチンゲールであるという性質を使うことになりますが、説明不足と感じられる答案が多くありました。また、問1と同じで、I_n自体が適合過程であることにも言及する必要があります。自明と感じられるかもしれませんが、2行くらいで簡単な説明がほしいと思います。
あと、この問題のM_n が対称ランダムウォークとして定義されたものに限定していると勘違いしていた人もいますが、そうではありません。

問3:これについては出題の仕方があまり適切ではなかったと反省するところではあります。それは出題の段階で感じていたことでしたが、他にうまい設定を考え付かなかったので、結局、無裁定二項モデルという特殊な例に対して、ファイナンスとはあまり関係ない数学的な技術を問う問題のまま出題しました。

そのため、無リスク金利の扱いで無用な混乱をさせてしまったようです。私のタイプミスか何かと思ったのか、無リスク金利で割引した株価過程に対して議論していた人が少しいました。

また無リスク金利については他の問題からコピペしたのが残っているだけで、この問題に関しては不要な情報と思ってしまった人もいたようで、 0 < d < 1 +1/4 < u という無裁定と同値な制約条件がそもそも前提として存在することを考慮しないで答えていた人がいました。
私としては、その部分を気づかせるために問題文で「無裁定・・・」をゴシックにしていたのですが。

答え方として要求していませんでしたが、本当は必要十分条件をud平面に図示してもらうという大学入試にありがちな問題を念頭においていたので、その際には単なる等号成立条件から成り立つ以外に、何らかの制約条件が存在して図示されるのはある部分ということに思い至るかな、と考えていました。

まあ、私の出題の仕方も適切ではなかったですし、ファイナンス的な意味があるわけではないので、この問題に関して特にこだわる必要はありません。
強いて言えば、私の出題パターンとして、細かい条件を直接明示せずに問題文から読み取ってもらうような傾向がある、と思っていただければよいと思います。

2008年5月28日水曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」中間試験コメント(速報2)

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」の中間試験は17名が受験しました。

全体の採点を終えました。
(見直しは後でするので、最終結果は異なるかもしれません。特に
記述はもう一度検討したいと思います)

平均点は
 計算問題が30.5点、最高点は50点(1名)
 記述問題が38.6点、最高点は43点(6名)
でした。


計算問題の略解はイントラネットにアップしました。

全体講評は改めてしますが、目立った点だけメモします。
問1は全部できている人も多かった一方で、ふるわない人も少なくなく出来は二極化してました。
単純に正解1つにつき3点です。

問2は、手つかずの人がほとんどでした。問2は練習問題では扱わないタイプの問題でしたが、分布関数の逆関数を計算するだけでできます。そこに気づいてほしいところでした。
答えがまちがっていても、逆関数の議論に思い至っている人は3点をベースに部分点を挙げました。

問3は、全体的によくできていました。
(i) は金額ベースで答えるので、C_A, C_B をかける必要があります。
(ii) は収益率の標準偏差として答える必要があることに注意です。
(iii)では、本当はρ=1 では等しく、ρ<1 では単純和の方が大きいと答えてほしかったのですが、少しおまけしてあります。議論が不完全な人は少し減点しています。
また、(iii)について VaR の劣加法性が成り立たないと決めつけてしまっている人がいました。VaR の劣加法性は一般的に成り立つとは限らないのであって、正規分布のときなど成り立つ場合もあります。

問4は、完璧にできている人はあまりいませんでした。全部の数字があっていないと本当は意味がありませんが、甘めに部分点(1箇所ミスで4点、2箇所ミスで2点、3箇所以上ミスは0点)をあげました。

問5については、(A)4名 (B)9名 (C)4名 という分布でした。

コメントは別途したいと思いますが、現段階での採点方針として

(知識)こちらで想定していた内容(それぞれについて2つor3つののポイントを用意していました)に比べて不足している場合、1件だけだと5点減点。2件ないと10点減点としています。また、不適当な用語の使い方や正解と見なせないようなことを記述してある場合は適宜減点をしています。

(見解)主張が明確でないもの(つまり、あなたの主張はこういうことですか?と問い正したくなる文章)については、5点減点。あとは、前提となることや論理的なつながりのわかりにくさに応じて最大5点の減点をしています。(ということで見解部分については全員20点以上となっています)

細かい誤字脱字は見逃してあります。あと「である調」と「ですます調」の混在や「ですます調」だけでの解答などがありましたが、通常、試験の記述問題の答えやレポート・論文では「ですます調」は使わない方が賢明だと思います。

フィナンシャル・リスク・マネジメントの授業計画の一部変更について

信用リスクに関して5回分話す予定ですが、当初の予定(講義要綱および3月時点のシラバス記事のもの)を以下のように少し変更したいと思います。

【授業計画】の変更箇所:

9. (6/4) 信用リスク :信用リスク計量化の概説
10. (6/11) 信用リスク:デフォルト判別モデルなどの統計モデル(演習含む)
11. (6/18) 信用リスク:構造型アプローチによるモデルの概観
12. (6/25) 信用リスク:誘導型アプローチによるモデルの概観とクレジット・デリバティブの評価

2回目のレポートは6/11にアナウンスします。
また、この回はノートPCがあると良いと思います。

6/3(火)「金融数理の基礎」第7回:二項モデルの確率論的整理(4)

