金融市場の計量分析(2008年度春学期、木曜18:20~19:50)のシラバスです。
前半(第2回~第7回)を中川が担当。後半(第8回~第15回)を中村信弘先生が担当する予定。
【授業概要】
まず、前半では、マリアヴァン解析とそのファイナンスへの応用を中心に講義する。 続いて、後半では、ファイナンスで現れる確率制御問題を解く代表的方法論を幾つかの事例を通じて解説する。
【学生の指定】
博士課程の学生
【授業の目的・到達目標と方法】
博士課程向けに開講された本講義は、金融市場の高度な計量分析を行うための方法論の習得を目的とする。履修者は、Reading listに挙げた代表的文献を事前に読んでおくことが求められる(その口頭発表も含む)。資格試験に備えるため、随時、ファイナンスの基本事項について口頭試問を行う。
【授業の内容・計画】
第1回:Guidance & Introduction:講義内容についての説明とオリエンテーション
第2回~第4回: マリアヴァン解析(Malliavin Calculus)のファイナンスへの応用(Greeks 、オプション価格計算)
第5回~第7回: 漸近展開法(Asymptotic Expansion Approach)のファイナンスへの応用
第8~9回 確率制御とそのファイナンスへの応用:HJB equation, Martingale method
第10回 Partial hedging strategy;down-side risk最小化
第11回 Incomplete market model; 確率ドリフト、確率ボラティリティ、ジャンプ拡散過程
第12回 Partial information model
第13~14回 Backward SDEとそのFinanceへの応用
第15回 Stochastic-differential utilityとrobust control
【テキスト・参考文献】
・ Kohatsu-Higa, A., Montero, M., “Malliavin Calculus in Finance”, Handbook of Computational and Numerical Methods in Finance.Birkhauser, 2004, 111-174
・ 国友直人・高橋明彦, 「数理ファイナンスの基礎:マリアバン解析と漸近展開の応用」, 東洋経済新報社(2003)
・ 今村悟・内田善彦・高橋明彦, 「マリアバン解析を用いたオプションのリスク指標の計算について」, 日本銀行金融研究所ディスカッションペーパーシリーズ2004-J-24, 2004
・ Ingersoll, “Theory of Financial Decision Making”; Karatzas-Shreve,“Methods of Mathematical Finance”; Karatzas,“Lectures on the Mathematics of Finance”; Korn,“Optimal Portfolios”
・ Liptser, Shiryeav, “Statistics of Random Processes I,II”
・ Yong-Zhou,“Stochastic Controls”; Oksendal-Sulem,“Applied Stochastic Control of Jump Diffusions”;Hansen, Sargent,“Robustness”など。適宜、テーマ毎に文献を紹介する。
【質問等の連絡先・オフィスアワー】
office hour:中川(火曜21:30-22:00)、中村先生(火曜2限目)
【他の授業科目との関連】
博士科目である「資産価格理論」を併せて履修することが強く望まれる。
【成績評価の方法】
成績評価は、宿題、レポート、授業中の発言・議論を基礎にして行う.