2009年3月23日月曜日

Paris 出張報告

Paris の Pavillon Royal で開催されたThe 2nd International Financial Research Forum on "Risk Management & Financial Crisis"に参加・講演のため、3/18~3/22 の日程で出張してきました。
個人的には、1994年に建築の旅ツアーで行って以来の Paris でした。

自分の発表自体は20分という発表時間を意識して、話す内容をノートに大部分メモしておき、あまり余計なアドリブを入れず、原稿を読むような感じで発表しました。

直前の 3/17に日本OR学会の研究発表会で同じ内容のものを日本語で15分という制約で
話したときに、前半というか肝心の内容に入る前に3分の2くらいの時間を使ってしまっていた反省(実際少しオーバー)もあり、慣れない英語発表で20分にまとめるためには、ほぼ原稿を読むような感じでないと自分の場合はダメだろうと判断しました。

ほぼ20分ジャストで最後まで行き着いたので、その意味で目的は達成できました。
その代わり、聴衆の反応を見るという余裕はありませんでした。

私の発表の討論者が、ほぼ完璧に私の研究と主たる関連研究2つについて survey をしてくださり、有益な comments と questions をしてくださったので、大変ありがたかったです。
他のセッションでは、討論者がスライドを用意していなかったり、好き勝手に話をしていたりという光景も見られたので、その意味では恵まれていました。

全てのコメントと質問に返答する時間(も語学力)もあまりなかったので、自分のモデルに、diffusion term の入っていないことについてのコメント・質問に対してだけ、
「ジツハ TOPIX デハタメシテミマシタガ、タイセイニ、エイキョウナカッタデシタ カブシスウヲツカッタノハ daily デトレルカラデス」という感じでざっくり答えました。

audience からは質問がなかったのですが、chairman からポートフォリオを念頭においた自分のモデルと個別の社債の格付推移との関係のようなことを質問されました。正直、全てを聞き取れたわけではなく、what do you think about it? という問いだったので、質問とズレていた可能性もありますが、
「ホントウノモクテキハ thinning ヲシテコマカイカクヅケスイイヲギロンスルコトデス キョウドウケンキュウシャトソノモンダイヲヤッテマス」
というような感じで答えておき、chairman もとりあえず納得してくれました(?)

講演後に、学生らしい2人からプレゼンファイルとペーパーをくれと言われたので、名刺を渡して「レンラククダサイ」と言っておきました。今現在、連絡はありません。

東大の博士課程の学生さんがそのフォーラムに参加していて、私の研究含めて信用リスクに関心があるということでしたので、彼とは流暢な日本語でいろいろと話しました。

他のセッションで興味をもった発表としては、こちらがありました。
内容は、systemic risk の計測モデルとして、金融機関どうしの関係を weighted graph で表現しようというものでした。
ただ、PLENARY SESSION がだいぶ時間を超過してしまい、また coffee break をはさんでのparallel セッションの進行も時間管理がけっこういい加減だったので、発表者が5分くらい話したところで、主催者?の人が早く終わってくれというようなことを合図した(片方のセッションは早々に終わっていたし、ランチの時間は大きくずらせないという判断があったのでしょう)ので、発表者も「始めたところだ!」と憤慨して、最後まで両者の緊張感が伝わってきました。
ということであまり発表にも集中できず、テンポアップもされたので、よくわかりませんでした。まあでも、この業界で有名な発表者なので、paper をきちんと見たいと思います。
(最後は緊張関係にあった二人とも和解?していたようでした)

あと、私は自分の発表直後で burn out していたので聞いていませんでしたが、この発表者はロジカルな発表をして興味深かったようです。

ポスターセッションでは、こちらが自分の博士論文のモチベーションに非常に似ており興味を覚えました。今回参加しての最大の収穫は、個人的にはこの研究を知ったことかもしれません。

こちらのポスターも楽しみにしていましたが、残念ながら当日掲示はありませんでした。
ただ、未完の共同研究テーマとこれまた非常に似ているので、きちんと目を通したいところです。

フォーラム以外の話は別に書きます・・・

2009年3月13日金曜日

来週 Paris の Forum で発表するということは何度か触れています(といって自分を追い込んでいる気がします。そういった以上、帰国して自分の発表の出来とか反応とか、他の講演とかについて、ここで報告することを期待させているわけですから・・・)

改めてプログラムを見たら、こちらの記事でも触れた同じセッションで話すはずだった人の名前が消えていて、自分の名前しかなくなっています。 orz

本来そんなことで動じる必要はないし動じてはいけないのですが・・・
ただ、完全アウェイの状況で未だに慣れない英語発表するという緊張を、セッションの2番手であれば会場の雰囲気に多少なじんでから自分の発表ができるかなという他愛もないことで少しでも緩和しようと思っていたところで、自分だけしか講演者がいなくなったという状況なので、さてどうしたものか。

まあ、そのときになれば度胸も据わりますし、いざとなれば緊張緩和のために朝食時にワインでも呷っていこうかと・・・

2009年3月10日火曜日

ガイドブック

来週の出張用に薄手のパリのガイドブックを購入しました。
家に帰ってよく見ると1999年12月31日発行・・・私のような間抜けが買うと思ってずっと置いていたのでしょうか?

