2011年12月13日火曜日

「金融数理の基礎」第11回フォロー

今回の配付資料と前回の問題の解答例(Excelファイルも別添で)をイントラネットにアップしておきました。



今日の授業の「コイントス3回での2時点目(2回コイントスした時点)での $\sigma$-加法族 $\mathcal{F}_2$ の要素を全部書き出すと次のようになります。要素は全部で $16=2^4$個あることを確認してください。
これはそもそも$\Omega$ を4つに分割していることに起因するためです。

前回のレポートでも気づいていた人が複数いましたが、一般に $\Omega$ を $n$ 個に分割する集合から生成される $\sigma$-加法族は $2^n$ 個の集合を要素にもつ集合族になります。

\begin{align*}
\mathcal{F}_2 &= \{ \emptyset, \{HHH,HHT\}, \{HTH,HTT\}, \{THH,THT\}, \{TTH,TTT\}, \\
& \ \{HHH,HHT,HTH,HTT\},\{HHH,HHT,THH,THT\},\\
& \ \{HHH,HHT,TTH,TTT\},\{HTH,HTT,THH,THT\},\\
& \ \{HTH,HTT,TTH,TTT\},\{THH,THT,TTH,TTT\},\\
& \ \{HHH,HHT,HTH,HTT,THH,THT\},\\
& \ \{HHH,HHT,HTH,HTT,TTH,TTT\},\\
& \ \{HHH,HHT,THH,THT,THH,THT\},\\
& \ \{HTH,HTT,THH,THT,TTH,TTT\},\Omega\}
\end{align*}

また、今回はマルチンゲール等の定義の説明で終わってしまったので、課題を解くのはすこし大変だと思いますが、ポイントとしては

$\{M_n\}$ という確率過程がマルチンゲールになることを示す場合、適合かどうか、可積分かどうかを確認するということもありますが、一番重要なのは
$$ \mathbf{E}[M_{n+1} | \mathcal{F}_n ] = M_n $$
という等号が任意の時点 $n$ で成り立つことを示すことです。

そのために使う計算のツールは、授業の前半に解説した条件付き期待値の性質になります。
例えば問1では $S_{n+1} = S_n + X_{n+1}$ という変形ができることに注目します。
また、$X_1,X_2,\cdots$ が独立ということは $\mathcal{F}_{n}$ と $X_{n+1}$ が独立ということは、特に断らずに使ってよい性質とします。

問2も $Y_{n+1}^{(k)} = Y_n^{(k)} + $「何か」という変形ができることに注意して、あとは条件付き期待値の性質をいろいろと組合せることで目的に近づくことができるはずです。

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