2011年7月6日水曜日

第10回の課題レポートについて

第10回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F023, IM10F002, IM10F004, IM10F006, IM10F011, IM10F013,
IM10F014, IM10F019, IM10F022, IM10F025, IM10F029, IM10F033,
IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F011, IM11F014, IM11F021,
IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。

ざっとチェックしました。

(1) k格のt年目のハザード・レートのもつ意味を説明せよ、という問いでした。

私が答えとして意図していたのは、定義式の左辺で $1-e^{-\gamma(t)} \approx \gamma(t)$ と近似を考えることで、ハザードレートを、定義式の右辺が表す「t-1年までデフォルトしていないという条件の下でのt-1~t年の間の(条件付き)デフォルト確率」と解釈するというものです。
これは授業でも触れた瞬間的なハザードレートの見方と整合します。

多くの人が、対数をとるという方向で $\bar{\gamma}_k(t)$ を意味づけしようとしていました。
上記と同じ結論を得た人もいましたし、$\log$ のついたままの式で議論した人もいましたし、
\[ \bar{\gamma}_k(t) = \log(1-F_k(t-1)) - \log(1-F_k(t)) \approx F_k(t) - F_k(t-1) \]
という近似をしている人もいました。
ただ、私の用意した答えとは異なる式変形した人については、得た数式の意味をきちんと言葉で表現しているとはいいがたいケースが少なくありませんでした。

また、数式の議論なしに意味づけを与えている人もいました。しかし、最初から $\bar{\gamma}_k(t) =$ という式を与えているわけではない以上は、数式の変形をともなう議論がこの場合は必要と考えます。

あと、細かくいうと、「ハザード・レート=○○の確率」という表現は違和感があります。「ハザード・レート」は「確率」と深く関係しますが、「確率」そのものを表しているわけではない(ハザードレートは理論上1を超えることもありえます)ので、「近似できる」とか「期間あたりの・・・」といった修飾語句が本当はほしいところです。

(2) だいたいの人ができていましたが、低格付けのところで私の答えとのずれが微妙に大きい人が目につきました。また、グラフだけの人がいましたが、高格付けについては別にグラフ表示するか数表がないと、チェックしようがないので、数表もあわせてつけてほしいところです。
あと、ハザードレートがマイナスになっている人がいましたが、ハザードレートは通常マイナスにはならないので、そういう場合はどこかおかしいと思ってください。

(3) 間違っている人は、回収率を求めるところで%の値ではなく、小数の値で計算してしまったのでしょう。例えばB格であれば
\[ 59.1 - 8.356 \times 5.236 = 15.348(\%) \]
となります。

(4)「実確率」「リスク中立確率」「リスク・プレミアム」というキーワードで整理して説明してほしいというのが出題意図です。
上記のような言葉を使っていなくても本質的に同じことを表現している人もいましたが、ポイントとずれた内容を含んで冗長に感じる説明をしている人もいました。

関係としては $h_k(1) > \bar{\gamma}_k(1)$ のようにリスク中立ハザードレートの方が大きくなるという点について深掘りして、簡単なモデルながらその差を「リスク・プレミアム」で定量的に表現しようという試みをしている人もいました。

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