自分の研究以外の別の仕事も多くて、あまり他の人の論文にきちんと目を通せていませんが、最近目を通したものをメモしておきます。
一つは、こちらの論文。自分の研究のためにきちんと読もうとしたというよりは、コピュラでCDO分析をしようとしている学生への reference として適当そうだったので斜め読みしたという感じ。
いろんなファクター・コピュラモデルについて前半部分で概説し、後半では相関パラメータと Basket Default Swap やCDO トランシェのプレミアムの関係の比較などをしている・・・という程度の雑な要約でした。
もう一つは、こちらの論文。Paris のフォーラムで自分と同じセッションで話す speaker (こちらのビジネススクールのポスドクの人のようです)のものだったので予習として目を通しました。
アプローチは異なりますが、けっこう問題意識が似ていたので驚きました。
この著者のアプローチを大雑把にまとめると、格付推移行列をそのまま相手にするのではなく、何らかの方法で格付推移行列の特徴を単純なスカラーの指標で表し、その大小で景気回復/後退局面を探ろうという感じです。
格付推移行列の指標化についてはいくつか方法を紹介していますが、格付推移行列と単位行列の差の各成分を、格付ノッチの差で重み付け(格上げだとプラス、格下げだとマイナスになるようになっている)して和をとったもの(DC_3)がベストだと主張しています。
後半では、DC_3 のARモデルやDC_3をマクロ経済ファクターで回帰するモデルを分析したあと、格付推移の依存性を調べるべく、regime switching を考慮した VARモデルを適用しています。
私は業種別に分析していませんが、この論文では各業種間の依存性なども細かく分析しています。
9個の業種群から2つを選んできて、その両者に関係があるかという調べ方をしているのが気になりますが。
結果については詳しく見ていませんが、アプローチとしては非常に興味深いです。
著者本人に会えたときに、少し議論できたらと思います。
3 件のコメント:
2番目の論文が大変興味深かったです。先生はマルコフスイッチング回帰に何のソフトを使っていらっしゃいますか?
MATLABにはあるようなのですが。。。
Estimation, Simulation and Forecasting of a Markov Regime Switching Regression in Matlab
http://www.mathworks.com/matlabcentral/fileexchange/15789
匿名さん:
私自身は、まだマルコフスイッチング回帰を用いた分析の経験はありません。そもそも時系列データを自分で分析しはじめたのがごく最近です。
もし自分でやることになったら、R で使えそうなパッケージを探すと思います。実際には探していません。
Matlab にはすぐに使えそうなパッケージがあるということですね、情報ありがとうございます。
RにMSBVARというのがありました。
MSBVAR: Markov-Switching Bayesian Vector Autoregression Models
http://cran.okada.jp.org/web/packages/MSBVAR/
アドバイスありがとうございます。
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