2009年4月10日金曜日

4/14(火)「金融数理の基礎」第2回:無裁定価格評価二項モデル(1)

第2回目では、教科書の1.1節「1期間二項モデル」を扱います。

予習時のポイント(授業において重点的に説明するところにもなります)として、以下の項目を挙げておきます。

  • (この講義全体を通して用いる)記号の確認。連続ドラマの初回に登場人物を紹介する感じですね。大事なことは、その記号が表すもののファイナンス的な意味ですが、数学的にはどういう性質のもの(定数なのか変数なのか、実数値なのか自然数値なのかetc.)かもきちんと押さえるようにしてください。
  • 「裁定」とは?「無裁定」とは?教科書の地の文には言葉でしか書いていません。数式ではどう表すべきでしょう。
  • 「複製」という考え方に基づくデリバティブの価格付けの手続き
  • 「リスク中立確率」とはどういうもの?「リスク中立」とはどういう意味?

2009年4月9日木曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回フォロー

第1回目の配布資料・プレゼン資料およびTOPIXと東証33業種指数(2007/4/2~2009/4/8の営業日ベースの終値)のデータはイントラネットにアップしておきました。

宿題は、Exercises の 2番と、答えが分かった上での3番の(1)(2)(3) です。
解いた人はレポートとして、次回の授業前後に直接私に手渡すか、共同研究室のトレイに授業前に提出するようにしてください。

あと1番について、ホワイトボードに密度関数のグラフを描きましたが、fat tail なものを描いてしまいました。一般に非負値しかとらないような確率変数の分布を fat-tail にすると平均が大きくなってしまいますから、平均を上回る割合が多くなるようにするためには、tail を薄くしておく必要があります。
まあ、「生活水準の平均」などというものは定義があいまいなものですし、定義できたとしても回答者が母平均を知らない状況での「平均以上」という回答割合を議論しても、そもそもあまり意味のないですが。

あと、宿題というわけではありませんが、ポートフォリオ・ラリー用のポートフォリオ構築をするという課題もあることをお忘れ無く。
来週16日(木)の正午までにファイルをメール添付で送ってください。
あと期間中の投資比率は固定したままです。

ポートフォリオ構築と言われても何をどうしたらよいか分からないという声もありましたので、昨年度まで提供していたExcelツールもイントラネットにアップしておきました。
ただし、ツールの使用法は授業中に口頭で説明していたので、きちんとしたマニュアルはありません。

今回のポートフォリオ構築は、理論にのっとっていなくてもかまいません。
ドタ勘でもそれぞれの比率が0以上で足して1という条件を満たしていればOKです。
#あとの演習では、ドタ勘で作ったポートフォリオであっても、平均-分散アプローチに基づいてVaRやESを求めてもらいます。

ここでツールについて少しだけ説明をするので、それを手がかりにしてみてください。

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(1)まず、VBAマクロを使用していますので、Excelでマクロが使えるようにセキュリティ・レベルを下げておく必要があります。

(2) また、リスク最小化とかSharpe ratio 最大化というところで、ソルバーアドインをVBAで動かすようにしています。当然、ソルバーがアドインされていないと使えないことと、Excel のバージョンによっては、VBAのエディタを開いて参照設定を手でいじらないといけないかもしれません。対処法はExcelに詳しい人を周りで見つけて尋ねてください。
#私も直接エラーの状況を見ればいくつか対処はできますが、メール等では十分に対応を回答できないと思います。

(3) とりあえず、設定周りがうまくいっていれば、[data]というシートのデータをアップデートします。
古いデータも活かしたければ、重複しないように新しい分を付け足してください。まるまる入れ替えてもかまいませんが、1行目はラベル、1列目は日付というような構成は変えないでください。

(4) その後、[control]シートの「統計量計算」というボタンを押してもらえれば、[daily_return]というシートに自動的に[data]シートに対応した日次対数収益率が計算されます。
さらに、[control]シートのE列の「標準偏差」のところが自動的に計算されます。また、見えないようになっていますが、33×33の相関行列も別のところに計算されていて、後でポートフォリオのリスク計算をするときに考慮されるようになっています。

