福岡への出張のあたりから、ずっと風邪気味です。それでも寝込まずにしぶとく細かい tasks をこなしています。
自分の研究については、3月にかけていくつか milestones があるので、論文ドラフトを見直したり、追加の実験をしたり。
あと、海外研究者との共同研究についても、数学の命題の証明についてメールでやりとりしたり。
その他、学生の修論ドラフトのチェックやら学会(JAFEE)の大会運営の仕事など。
また、長期的な取り組みになりますが、いくつか仕事を引き受けることになりました。
研究者の "noblesse oblige" というヤツですね。
2月は季節柄、大学での公務が多いのですが、まとまった時間も作れるので、何とか研究の見通しをつけたいです。
2009年1月31日土曜日
シラバス(案):ファイナンシャル・リスク・マネージメント2009
ファイナンシャル・リスク・マネージメント(2009年度春学期、木曜18:20~19:50)のシラバスです。
【授業の概要】
金融リスク(市場リスク・信用リスク)を計測するための基本的な手法およびその理論的背景について理解するとともに、実際のデータを利用したリスク計測の実習も行う。
【学生の指定】
計量ファイナンス系のM2向け科目だが、意欲があれば誰でも受講可能。
【授業の目的・到達目標と方法】
市場リスク計測においては、Value at Risk および Expected Shortfall の概念および計測方法を理解し、実際にリスクを計測し、その結果を考察できるようなることを目指す。
また、信用リスク計測においては、個別企業の信用力を計測するための統計モデルの構築および検討を演習で行うとともに、クレジット・デリバティブの評価のための確率解析モデルのエッセンスを理解することを目指す。
さらに、計量化という視点を通じて金融リスク管理のあるべき姿についても考えていく。
【授業計画】
1. (4/9) Guidance & Introduction : 講義内容についての説明とオリエンテーション
2. (4/16) 金融リスクの基本的概念:主なリスク尺度とその性質
3. (4/23) 市場リスク:分散共分散法による VaR の計測
4. (4/30) 市場リスク:ヒストリカル法、モンテカルロ法による VaR の計測と演習
5. (5/7) 市場リスク:金利の期間構造と金利リスクの計測
6. (5/14) リスクの統合、リスク資本配賦、多期間のリスク計測
7. (5/21) 信用リスク :デフォルト判別モデルなどの統計モデル
8. (5/28) 信用リスク:構造型アプローチ(Merton モデル、初到達時刻モデル)
9. (6/4) 信用リスク:構造型アプローチ(ファクターモデル)
10. (6/11) 信用リスク:誘導型アプローチ(強度モデル)
11. (6/18) 信用リスク:誘導型アプローチによるクレジット・デリバティブの評価
12. (6/25) 信用リスク:信用リスクの依存関係モデル(条件付き独立、コピュラ)
13. (7/2) 信用リスク:信用リスクの依存関係モデル(伝播モデル、トップダウン)
14. (7/9) 信用リスク:信用リスクについての新しい話題
15. (7/23) 学期末試験
【テキスト・参考文献】
(参考書)
McNeil, A. J., R. Frey, and P. Embrechts(訳者代表 塚原英敦), 『定量的リスク管理-基礎概念と数理技法-』,共立出版(2008)
※原著 McNeil, Frey, Embrechts, ``Quantitative Risk Management", Princeton(2006)
M. Crouhy, D. Galai, R. Mark(三浦 良造他訳), 「リスクマネジメント」, 共立出版(2004)
※原著 M. Crouhy, D. Galai, R. Mark, ``Risk Management", McGraw-Hill(2001)
Hull, J. C.(竹内仁宏訳), 『フィナンシャルリスクマネジメント』,ピアソン・エデュケーション(2008)
※原著 Hull, J. C., ``Risk Management and Financial Institutions", Pearson Education(2007)
【他の授業科目との関連】M1の間に「金融数理の基礎」「金融数理」「金融データ分析の基礎」「統計科学の数理」などで、確率論・統計学の基本的な事項を修得していることを期待する。
【成績評価の方法】期末試験(60%)、演習課題レポート(40\%)とするが、宿題への取り組みなど平常点も考慮する。
【授業の概要】
金融リスク(市場リスク・信用リスク)を計測するための基本的な手法およびその理論的背景について理解するとともに、実際のデータを利用したリスク計測の実習も行う。
【学生の指定】
計量ファイナンス系のM2向け科目だが、意欲があれば誰でも受講可能。
【授業の目的・到達目標と方法】