第7回目では、メインテキストの2.5節の残りと1,2章の練習問題をいくつか扱います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • 例題2.5.6 のマルコフ過程に対する backward な再帰式の導出法
  • 第5回配布プリントの問2(例題2.5.6の類題として説明したいと思います)
  • 1章の練習問題9 および 2章の練習問題9(時点と状態によって、上昇率・下落率・無リスク金利が変化するモデル)
  • 2章の練習問題12(Chooser option+Put-Call parity)
また第6回分の宿題レポートは、授業時に提出するか前もって共同研究室に提出しておいてください。

2008年5月27日火曜日

「金融数理の基礎」第6回フォロー

配布資料はイントラネットにアップしておきました。

5月27日(火)提出の「金融数理の基礎」第5回分のレポートの提出が確認できているのは、以下の17名です。

提出したはずなのに自分の id が載っていないという人は至急連絡ください。

IK08F002, IM05F023, IM07F029, IM08F007, IM08F010, IM08F013,
IM08F017, IM08F020, IM08F023, IM08F024, IM08F026, IM08F027,
IM08F028, IM08F030, IM08F037, IM08F038, IM08F039

いつもは、金曜日にはコメントや返却ができるようにチェックをしているのですが、今週は他の用事もあり、今回分についてはコメントや返却が遅れる見込みです。

また、今回の宿題は配布した分のうち問題1だけとします。
問題2については、次回の授業の中で扱います。レポートに解答してあっても特にチェックしないのであしからず。

M1ゼミ(5月分)

私のところのM1ゼミは4名で、前期の間に

S. E. Shreve, "Stochastic Calculus for Finance II: Continuous-Time Models"
(長山いづみ他訳「ファイナンスのための確率解析II-連続時間モデル」)

の3章から5章を読むことにしました。
1回90分で2名の方に発表してもらうという形です。

かなりのハイペースにしないと読めないので、細かいところを一つ一つ完全に理解するというよりは、各セクションでの重要な定義および結果と、その背景にはどういう数学的あるいはファイナンス的な概念があるのかということを確認していくことを主たる目的にしていくと思います。
とはいえ、短時間でこれだけ速く読み進めていくのは私自身初めての試みでもあるので、どういうコメントをしていくかは試行錯誤中です。

5月分のゼミのサマリーです。

12日(月)第1回:こんな感じで進めていくと良いのでは?という意味で私自身が3.1節~3.3節のブラウン運動の定義のところまでを30分程度で話しました。その後は1章、2章全体に関係する内容をごく簡単に説明しました。

19日(月)第2回:3.3節の続きから3.4節を2名の方に発表してもらいました。
[W,W](t) = t とならない経路全体は確率ゼロととらえられることなど、2次変分に関する内容について少しフォローしました。

26日(月)第3回:3.5節から3.7節を2名の方に発表してもらいました。
Markov 性の定義が一般には厄介なこと、stopping time の概念、証明中の dominated convergence theorem の使われ方、strong Markov property など少しフォローしました。

5/15(木)、22日(木)「金融市場の計量分析」第6回、第7回

第6回と第7回をまとめて。

第6回では、

P. Schonbucher,
"Modelling Dynamic Portfolio Credit Risk",
Working paper
(2003)

の Proposition 1 と Proposition 5(およびその前提となる 4(iii))の証明をやりました。

ただし、Prop.1の方はcadlag なプロセスのジャンプの過程の predictability(実際には progressively meaurability) がの成立がきちんと言えなかったので、完全に納得できたというところまではいきませんでした。

第7回では、

S. R. Das, P. Hanouna,
"Implied Recovery",
Working paper(2006)

R. M. Gaspar, I. Slinko,
"On Recovery and Intensity's Correlation - A New Class of Credit Risk Models",
Working paper
(2007)

を紹介しました。特に前半の Merton モデルによる recovery rate と intensity の関係の特徴づけの話について紹介しました。

これで、第7回をもって私の担当回は終了しました。


2008年5月23日金曜日

「金融数理の基礎」第4回宿題レポート【返却】

「金融数理の基礎」第4回宿題レポートを返却します。

共同研究室からメールで連絡があると思いますので、8階の共同研究室の
ドアのところ個人フォルダから受け取ってください。

採点内容やコメントについて質問・異議等ありましたら、直接中川まで。

2008年5月22日木曜日

5/27(火)「金融数理の基礎」第6回:二項モデルの確率論的整理(3)

第6回目では、メインテキストの2.4節の残り~2.5節の内容を扱います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • 41ページの最後から43ページの中段くらいにかけての説明(定理2.4.8は少し言及しますが、板書はしません)
  • マルコフ過程の定義および47ページ真ん中あたりの説明
  • 補題2.5.3 の内容
  • 例題2.5.4→例題2.5.6(非マルコフを多次元マルコフと見なす考え方)
また最後に時間が足りなくなるかもしれませんが、第7回目は問題演習にしていて多少バッファーになると思うので、あわてすぎないようにします。

また第5回分の宿題レポートは、授業時に提出するか前もって共同研究室に提出しておいてください。(今度から共同研究室の提出状況も確認します)