(5)あとは、[control]シートのD列の「期待リターン」に適当な数字を入れる必要があります。対数収益率データから標本平均を計算してもいいのですが、CAPMで求めたり、大まかな見込み数字を入れるなどしてもよいと思います。B,C列は各業種に対する投資比率の上下限制約です。デフォルトでは上下限は一律10%,0%になっていますが、業種ごとに設定できます。その業種を絶対に組み入れたくなければ上限も下限も0%にすればよいです。

(6)あと推定日数とかいろいろ設定を要しますが、コメントを読んでください。いじらなくてもよいと思います。

(7)あとは、「Sharpe Ratio 最大化」というボタンを押してください。うまく計算できたら、F列に返った数字が制約つきの平均-分散モデルにおけるSharpe ratio についての最適投資比率になっています。
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最後になりますが、授業中に紹介した「とある社長」が作成したドキュメントはこちらから見ることができます。

2009年4月7日火曜日

「金融数理の基礎」第1回フォロー

第1回目の講義資料、プレゼン資料、Excelファイルはイントラネットにアップしておきました。

宿題を確認しておくと、
配付資料の最後のページにある short questions に関して

  • 問題1の (1)(2) を解く
  • (3) の答えは (ii) である。そこで、実際に命題Pを満たすが、命題Qを満たさない関数f(および定義域A)の例を見つけて、できればその関数が P を満たすが Q を満たさないことを証明せよ
  • 問題2を解く
  • 問題3を解く(ユニークな解法を期待します)

宿題のレポート提出方法ですが、次回の授業時間に直接提出するか、あるいは共同研究室に宿題提出用のトレイを用意してもらう予定なので、次回の授業前までにそちらに提出してもらってもかまいません。

あと、traffic jam ゲームの件ですが、人の動きを忘れてスペースの動きに注目すると、問題解決のための別のアプローチも出てくると思います。
余裕があれば、小学生にも理解できるような、動き方について、できるだけシンプルな説明方法を考えてみてください(これは宿題ではありませんが、オプション問題として解答をお待ちしています)。

次回以降は、基本的には教科書に沿って、ホワイトボードに板書する形式の授業をする予定です。

2009年4月5日日曜日

team building のゲームの数理モデル

新M1の皆さん、team building お疲れ様でした。
私は微妙に全身が筋肉痛です。

さて、team building の中で heavy traffic (だったか traffic jam だったか、そういう名前の記憶力が最近衰えている気がします)という2つのチームの入れ替えゲームをして、事前に戦略を皆さんで検討して見事成功しましたね。
帰宅後、そのゲームの数理モデルを私なりに作って、それを Excel で簡単なゲームとして再現できるように実装してみました。

新M1の方が多く受講されそうな「金融数理の基礎」の初回に、そのExcel ツールもお見せしながら、その話題にも少し触れようかと思います。

2009年4月2日木曜日

4/9(木)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、講義内容についての説明とオリエンテーションということで
  • リスクとは?リスク管理とは?
  • 授業の到達目標の説明
  • 準教科書・参考書の紹介
  • 授業の進め方、演習・レポート課題について
  • Exercises など
という流れで進めたいと思います。

なお、この授業と似たような内容のものを2007年度東工大大学院技術経営専攻向けに講義しました。そのときの情報はこちらにあります。
また、昨年度のICSでの授業に関してのブログ記事はこちらで全て見ることができます。

4/7(火)「金融数理の基礎」第1回:Guidance & Introduction

第1回目は、講義内容についての説明とオリエンテーションということで

* 授業の到達目標の説明
* 教科書・準教科書および参考書の紹介
* 授業の進め方、予復習のポイントの説明
* 金融数理の歴史についての概観
* short questions(高校生~大学教養レベルの数学の知識確認)

という流れで進めたいと思います。
実際に教科書の中身に入るのは2回目の授業からとなります。

なお、この授業とほぼ同内容のものを2006,2007年度の東京工業大学工学部経営システム工学科3年生向けに講義しました。そのときの情報はこちらからたどっていけます。
ただし、ICSの授業の方がカバーする内容が多くなります。

また、昨年度のICSでの授業に関してのブログ記事はこちらで全て見ることができます。

2008年度M1ゼミ(1月~3月)

2009年1月~3月にかけて、ゼミ所属の学生さんが取り上げた論文を以下に挙げておきます。

Duffie, D. and N. Gârleanu, "Risk and Valuation of Collateralized Debt Obligations," Financial Analyst Journal, 57 (1), 41-59 (2001).

