2011年7月12日火曜日

8/2(火)実施「ファイナンシャル・リスク・マネジメント」期末試験について

期末試験のアナウンスです。

日時と場所:8月2日(火) 20:10~21:25(正味75分) 第3講義室


※当日は20:00 までに着席すること。なお、試験座席はこちらで指定し当日掲示するので、それに従うこと。

あと講義中にアナウンスしなかったことですが、
※遅刻は試験開始30分後まで認めます(つまり20:40まで)

※退出は試験開始30分後から試験終了5分前まで認めます(つまり20:40~21:20)

※追試験の予定はありません(ただし、正当な理由があり、なおかつ試験開始1時間前までに当日の受験が不可能であることを中川に連絡してきた場合のみ、追試験の可能性を検討します。ただし、仮に追試験をした場合の成績評価は「学生便覧・講義要綱」の一橋大学大学院国際企業戦略研究科細則の第18条(追試験)3に倣って、得点の8割とします)

試験範囲と出題形式

・第2回の授業から第13回の授業で扱った内容(プレゼン資料・配布資料、およびQRM の関連箇所)。ただし、プレゼン資料・配布資料の中の数式や些末な話題を細かく記憶してくる必要はない。授業で強調されていた事柄や繰り返し使われている用語の意味を確認したり、授業でどういう話題を扱ったかを自分なりに整理したりしておくこと

• 計算問題(数字の計算だけでなく、数式を変形する議論も含む)がおよそ8 割くらいの見込み。ただし、配付資料の演習問題の類題を多く出題する。
特にVaR とES の計算方法、バックテストの考え方、ヘッジ、Coherent リスク尺度、Merton モデル、定数ハザード・レートのモデルによるリスク中立確率およびクレジット・デリバティブの評価に関する問題、デフォルト相関について確認すること

• 参考書やノートなどの参照は不可とする。また計算機の使用も不可とする

• 試験としては100 点満点評価。ただし、最終成績としてのウェイトは6 割(試
験点数を単純に0.6 倍という処理をするかは未定)

2011年7月7日木曜日

7/12(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第12回:信用リスク(6)

第12回は、デフォルトの依存関係のうち静的なモデルについて概説する予定です。

補足資料をイントラネットにあげておきました。今回アップした補足資料およびプレゼンテーションは12回と13回の授業2回分に対応します。


また、期末試験アナウンスおよび予習用問題1と問題2があります。
授業で扱う予定ですので、自分でも考えてみてください。



予定では、主に
  • デフォルト相関、アセット相関
  • CDO
について概説したいと思います。

QRMでは8.3節あたりの内容、および9.1節のCDOの部分, Example9.43 あたりになります。

2011年7月6日水曜日

第10回の課題レポートについて

第10回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F023, IM10F002, IM10F004, IM10F006, IM10F011, IM10F013,
IM10F014, IM10F019, IM10F022, IM10F025, IM10F029, IM10F033,
IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F011, IM11F014, IM11F021,
IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。

ざっとチェックしました。

(1) k格のt年目のハザード・レートのもつ意味を説明せよ、という問いでした。

私が答えとして意図していたのは、定義式の左辺で $1-e^{-\gamma(t)} \approx \gamma(t)$ と近似を考えることで、ハザードレートを、定義式の右辺が表す「t-1年までデフォルトしていないという条件の下でのt-1~t年の間の(条件付き)デフォルト確率」と解釈するというものです。
これは授業でも触れた瞬間的なハザードレートの見方と整合します。

多くの人が、対数をとるという方向で $\bar{\gamma}_k(t)$ を意味づけしようとしていました。
上記と同じ結論を得た人もいましたし、$\log$ のついたままの式で議論した人もいましたし、
\[ \bar{\gamma}_k(t) = \log(1-F_k(t-1)) - \log(1-F_k(t)) \approx F_k(t) - F_k(t-1) \]
という近似をしている人もいました。
ただ、私の用意した答えとは異なる式変形した人については、得た数式の意味をきちんと言葉で表現しているとはいいがたいケースが少なくありませんでした。

また、数式の議論なしに意味づけを与えている人もいました。しかし、最初から $\bar{\gamma}_k(t) =$ という式を与えているわけではない以上は、数式の変形をともなう議論がこの場合は必要と考えます。

