2011年2月14日月曜日

第13回レポートの講評(解答例の訂正)

第13回目の課題レポートを1次チェックしての講評です。

基本的に、今回の問題についてはイントラネットにアップした解答例のような議論ができてほしいところです。

ほとんどの人はミスプリに気づいていると思いますが、イントラにアップしている解答例のP.3の演習の問1(1)の解答中の条件付き期待値の変形のところで、等号の3つ目から5つ目までの式変形で2つの項の間がマイナス符号「-」になっていますが、正しいのはプラス符号「+」です。)

(1)ポイントは wealth equation を用いるところ、条件付き期待値の諸性質(線形性、既知量の括りだし)を用いてS_{k+1}/(1+r)^{k+1} という形だけを条件付き期待値の中に残すところ、リスク中立確率測度の定義の条件(リスク中立確率測度とは、割引株価をマルチンゲールにする確率測度)を用いるところです。

式変形は申し分なくても、説明不足と感じる人が若干いました。あと、余分な説明がついている人も見られました。

また、ηが出てくる議論をしている人もいましたが、議論を見る限り、{W_k} の構成方法について根本的に勘違いをしているようなので注意してください。もちろんηまで遡って議論することもできますが、それは冗長に思います。

(2)W_0, k, r だけで表すというのが問題の制約でありかつヒントです。もちろんこの手の問題は前の問題がヒントになっているということもありがちなことです。
(2)は「マルチンゲールは常に期待値が等しい」という性質をストレートに使えばできる問題です。ただし、それに根拠を求めた人は意外と少数で、正しくも少し回り道の議論をしている人も若干いました。

 あと、全体的に記号の使い方があやふやな人が多くいます。試験の採点では多少大目にみるつもりですが、記号が正しく使えていないということは、そもそもその周辺の概念の理解があやふやだということを端的に表すものと見なします。
 特に授業で私が使わなかった記号法を独自に持ち出している人は注意してください。
数学ではもちろんある程度自由な記法を用いてよいのですが、それは相手に伝わってこそです。独自の記号を導入する場合は、説明を忘れないようにしてください。これはレポートではもちろん、修論でも同じことが言えます。

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