Hull, J. and A. White, "Valuing Credit Derivatives Using an Implied Copula Approach,"
Journal of Derivatives, Fall (2006).

Gates, S., "Incorporating Strategic Risk into Enterprise Risk Management"
Jounal of Applied Corporate Finance, 18(4), 81-90 (2006).

Nocco, B., "Enterprise Risk Management:Theory and Practice"
Jounal of Applied Corporate Finance, 18(4), 8-20 (2006)

Christensen, B. J., M. Nielsen ,and J. ZhuLong, "Memory in Stock Market Volatility and the Volatility in Mean effect:The FIEGARCH-M Model"

Bollerslev, T. and H. O. Mikkelsen, "Modeling and pricing long memory in stock market volatility,"
Journal of Economics, 73, 151-184 (1996)

Rosenberg, J. V. and R. F. Engle, "Empirical Pricng Kernel,"
Journal of Financial Economics, 64, 341-372 (2002)

Bliss, R. R. and N. Panigirtzoglou, "Option Implied Risk Aversion Estimates,"
The Journal of Finance, 59(1), 407-446 (2004)

Leland, H. E.,
"Corporate Debt Value, Bond Covenants, and Optimal Capital Structure,"
The Journal of Finance, 49(4), 1213-1252 (1994)

Harada, K. and T. Ito, "DID MERGERS HELP JAPANESE MEGA-BANKS AVOID FAILURE?
ANALYSIS OF THE DISTANCE TO DEFAULT OF BANKS,"
NBER WORKING PAPER SERIES 14518

Piazzesi, M., "Bond yield and the Federal Reserve,"
Journal of Political Economy, 113(2), 311-344 (2005)

Liao, S. L. and J. C. Chang, "Economic determinants of default risks and
their impacts on the pricing of the credit derivatives," Working paper

Dyck, A. and L. Zingales, "Private Benefits of Control: An International Comparison,"
Journal of Finance, 59(2), 537-598 (2004)

山田健, 「強制転換条項付き優先株式の2項ツリー法によるプライシング」,
日本銀行金融研究所『金融研究』2006.10 189-213 (2006)

2009年4月1日水曜日

新刊本『クレジットリスク ―評価・計測・管理―』

表題の書名で、こちらの翻訳本が出たようですので、紹介しておきます。
(私は出版社を通じて訳者の先生からいただきました)

原著はかつて学生のゼミでも使ったことがあります。数理的な記述は多すぎず少なすぎずという印象です。数学的に同書の内容をきちんと理解しようとするのは骨が折れるかもしれませんが、細部をあまり気にしなければ、少し前までの一連の数理モデルの流れはしっかりと理解できると思います。
また、経済学的な側面や市場との関連など、慣れていないと英語では読みにくかった部分が日本語で読めるようになっていることは非常に有益だと思います。

「ファイナンシャル・リスク・マネージメント」の授業の後半でも多少触れる予定です。

2009年3月23日月曜日

Paris 出張報告

Paris の Pavillon Royal で開催されたThe 2nd International Financial Research Forum on "Risk Management & Financial Crisis"に参加・講演のため、3/18~3/22 の日程で出張してきました。
個人的には、1994年に建築の旅ツアーで行って以来の Paris でした。

自分の発表自体は20分という発表時間を意識して、話す内容をノートに大部分メモしておき、あまり余計なアドリブを入れず、原稿を読むような感じで発表しました。

直前の 3/17に日本OR学会の研究発表会で同じ内容のものを日本語で15分という制約で
話したときに、前半というか肝心の内容に入る前に3分の2くらいの時間を使ってしまっていた反省(実際少しオーバー)もあり、慣れない英語発表で20分にまとめるためには、ほぼ原稿を読むような感じでないと自分の場合はダメだろうと判断しました。