市場リスク計測においては、Value at Risk および Expected Shortfall の概念および計測方法を理解し、実際にリスクを計測し、その結果を考察できるようなることを目指す。
また、信用リスク計測においては、個別企業の信用力を計測するための統計モデルの構築および検討を演習で行うとともに、クレジット・デリバティブの評価のための確率解析モデルのエッセンスを理解することを目指す。
さらに、計量化という視点を通じて金融リスク管理のあるべき姿についても考えていく。
【授業計画】
1. (4/9) Guidance & Introduction : 講義内容についての説明とオリエンテーション
2. (4/16) 金融リスクの基本的概念:主なリスク尺度とその性質
3. (4/23) 市場リスク:分散共分散法による VaR の計測
4. (4/30) 市場リスク:ヒストリカル法、モンテカルロ法による VaR の計測と演習
5. (5/7) 市場リスク:金利の期間構造と金利リスクの計測
6. (5/14) リスクの統合、リスク資本配賦、多期間のリスク計測
7. (5/21) 信用リスク :デフォルト判別モデルなどの統計モデル
8. (5/28) 信用リスク:構造型アプローチ(Merton モデル、初到達時刻モデル)
9. (6/4) 信用リスク:構造型アプローチ(ファクターモデル)
10. (6/11) 信用リスク:誘導型アプローチ(強度モデル)
11. (6/18) 信用リスク:誘導型アプローチによるクレジット・デリバティブの評価
12. (6/25) 信用リスク:信用リスクの依存関係モデル(条件付き独立、コピュラ)
13. (7/2) 信用リスク:信用リスクの依存関係モデル(伝播モデル、トップダウン)
14. (7/9) 信用リスク:信用リスクについての新しい話題
15. (7/23) 学期末試験
【テキスト・参考文献】
(参考書)
McNeil, A. J., R. Frey, and P. Embrechts(訳者代表 塚原英敦), 『定量的リスク管理-基礎概念と数理技法-』,共立出版(2008)
※原著 McNeil, Frey, Embrechts, ``Quantitative Risk Management", Princeton(2006)
M. Crouhy, D. Galai, R. Mark(三浦 良造他訳), 「リスクマネジメント」, 共立出版(2004)
※原著 M. Crouhy, D. Galai, R. Mark, ``Risk Management", McGraw-Hill(2001)
Hull, J. C.(竹内仁宏訳), 『フィナンシャルリスクマネジメント』,ピアソン・エデュケーション(2008)
※原著 Hull, J. C., ``Risk Management and Financial Institutions", Pearson Education(2007)
【他の授業科目との関連】M1の間に「金融数理の基礎」「金融数理」「金融データ分析の基礎」「統計科学の数理」などで、確率論・統計学の基本的な事項を修得していることを期待する。
【成績評価の方法】期末試験(60%)、演習課題レポート(40\%)とするが、宿題への取り組みなど平常点も考慮する。
シラバス(案):金融数理の基礎2009
金融数理の基礎(2009年度春学期、火曜20:00~21:30)のシラバスです。
※8割くらいの内容は昨年度の「再放送」になると思います。
【授業の概要】
確率モデルを用いて金融市場を理論的に分析する学問である「数理ファイナンス」の基本的な概念を理解するために必要な数学(確率解析)の基礎的な内容を、離散時間2項モデルの枠組みで、主にデリバティブの価格付け理論を題材として学習する。
(連続時間における理論は、冬学期の「金融数理」で扱う予定である)
【学生の指定】
計量ファイナンス系のM1向け科目だが、意欲があれば誰でも受講可能。
【授業の目的・到達目標と方法】
離散時間における確率過程、条件付き期待値、マルチンゲール、マルコフ性,停止時刻などの確率解析の基本的概念を習得するとともに、そうした確率論の概念とデリバティブの価格付け理論とがどのように関連しているかを理解することを目的とする。
また、離散時間2項モデルの極限として Black-Scholes 公式の導出を行う。
【授業計画】
1. (4/7) Guidance & Introduction : 講義内容についての説明とオリエンテーション
2. (4/14) 無裁定価格評価二項モデル(1):1期間二項モデル、複製戦略、リスク中立確率 (教科書 1.1節)
3. (4/21) 無裁定価格評価二項モデル(2):多期間二項モデル (教科書 1.2節)
4. (4/28) 二項モデルの確率論的整理(1):確率空間、確率変数、確率分布、条件付き期待値 (教科書 2.1-2.3節)
5. (5/12) 二項モデルの確率論的整理(2):条件付き期待値、マルチンゲール(教科書 2.3-2.4節)
6. (5/19) 二項モデルの確率論的整理(3):マルチンゲール、マルコフ過程(教科書 2.4-2.5節)
