2009年度の春学期M1ゼミでは、
D.Duffie, K.J.Singleton 著(本多 俊毅, 上村 昌司翻訳)『
クレジットリスク ―評価・計測・管理―』,共立出版(2009) (※原書は
こちら)
を輪講しました。
スケジュールは、以下のようにしました。
5/11(月) 2.1~2.3節
5/18(月) 2.4~2.5節
5/25(月) 3.1~3.3節
6/1(月) 3.4~3.5節
6/8(月) 3.6~3.7節
6/15(月) 4章
6/22(月) 5.1~5.3節
6/29(月) 5.4~5.6節
7/6(月) 6.1~6.2節
7/13(月) 6.3~6.4節
細かいところも取りこぼさずに理解することを目指すというのがゼミ本来のあり方だとすると、上記のペースは無謀です。ですが、こだわりすぎると2章も終わったかどうかだと思います。
今回は前に進むということの方を意識しました。1回あたりのゼミで、少しでも分からなかったところをクリアにできればよいということにしました。
数学部分については、高校数学程度でも理解できるはずの部分については、できるだけ式の展開などをフォローしましたが、全体的には大きく端折りました。
選んだテキストについての感想ですが、ファイナンスの初学者および確率解析の初歩の理解がない人には読みこなすのは難しいテキストだと思います。
私の講義「ファイナンシャル・リスク・マネージメント」と並行して読むと、箇所によっては理解しやすいかもしれません。
とはいえ、数学の議論にあまり拘泥せずに、信用リスクに関して短期間で研究というレベルまでガイドしてくれるテキストも他に思いつかないのも事実で、厳密性へのこだわりを割り切れば近年の研究についても、理論・実証両面についてたくさんの情報が凝縮されていて良いテキストだと思います。
数式や図のレジェンドなどに若干の誤植(原文自体のミスプリを引き継いでいるものがほとんどですが)がありますが、丁寧に読んでいけば気づく部類のものだと思いますし、大学院生が自習できちんと読むのであれば自分で気づいてほしいところです。
(と言いながら、私自身が見落としている部分がたくさんあると思いますが)
夏休み中も、ゼミ延長戦を3回予定しています。