ほぼ20分ジャストで最後まで行き着いたので、その意味で目的は達成できました。
その代わり、聴衆の反応を見るという余裕はありませんでした。

私の発表の討論者が、ほぼ完璧に私の研究と主たる関連研究2つについて survey をしてくださり、有益な comments と questions をしてくださったので、大変ありがたかったです。
他のセッションでは、討論者がスライドを用意していなかったり、好き勝手に話をしていたりという光景も見られたので、その意味では恵まれていました。

全てのコメントと質問に返答する時間(も語学力)もあまりなかったので、自分のモデルに、diffusion term の入っていないことについてのコメント・質問に対してだけ、
「ジツハ TOPIX デハタメシテミマシタガ、タイセイニ、エイキョウナカッタデシタ カブシスウヲツカッタノハ daily デトレルカラデス」という感じでざっくり答えました。

audience からは質問がなかったのですが、chairman からポートフォリオを念頭においた自分のモデルと個別の社債の格付推移との関係のようなことを質問されました。正直、全てを聞き取れたわけではなく、what do you think about it? という問いだったので、質問とズレていた可能性もありますが、
「ホントウノモクテキハ thinning ヲシテコマカイカクヅケスイイヲギロンスルコトデス キョウドウケンキュウシャトソノモンダイヲヤッテマス」
というような感じで答えておき、chairman もとりあえず納得してくれました(?)

講演後に、学生らしい2人からプレゼンファイルとペーパーをくれと言われたので、名刺を渡して「レンラククダサイ」と言っておきました。今現在、連絡はありません。

東大の博士課程の学生さんがそのフォーラムに参加していて、私の研究含めて信用リスクに関心があるということでしたので、彼とは流暢な日本語でいろいろと話しました。

他のセッションで興味をもった発表としては、こちらがありました。
内容は、systemic risk の計測モデルとして、金融機関どうしの関係を weighted graph で表現しようというものでした。
ただ、PLENARY SESSION がだいぶ時間を超過してしまい、また coffee break をはさんでのparallel セッションの進行も時間管理がけっこういい加減だったので、発表者が5分くらい話したところで、主催者?の人が早く終わってくれというようなことを合図した(片方のセッションは早々に終わっていたし、ランチの時間は大きくずらせないという判断があったのでしょう)ので、発表者も「始めたところだ!」と憤慨して、最後まで両者の緊張感が伝わってきました。
ということであまり発表にも集中できず、テンポアップもされたので、よくわかりませんでした。まあでも、この業界で有名な発表者なので、paper をきちんと見たいと思います。
(最後は緊張関係にあった二人とも和解?していたようでした)

あと、私は自分の発表直後で burn out していたので聞いていませんでしたが、この発表者はロジカルな発表をして興味深かったようです。

ポスターセッションでは、こちらが自分の博士論文のモチベーションに非常に似ており興味を覚えました。今回参加しての最大の収穫は、個人的にはこの研究を知ったことかもしれません。

こちらのポスターも楽しみにしていましたが、残念ながら当日掲示はありませんでした。
ただ、未完の共同研究テーマとこれまた非常に似ているので、きちんと目を通したいところです。

フォーラム以外の話は別に書きます・・・

2009年3月13日金曜日

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来週 Paris の Forum で発表するということは何度か触れています(といって自分を追い込んでいる気がします。そういった以上、帰国して自分の発表の出来とか反応とか、他の講演とかについて、ここで報告することを期待させているわけですから・・・)

改めてプログラムを見たら、こちらの記事でも触れた同じセッションで話すはずだった人の名前が消えていて、自分の名前しかなくなっています。 orz

本来そんなことで動じる必要はないし動じてはいけないのですが・・・
ただ、完全アウェイの状況で未だに慣れない英語発表するという緊張を、セッションの2番手であれば会場の雰囲気に多少なじんでから自分の発表ができるかなという他愛もないことで少しでも緩和しようと思っていたところで、自分だけしか講演者がいなくなったという状況なので、さてどうしたものか。

まあ、そのときになれば度胸も据わりますし、いざとなれば緊張緩和のために朝食時にワインでも呷っていこうかと・・・