7. (5/26) 二項モデルの確率論的整理(4):マルコフ過程、問題演習(教科書 2.5節 および 1.6, 2.8節)
8. (6/2) 中間試験
9. (6/9) 状態価格:測度変換、Radon-Nikodym 微分(教科書 3.1-3.2節)
10.(6/16) 状態価格:CAPM(教科書 3.3節)
11.(6/23) アメリカン・デリバティブ(1):優複製、停止時刻(教科書 4.1-4.3節)
12. (6/30) アメリカン・デリバティブ(2):最適停止戦略(教科書 4.3-4.4節)
13. (7/7) アメリカン・デリバティブ(3) / 期待損失の動的最適化:アメリカン・コールの場合、1期間最適化問題(教科書 4.5節、準教科書 1.6-1.7節)
14. (7/14) Black-Scholes 公式への収束 :中心極限定理、Black-Scholes 公式(準教科書 1.8節)
15. (7/28) 学期末試験
【テキスト・参考文献】
(教科書)
S. E. シュリーヴ(長山 いづみ他訳),「ファイナンスのための確率解析I:二項モデルによる資産価格評価」, シュプリンガー・フェアラーク東京(2006)
※原書:S. E. Shreve, Stochastic Calculus for Finance I: The Binomial Asset Pricing Model. Springer(2004)
(準教科書)
関根 順, 「数理ファイナンス」, 培風館(2007)
【成績評価の方法】
中間試験(50%)、期末試験(50%) とするが、宿題への取り組みなど平常点も考慮する。
※8割くらいの内容は昨年度の「再放送」になると思います。
【授業の概要】
確率モデルを用いて金融市場を理論的に分析する学問である「数理ファイナンス」の基本的な概念を理解するために必要な数学(確率解析)の基礎的な内容を、離散時間2項モデルの枠組みで、主にデリバティブの価格付け理論を題材として学習する。
(連続時間における理論は、冬学期の「金融数理」で扱う予定である)
【学生の指定】
計量ファイナンス系のM1向け科目だが、意欲があれば誰でも受講可能。
【授業の目的・到達目標と方法】
離散時間における確率過程、条件付き期待値、マルチンゲール、マルコフ性,停止時刻などの確率解析の基本的概念を習得するとともに、そうした確率論の概念とデリバティブの価格付け理論とがどのように関連しているかを理解することを目的とする。
また、離散時間2項モデルの極限として Black-Scholes 公式の導出を行う。
【授業計画】
1. (4/7) Guidance & Introduction : 講義内容についての説明とオリエンテーション
2. (4/14) 無裁定価格評価二項モデル(1):1期間二項モデル、複製戦略、リスク中立確率 (教科書 1.1節)
3. (4/21) 無裁定価格評価二項モデル(2):多期間二項モデル (教科書 1.2節)
4. (4/28) 二項モデルの確率論的整理(1):確率空間、確率変数、確率分布、条件付き期待値 (教科書 2.1-2.3節)
5. (5/12) 二項モデルの確率論的整理(2):条件付き期待値、マルチンゲール(教科書 2.3-2.4節)
6. (5/19) 二項モデルの確率論的整理(3):マルチンゲール、マルコフ過程(教科書 2.4-2.5節)
7. (5/26) 二項モデルの確率論的整理(4):マルコフ過程、問題演習(教科書 2.5節 および 1.6, 2.8節)
8. (6/2) 中間試験
9. (6/9) 状態価格:測度変換、Radon-Nikodym 微分(教科書 3.1-3.2節)
10.(6/16) 状態価格:CAPM(教科書 3.3節)
11.(6/23) アメリカン・デリバティブ(1):優複製、停止時刻(教科書 4.1-4.3節)
12. (6/30) アメリカン・デリバティブ(2):最適停止戦略(教科書 4.3-4.4節)
13. (7/7) アメリカン・デリバティブ(3) / 期待損失の動的最適化:アメリカン・コールの場合、1期間最適化問題(教科書 4.5節、準教科書 1.6-1.7節)
14. (7/14) Black-Scholes 公式への収束 :中心極限定理、Black-Scholes 公式(準教科書 1.8節)
15. (7/28) 学期末試験
【テキスト・参考文献】
(教科書)
S. E. シュリーヴ(長山 いづみ他訳),「ファイナンスのための確率解析I:二項モデルによる資産価格評価」, シュプリンガー・フェアラーク東京(2006)
※原書:S. E. Shreve, Stochastic Calculus for Finance I: The Binomial Asset Pricing Model. Springer(2004)
(準教科書)
関根 順, 「数理ファイナンス」, 培風館(2007)
【成績評価の方法】
中間試験(50%)、期末試験(50%) とするが、宿題への取り組みなど平常点も考慮する。
2009年1月14日水曜日
最近のこと
