2010年8月4日水曜日

フィナンシャル・リスク・マネジメント・レポート課題2の講評

フィナンシャル・リスク・マネジメント・レポート課題2の講評です。

最終的に14名の提出がありました。
20点満点部分の平均点は14.00点(論理性:6.79点、構成力:6.29点)です。
※最終的な見直しの際に少し変わるかもしれません。採点は論理性、構成力ともに「可もなく不可もなく」と判断した場合に7点を与えるように採点しています。それを基準に加点・減点を行います。

まず、検証用データの正常/デフォルトの正解は以下の通りです。Nは正常、Dはデフォルトです。年月は元データの最新の決算期)です。
X1:佐藤工業(D, 2001/3)
X2:YKK(N, 2002/3)
X3:ハザマ(N, 2002/3)
X4:寿屋(D, 2001/2)
X5:大正製薬(N, 2002/3)
X6:日本板硝子(N, 2002/3)
X7:東食(D, 1996/10)
X8:大倉商事(D, 1998/3)
X9:フジクラ(N, 2002/3)

選択した指標はそれぞれ違っていましたが、X1,X4,X7,X8 のデフォルトを判別できていた人は多かったです。完全正解の人もいました(ただし、最終的に決定したモデルではなく、次善のモデルでの結論としてでしたが)が、X3をデフォルトと判別していた人が多かったです。決算時期と社名から、ある程度納得できる方も多いかもしれません。

論理性と構成力以外の、プラスαの加点としては、アウトオブサンプルの判定結果が良かった(4つのデフォルトを全てとらえ、かつ微妙なX3だけ誤判別した)人(8名)以外に、私のツールに頼らずに分析していた人、私から見て独創性のある指標定義や補正を提案していた人に加点しました。

以下、全体的なコメントです。
  • 「指標をどのように絞り込んでいったか」という指標決定プロセス、および選択された指標の意味的なバランス、得られた線形判別式の係数の符号の妥当性吟味、を主にチェックしました。指標決定プロセスについては、それなりに皆さんしっかり説明がありましたが、読む側としては少し冗長と感じられる説明も多かったです。読む側としては各ステップで細かい説明がたくさん入るよりは、先に大きな方針・流れを示してもらう方が理解しやすいです。その意味で図表の使い方についても工夫を求めたいものが少なからずありました。この辺は採点者の主観というところもありますが、同じような図表を本文中にたくさん並べられてもうれしくありません。
  • ということで、上記の点について説明不足だったり議論が説得力不足だったりしているものは論理性という点で、わかりにくさの度合いが大きいと判断したものについては構成力という点で、適宜減点しています。特に、係数の符号の妥当性についての議論で減点しているケースが多いです。
  • 加点要素の一つは、インサンプルデータで誤判別した企業名を具体的に表示したうえで、結果の考察やモデルの妥当性に言及している点です。今回は企業名入りのデータを使いましたので、これは非常に重要で意味のあることです。論理性で1~2点の加点をしています。
  • あとCAP曲線やAR値の議論をしている人に論理性で加点しています。
  • また、参考文献を提示している人については、構成力という点で加点しています。
  • さらに、考察やまとめコメントがユニークと判断したものについては、構成力の点で加点しています。

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