2011年8月9日火曜日

フィナンシャル・リスク・マネジメント・レポート課題1の講評

フィナンシャル・リスク・マネジメント・レポート課題1の講評です。
(昨年度のコメントと重複する部分が多々あります)

20点満点部分の平均点は13.09点(論理性:6.71点、構成力:6.38点)です。
※最終的な見直しの際に少し変わるかもしれません。

採点は論理性、構成力ともに「可もなく不可もなく」と判断した場合に7点を与えるように採点しています。それを基準に加点・減点を行います。

論理性と構成力以外の、プラスαの加点としては、ポートフォリオ・ラリーで好成績(トップ3)だった人、ユニークなポートフォリオ構築の提案やモンテカルロ法を採用しているといった、結果にポジティブな結果を与えていると判断した場合に与えました。

以下、全体的なコメントです(去年のものと同様になります。去年のコメントはあまり読まれていなかったのでしょうか?)

  • このレポート課題の主眼はあくまでも「95%VaRと95%ESをどのように事前に設定することが妥当であるかを検討し、それを事後的にどのように振り返ったか」という点です。したがって、そうした情報が不足しているという場合は論理性の点で減点しています。また、こちらが知りたい情報は書いてあるのだけれども、適切にまとめられておらず読み取りにくいと判断した場合はポイントがつかみにくいということで構成力という点で、適宜減点しています。
  • その意味で、ポートフォリオの構築法やパフォーマンスだけの振り返りについては、基本的に採点にはあまり影響していません。ポートフォリオ構築法はVaRやESの設定方法を検討するうえでの必要な情報として記述してもらったというのが本当のところです。例としては、ポートフォリオ構築のときにはリターンが正規分布に従うことを暗黙の前提とした平均-分散アプローチをとっていながら(もちろん必ずしもリターンが正規分布である必要はありませんが、平均と分散の2つだけで見るというのは正規分布を裏づけとした考え方と判断しました)、リスク評価のときになってリターンに正規性があるとは言えないと主張する、というような一見不整合なことをどのように考えるかを見たいということです。当然、ポートフォリオ構築とリスク管理では別々の判断があって然るべきですが、通して見たときにリスク管理のフェーズに入っていきなり正規性を全否定するようなことはおかしいロジックに思えます。したがって、レポートにおいてはそこに何らかの言及をしてもらうことはリスク尺度の選択という点で重要と考えました。
  • また、ポートフォリオ構築やパフォーマンス振り返り、あるいは直接本題に関係しない情報のボリュームが大きいと思われたり、説明が冗長に感じるレポートが少なからずありました。本当に論じて欲しいリスク尺度についての記述と比較してバランスが悪いと判断したものは構成力の点で減点しています。
  • 図表についても見やすくない、あるいは掲載の必然性が感じられないと判断する点が多い場合には構成力の点で減点しています。
  • バックテストについての議論が不十分あるいは誤っていると判断したものについては論理性の点で減点しています。1回も超過しなかった人が多くて実際にはやることが無かったとはいえ、少し踏み込んだ議論をしてほしいところなので、議論が淡泊すぎると判断したものは論理性で減点しています。
  • 参考文献を提示している人については、構成力という点で加点しています。
  • タイポについては大目にみていますが、議論に大きな影響を与えていると思えるエラーは、チェック不十分とみて構成力で減点しています。


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