あと、細かくいうと、「ハザード・レート=○○の確率」という表現は違和感があります。「ハザード・レート」は「確率」と深く関係しますが、「確率」そのものを表しているわけではない(ハザードレートは理論上1を超えることもありえます)ので、「近似できる」とか「期間あたりの・・・」といった修飾語句が本当はほしいところです。

(2) だいたいの人ができていましたが、低格付けのところで私の答えとのずれが微妙に大きい人が目につきました。また、グラフだけの人がいましたが、高格付けについては別にグラフ表示するか数表がないと、チェックしようがないので、数表もあわせてつけてほしいところです。
あと、ハザードレートがマイナスになっている人がいましたが、ハザードレートは通常マイナスにはならないので、そういう場合はどこかおかしいと思ってください。

(3) 間違っている人は、回収率を求めるところで%の値ではなく、小数の値で計算してしまったのでしょう。例えばB格であれば
\[ 59.1 - 8.356 \times 5.236 = 15.348(\%) \]
となります。

(4)「実確率」「リスク中立確率」「リスク・プレミアム」というキーワードで整理して説明してほしいというのが出題意図です。
上記のような言葉を使っていなくても本質的に同じことを表現している人もいましたが、ポイントとずれた内容を含んで冗長に感じる説明をしている人もいました。

関係としては $h_k(1) > \bar{\gamma}_k(1)$ のようにリスク中立ハザードレートの方が大きくなるという点について深掘りして、簡単なモデルながらその差を「リスク・プレミアム」で定量的に表現しようという試みをしている人もいました。

2011年7月5日火曜日

「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回フォロー

もろもろの資料をイントラネットにアップしておきました。


三浦良造・住友信託銀行リスク統括部翻訳の 『「考えるリスク管理」の実践』はこちらで。

2011年6月30日木曜日

7/5(火) 「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第11回:信用リスク(5)

プレゼンで利用する予定のファイルは、イントラネットに アップしておきました。

第11回は誘導型アプローチに基づくクレジット・デリバティブ評価について概説する予定です。

予定では、

* 二重確率的デフォルト時刻(前回出来なかった部分)
* リスク中立評価
* 誘導型アプローチにおける信用スプレッド
* CDS のプライシング

を予定してい ます。

前回アップした補足資料の8ページ以降の内容が中心です。

QRMでは9.3~9.5節の部分に相当しますが、特に9.3節のアイデアが中心です。
また、single name のCDSは、9.1.2項を参照してください。

第8回の課題レポートについて(追記)

第8回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F029, IM10F002, IM10F006, IM10F011, IM10F013, IM10F014,
IM10F019, IM10F022, IM10F023, IM10F025, IM10F029, IM10F033,
IM10F034, IM10F038, IM11F003, IM11F014, IM11F021, IK11F012,
IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。


ひとまずチェックしました。
予告通り、論理性・表現力について、それなりにきちんと採点して返却するつもりです。

気になった点をいくつかコメントしておきます。

  • PDを算出したところで終わっている人が結構多い。そのPDの水準についての妥当性を論じ、ひるがえって、設定したパラメータ値の妥当性や算出方法の妥当性を考察するのが大事なこと。適切な考察がないレポートは評価は低くなる。
  • 基本的に PD を算出する問題であるので、結果は見やすくできるだけ最初に示すべき。もちろん、簡単に算出方法や重要なパラメータ値と組合せる必要はある。その意味で読みやすく書かれたレポートは多くない。書いてあることが間違っていないことは大切だが、それが読み手に伝わらなければ意味がない。主観的な面はあるが、上述した点を含めて、私が読みにくいと感じたレポートは評価は低くなる。 
  • 皆さんが評価対象に選んだ企業を順不同で以下に示す。面白い企業に注目していても、その企業を選んだ理由がはっきりしないレポートが多かった。どの企業を選ぶかは全く自由であるが、その理由(というか評価のねらい)が明確かどうかは、実はとても重要だと思う。
  • 授業でコメントすべきだったかもしれないが、業界によってMertonモデルの適用の向き不向きはある。例えば、銀行や保険会社の場合、負債が預金だったり保険金だったりするので、Mertonモデルの負債概念とのギャップが大きいことに注意が必要かと思う。そうした業種による向き不向きに言及してくれている人もいた。

レポートで取り上げられていた企業(順不同)

