前回問題の解答例をイントラネット(第5回目の講義のところ)にアップしておきました。
第5回目の課題レポートを1次チェックしての講評です。
そろそろ自分の記号の使い方が適切かどうかを判断できていてほしい頃です。
授業で導入していなかったり、テキストで使われていないオリジナルな記号の使い方をしている人が、まだ結構います。
問1については、正しく理解出来ている人は省略してもよいですが、この手の議論に不慣れな人は最低でもグラフを描くことでその意味を考えてほしかったです。
また、グラフを描いた上で、f^{-1}((a,∞)) をきちんととらえてほしかったところです。
例えば、f^{-1}((a,∞))=A(ある集合)というような答えを自分なりに出したら、
全ての x ∈ A に対して、f(x) ∈ (a,∞) となっているかを確認すれば、少なくとも A という答えがだいだい妥当かどうかは分かるはずだと思います。
しっかり正解できていた人は少数でした。
[1,∞), [0, ∞) とすべきところを(1,∞), (0, ∞)というように左側を「開」にしてしまった人が少しいました。
全体としては、逆像の理解がまだ不完全な人がたくさんいるという印象です。
また、f^{-1}((a,∞))の答えが正しくないことを棚上げしても、f が可測関数になる理由の説明があいまいな人が多かったです。a が何であれ、f^{-1}((a,∞))は区間になることに注意して、区間は可測であるという定理に基づいて答えてほしいところでしたが、とにかく可測であると言って途中をごまかしているものが少なからず見受けられました。当然、テストであれば点数にならないか、大幅減点になるところです。
問2については、正確なグラフが書けないことと、写像のイメージが正確にもてなかったことが原因でしょうが、きちんと答えられている人は少数でした。
f^{-1}((a,∞))が a<1 かa≧1で状況が異なるところまでは見通していた人はそれなりにいましたが、特に a<1 のときの逆像をきちんと表現していた人は少なかったです。
また、f が可測関数になる理由の説明が不十分な人が多かったです。a≧1のときの逆像が零集合になることを説明するのがポイントですが、そこを私が十分と判断できるような形で述べる人はあまりいませんでした。問1と同様に、根拠が正しくなければ、可測だと結論づけても評価されません。
逆像に注目しないでも f が可測関数であることを示すことができます。零集合であるQを除いて、f = 1 a.e. ということは言えます。定数関数で可測だということからfも可測だということも容易に言えます。
そうしたニュアンスの解答もありました。
問3については、根本的に問題を勘違いしている人が少しいました。問1,問2と違って、与えられたB'についてのみ逆像を求めればよいのですが、問1,問2のように場合分けを持ち出している人がいました。また、「B'=1」とか「B'>1」といった集合と実数の等式・不等式関係を条件にしている人がたくさんいました。
言いたいことはわかりますが、集合と数字の間で、両者が等しいとかどちらが大きいとかいう表記は意味をもちません。
また、再三述べていますが、逆像 f^{-1}(B')の正体は、実数上の集合になります。外延的にせよ、内包的にせよ、あるいは区間の形やN, R にせよ、「集合」であることが明示的になるように答えてほしいところです。
{ } で囲まないで要素だけを並べたり、{(-1, -0.5],[0.5, 1)}といった表記は気持ちは分かりますが、集合という意識が欠けているという判断になります。また、(-1, -0.5],[0.5, 1)という答え方よりは、区間どうしの和集合として、(-1, -0.5]∪[0.5, 1)と和集合の形で書いてほしいです。
(3)(4)は答えの表現方法として不十分なものは目立ちましたが、考え方はあっている人がそれなりにいました。(2)はこちらの思惑通り、負の範囲の区間を忘れている人が若干いました。あと、意外と(1)の出来がよくありませんでした。
問4は、「引っかからないように」と言っておいたせいかどうか分かりませんが、正解者が多数いました。1往復目はたぶん問題ないのですが、2往復目の往路がポイントですね。