2011年度の「金融数理の基礎」は、2010年度と同じように、離散時間モデルにおけるデリバティブの価格付け理論の理解を最終的な目的とする予定です。
ただし、そのために必要となる確率論の知識・考え方および、さらにその前提となる集合論・測度論などの基本的な知識・考え方まで立ち戻って理解してもらうことを目指します。
ただし、2011年度は、期末試験を除いて15週の授業を行うように学年暦が作られていますので、2010年度よりは若干後半のところを余裕をもって話せるかと思います。
(と言いつつ、コアの部分は14回分で完結できるように構成する予定です)
【授業の内容・計画】
1. (10/4) Guidance & Introduction : 講義全般のオリエンテーション(高校数学の『論理』の復習)
2. (10/11) 数学独特の記号、表現、論理、集合論(集合、写像)
3. (10/18) 集合論(集合、写像、集合族、濃度)
4. (10/25) 測度論(測度、外測度)
5. (11/1) 測度論(可測関数)
6. (11/8) 積分論(積分の定義)
7. (11/15) 積分論(積分の性質)
8. (11/22) 中間試験
9. (11/29) 確率論(確率空間、確率変数)
10. (12/6) 確率論(期待値、条件付き期待値)
11. (12/13) 確率論(条件付き期待値の性質、マルチンゲール)
12. (12/20) 確率論(マルチンゲールの性質)
13. (1/10) 離散時間モデル(金融市場モデルの定式化)
14. (1/17) 離散時間モデル(ヨーロピアン・デリバティブ評価)
15. (1/24) 離散時間モデル(ヨーロピアン・デリバティブ評価)
16. (2/7) 学期末試験
【テキスト・参考文献】
1. M. ツァピンスキ, E. コップ(二宮祥一, 原啓介翻訳), 『測度と積分-入門から確率論へ』, 培風館(2008) ※準教科書(ただし、邦訳は入手困難)。原著は、Marek Capinski, Peter E. Kopp,
Measure, Integral and Probability. 2nd ed. [Paperback], Springer(2004)
2. 今岡光範他『これだけは知っておきたい教員のための数学I -代数・幾何』, 培風館(2007) ※準教科書
3. S.E. シュリーヴ(長山いづみ他訳)『ファイナンスのための確率解析I -二項モデルによる資産価格評価』シュプリンガー・ジャパン(2006) ※参考書
※ 2~3 回目は[2]の第1 章の記述に沿って、4 回~14 回については[1]の第2章~第4章、第7章の記述に主に沿って解説する予定。[3] は13~15 回目で内容に少し言及したい。その他、授業中やブログで参考文献を紹介する。
※入手困難な文献については、適宜予習用資料を別に用意する。
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