2009年1月31日土曜日

シラバス(案):金融数理の基礎2009

金融数理の基礎(2009年度春学期、火曜20:00~21:30)のシラバスです。
※8割くらいの内容は昨年度の「再放送」になると思います。

【授業の概要】
 確率モデルを用いて金融市場を理論的に分析する学問である「数理ファイナンス」の基本的な概念を理解するために必要な数学(確率解析)の基礎的な内容を、離散時間2項モデルの枠組みで、主にデリバティブの価格付け理論を題材として学習する。
(連続時間における理論は、冬学期の「金融数理」で扱う予定である)

【学生の指定】
 計量ファイナンス系のM1向け科目だが、意欲があれば誰でも受講可能。

【授業の目的・到達目標と方法】
 離散時間における確率過程、条件付き期待値、マルチンゲール、マルコフ性,停止時刻などの確率解析の基本的概念を習得するとともに、そうした確率論の概念とデリバティブの価格付け理論とがどのように関連しているかを理解することを目的とする。
また、離散時間2項モデルの極限として Black-Scholes 公式の導出を行う。

【授業計画】

1. (4/7) Guidance & Introduction : 講義内容についての説明とオリエンテーション
2. (4/14) 無裁定価格評価二項モデル(1):1期間二項モデル、複製戦略、リスク中立確率 (教科書 1.1節)
3. (4/21) 無裁定価格評価二項モデル(2):多期間二項モデル (教科書 1.2節)
4. (4/28) 二項モデルの確率論的整理(1):確率空間、確率変数、確率分布、条件付き期待値 (教科書 2.1-2.3節)
5. (5/12) 二項モデルの確率論的整理(2):条件付き期待値、マルチンゲール(教科書 2.3-2.4節)
6. (5/19) 二項モデルの確率論的整理(3):マルチンゲール、マルコフ過程(教科書 2.4-2.5節)
7. (5/26) 二項モデルの確率論的整理(4):マルコフ過程、問題演習(教科書 2.5節 および 1.6, 2.8節)
8. (6/2) 中間試験
9. (6/9) 状態価格:測度変換、Radon-Nikodym 微分(教科書 3.1-3.2節)
10.(6/16) 状態価格:CAPM(教科書 3.3節)
11.(6/23) アメリカン・デリバティブ(1):優複製、停止時刻(教科書 4.1-4.3節)
12. (6/30) アメリカン・デリバティブ(2):最適停止戦略(教科書 4.3-4.4節)
13. (7/7) アメリカン・デリバティブ(3) / 期待損失の動的最適化:アメリカン・コールの場合、1期間最適化問題(教科書 4.5節、準教科書 1.6-1.7節)
14. (7/14) Black-Scholes 公式への収束 :中心極限定理、Black-Scholes 公式(準教科書 1.8節)
15. (7/28) 学期末試験

【テキスト・参考文献】

(教科書)
  S. E. シュリーヴ(長山 いづみ他訳),「ファイナンスのための確率解析I:二項モデルによる資産価格評価」, シュプリンガー・フェアラーク東京(2006)
 ※原書:S. E. Shreve, Stochastic Calculus for Finance I: The Binomial Asset Pricing Model. Springer(2004)

(準教科書)
 関根 順, 「数理ファイナンス」, 培風館(2007)

【成績評価の方法】
 中間試験(50%)、期末試験(50%) とするが、宿題への取り組みなど平常点も考慮する。

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