別にレストランとか観光スポットとかを探したかったわけでもなく、地図がそこそこ機能すれば十分なので多少古くてもかまわないのですが、交通環境とかは最新のものをチェックしておかないと不安なので、ネットで情報収集しないと。

2009年3月6日金曜日

JAFEEジャーナル(和文誌)の論文募集について

現在、JAFEE和文ジャーナルの特集として、以下のテーマに関連する論文を募集しております。
私は直接の担当者ではありませんが、若干関係していますので、この場でもアナウンスさせていただきます。

特集テーマ:信用リスクの計量化

募集概要:

世界的な金融不安の引き金になったサブプライム問題は、信用リスク管理の重要性と難しさを改めて浮き彫りにしたと言えます。これまでの信用リスク管理に対する反省点と将来に向けた改善点を探り出すためにも、今この時期に、理論と実証の両面から信用リスクの研究を精力的に行うことが不可欠であると考えます。

理論面では、ポートフォリオに対する信用リスク計量化が話題の中心になってきています。特に、債務者間の信用リスクがどのように関係しあっているかという「依存構造」や、どのフィルトレーション(情報増大系)に基づいて評価するかという「情報構造」に注目した研究が盛んになっている印象があります。また、信用リスク商品を含むポートフォリオ最適化問題なども今後、研究が盛んになっていくと思われます。

実証面では、社債・CDSなどの信用リスク商品の市場データや、デフォルト実績データを用いた統計分析の研究が米国や欧州で数多く進められています。日本でも信用リスク関連データが少しずつ充実してきており、以前と比べても統計分析を通じて構築したモデルの妥当性や実務への応用可能性を議論しやすくなってきていると思われます。

そこで、「信用リスクの計量化」というテーマで、信用リスクに関係する研究論文を募集いたします。特に、ポートフォリオという側面を意識した信用リスク・モデルの理論研究や、日本における信用リスク関連データを用いた実証研究を歓迎します

原稿締め切りは、2009年5月31日です。

投稿先など、詳しくはこちらをご覧ください。
なお、すべての論文は審査され、採択されたものだけが出版されます。

平成20年度 修士論文発表会

平成20年度の金融戦略・経営財務コースの修士論文発表会(6名の代表による)が以下の要領で行われます。
第1会議場が「計量ファイナンス系」、第2会議場が「経営財務系」の発表という感じです。

公開行事ですので、どなたでも事前問い合わせ等なしに参加できます。

◆日時:平成21年3月13日(金)18:30-19:30
◆会場:学術総合センター2階
中会議場1-2 及び 中会議場3-4 ※発表会は2会場で並行して行われます。

◆プログラム◆(発表者名はこのブログでは割愛します)
━━━━━━━━━ 第1会場:中会議場1-2 ━━━━━━━━━
18:30-18:50
 「本邦デフォルト実績データによるデフォルト依存関係のベイズ推定」

18:50-19:10 
 「死亡率変動と年金負債リスク」

19:10-19:30 
 「日本の主要都市のオフィスビル新規募集賃料に関する研究」

━━━━━━━━━ 第2会場:中会議場3-4 ━━━━━━━━━

18:30-18:50 
 「企業経営資源に基づく海外市場参入形態選択に関する考察」

18:50-19:10
 「日系企業の戦略的借入調達に関する考察」

19:10-19:30
 「日本企業の収益性予測における業種調整後のDupont分析の有効性」

2009年3月5日木曜日

論文メモ(その7)

自分の研究以外の別の仕事も多くて、あまり他の人の論文にきちんと目を通せていませんが、最近目を通したものをメモしておきます。

一つは、こちらの論文。自分の研究のためにきちんと読もうとしたというよりは、コピュラでCDO分析をしようとしている学生への reference として適当そうだったので斜め読みしたという感じ。
いろんなファクター・コピュラモデルについて前半部分で概説し、後半では相関パラメータと Basket Default Swap やCDO トランシェのプレミアムの関係の比較などをしている・・・という程度の雑な要約でした。

もう一つは、こちらの論文。Paris のフォーラムで自分と同じセッションで話す speaker (こちらのビジネススクールのポスドクの人のようです)のものだったので予習として目を通しました。
アプローチは異なりますが、けっこう問題意識が似ていたので驚きました。
この著者のアプローチを大雑把にまとめると、格付推移行列をそのまま相手にするのではなく、何らかの方法で格付推移行列の特徴を単純なスカラーの指標で表し、その大小で景気回復/後退局面を探ろうという感じです。
格付推移行列の指標化についてはいくつか方法を紹介していますが、格付推移行列と単位行列の差の各成分を、格付ノッチの差で重み付け(格上げだとプラス、格下げだとマイナスになるようになっている)して和をとったもの(DC_3)がベストだと主張しています。

後半では、DC_3 のARモデルやDC_3をマクロ経済ファクターで回帰するモデルを分析したあと、格付推移の依存性を調べるべく、regime switching を考慮した VARモデルを適用しています。
私は業種別に分析していませんが、この論文では各業種間の依存性なども細かく分析しています。
9個の業種群から2つを選んできて、その両者に関係があるかという調べ方をしているのが気になりますが。

結果については詳しく見ていませんが、アプローチとしては非常に興味深いです。
著者本人に会えたときに、少し議論できたらと思います。

確定申告&納税

気づけば Paris で話すまでちょうど2週間。
「スベテノslidesハ13日マデニ必要デス」というメールが主催者から来たので、
プレゼンテーションを準備したりしています。
(私の場合、結構ぎりぎりまで直すことが多いです。あまり良くはないのですが・・・)

うっかりしていると忘れてしまいそうだったH20年分の確定申告を電子申告で今朝済ませました。
昨年から使い始めましたが、システムの使い勝手はあまり改善されていない印象です。
確定申告自体を15年近くやっていますが、未だに慣れたという感じはしません。

とはいえ、パソコンだけで完結して税務署に足を運ばなくてもいいのは楽です。
納税自体もインターネットバンキングでできるようになっていて、それも済ませました。

国民の義務は果たしているという報告でした・・・