それほど頻繁には更新していませんが、カウンタを見ると毎日アクセスはそこそこあるみたいですね。
最近は、自分の研究テーマの一つについて、触れておかなければいけない先行研究がたくさん発掘されてきて、そのフォローに追われています。
理論面で自分が考えたいくつかのことが、以前の研究で言及されていたことが分かってガックリ感がありますが、先行研究を探しておいて良かったというところです。
あとは、自分の研究との関連で、理論面でまだ解決できていない部分があるということが分かりましたが、それをクリアするには、自分が不慣れな分野の基礎から勉強を始めないといけない感じがするということ。このあたりは、来週、九州でディスカッションできれば何か収穫があるかもしれません。
さらに、今のモデルを拡張するアイデアと、そのために修正していかなければいけないことも見えてきました。修正部分はあまりきれいにいかないかもしれません・・・
ということで、complete させようと思っていた論文をもう少し丁寧に見直すことにしました。
P.S. 中央大学で痛ましい事件がありました。以前、非常勤講師として通っていたキャンパスなので驚きました。
これを書いている時点で、事件の詳細はわかりませんが、
いずれにしても亡くなられた先生のご冥福をお祈りし、事件の一刻も早い解決を望みます。
最近は、自分の研究テーマの一つについて、触れておかなければいけない先行研究がたくさん発掘されてきて、そのフォローに追われています。
理論面で自分が考えたいくつかのことが、以前の研究で言及されていたことが分かってガックリ感がありますが、先行研究を探しておいて良かったというところです。
あとは、自分の研究との関連で、理論面でまだ解決できていない部分があるということが分かりましたが、それをクリアするには、自分が不慣れな分野の基礎から勉強を始めないといけない感じがするということ。このあたりは、来週、九州でディスカッションできれば何か収穫があるかもしれません。
さらに、今のモデルを拡張するアイデアと、そのために修正していかなければいけないことも見えてきました。修正部分はあまりきれいにいかないかもしれません・・・
ということで、complete させようと思っていた論文をもう少し丁寧に見直すことにしました。
P.S. 中央大学で痛ましい事件がありました。以前、非常勤講師として通っていたキャンパスなので驚きました。
これを書いている時点で、事件の詳細はわかりませんが、
いずれにしても亡くなられた先生のご冥福をお祈りし、事件の一刻も早い解決を望みます。
2009年1月6日火曜日
2009年
年末年始はのんびり(所々でふだんよりも忙しかったのですが)過ごしました。
家庭の事情もあり、年末年始には研究するとか勉強するとかいう過ごし方は無理です。
ということで、特に新たな論文を読んだりしたわけでもなく、本を2冊(1冊は読みかけですが)
読んだくらいです。
1冊はこちら。もう1冊(読みかけ)はこちら。
前者は週刊T洋経済の2008年度経済・経営書の第1位ということで読まれた方も多いと思いますし、今更という感じもしましたが、流動性についての議論は参考になりました。
もう1冊は、まだ読みかけです。独特の翻訳表現に慣れてないせいもありますが、自分の専門ではないものなので読むペースが遅くなります。それでも、教育者の端くれとして興味深い示唆もあります。
今年は、研究にも本腰を入れようと思っています。
年末に自分の書きかけの paper の一つに不備を見つけたので、それをどうするかを思案中。
あと、いくつも研究プロジェクトがあるので、それをうまくやりくりしたいです。
4月からの新学期では修士向け授業2コマ、博士向け授業1コマ(分担なので実質0.5コマ)を担当することになるので、時間のかかる作業については3月までにできるだけ進めたいですね・・・
家庭の事情もあり、年末年始には研究するとか勉強するとかいう過ごし方は無理です。
ということで、特に新たな論文を読んだりしたわけでもなく、本を2冊(1冊は読みかけですが)
読んだくらいです。
1冊はこちら。もう1冊(読みかけ)はこちら。
前者は週刊T洋経済の2008年度経済・経営書の第1位ということで読まれた方も多いと思いますし、今更という感じもしましたが、流動性についての議論は参考になりました。
もう1冊は、まだ読みかけです。独特の翻訳表現に慣れてないせいもありますが、自分の専門ではないものなので読むペースが遅くなります。それでも、教育者の端くれとして興味深い示唆もあります。
今年は、研究にも本腰を入れようと思っています。
年末に自分の書きかけの paper の一つに不備を見つけたので、それをどうするかを思案中。
あと、いくつも研究プロジェクトがあるので、それをうまくやりくりしたいです。
4月からの新学期では修士向け授業2コマ、博士向け授業1コマ(分担なので実質0.5コマ)を担当することになるので、時間のかかる作業については3月までにできるだけ進めたいですね・・・
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