太平洋セメント、ソニー、沖電気、野村HD、西日本シティ銀行、東芝、複数の電力会社、パイオニア、オリックス、有沢製作所、コジマ、ヤマダ電機、ケーズHD、東急不動産、いすゞ自動車、アイフル、住友不動産、三菱自動車、石川製作所、飛島建設、新星堂、ケネディクス、みずほHD

なお、評価のポイントは以下のようにする予定です。

論理性(デフォルト確率算出に用いるモデルの選択理由やモデルのインプット情報について適切な説明をしているか。対象企業の選択理由やそれに関連させた結果の考察をしているか。)

構成力(主要な情報が一目で分かるように工夫して整理されているか。説明に必要なことが「過不足なく」適切に配置されているか。参考文献についての言及など)

加点要素(意義のあるオリジナリティの視点がある)

返却レポートには、「5/6/0」 のように数字を青字で記入します。
左から順に「論理性/構成力/加点」です。論理力、構成力は本番のレポート同様に、それぞれ10点満点で採点します。いちおう7点が可もなく不可もなくという基準だと思ってください。


論理性・構成力についての平均と最高点(各10点満点)は、以下の通りです。
論理性:平均 5.27、最高 9
  構成力:平均 4.93、最高 6

要するに、構成力という観点で「可もなく不可もなく」という評価を与えた人はいなかったということです。ただし、これは成績に直結する2つの課題レポートの採点基準に沿って比較的厳しくつけたと思ってください。

論理性は、出題した私が知りたいと思っている情報を論理的に理解するためのストレスが少なければ高得点になるという一方で、構成力は、その情報そのものにアクセスするためのストレスが少なければ高得点になるという形になっています。

本番のレポートが読みやすくなることを期待してもいます。

なお、加点を与えたのは1名です。

第9回課題レポートについて

第9回の課題についてのレポートを提出してくれた方は以下の通りです。

IM09F029, IM10F002, IM10F006, IM10F011, IM10F013, IM10F019,
IM10F022, IM10F025, IM10F029, IM10F038, IM11F003, IM11F014,
IM11F021, IK11F016,

提出したはずなのに、IDがここに挙がっていない人は早めに連絡ください。

課題レポートの一次チェックをしました。

(1)イントラにアップしていたExcelファイルの埋め込み数式の不備を指摘してくれた人がいました。具体的には、セルB35の埋め込み数式が、配付資料と微妙に異なっているのでは?というものです。

具体的には、$P(\tau \le T) + P(\tau > T, V_T \le D)$ を計算した式の中に出てくる
\[ \left(\mu_V - b - \frac{\sigma_V^2}{2}\right)\]
という部分(2箇所)の $-b$ に相当する部分が埋め込み数式では抜けているのでは、という指摘でした。

確認したところ、確かに抜けていました。結果も当然変わってきます。
(東京電力のケースで、$-b$ を反映させたことで、最後の確率は 0.885%上昇しました)

見つけてもらってありがとうございました。
こういうエラーを見つけることに対する評価点は高いです。


(2)Black-Coxのデフォルト確率で、$P(\tau \le T) + P(\tau > T, V_T \le D)$ だけを求めていた人が少なからずいましたが、できれば、$P(\tau \le T)$ と $P(\tau > T, V_T \le D)$ をそれぞれ別に計算してほしかったです。要するに満期前のデフォルトの可能性がどれくらいあるのか、という点を考察対象にしてほしかったからです。

(3)$P(\tau \le T)$ と $P(\tau > T, V_T \le D)$ を別々に計算してくれた人についてですが、
全体では Merton モデルのデフォルト確率を上回っていることが確認できていた人でも少し気になるところがあります。

Merton モデルのデフォルト確率は、要するに $P(V_T \le D)$ と表されるわけですが、これは Black-Cox の満期前デフォルトでないパターンの確率である $P(\tau > T, V_T \le D)$ と比べたときに
\[ P(V_T \le D) \ge P(\tau > T, V_T \le D) \quad \because \ \{ V_T \le D \} \supset \{\tau > T, V_T \le D\} \]
という不等号が成り立つはずです。つまり、この両者の比較では MertonモデルのPDの方が大きくなっていないと変です。
もっと言えば、後者の確率は $P(K=0.8D < V_T \le D)$ よりも小さくなるはずですから、ある程度は満期前デフォルト確率$P(\tau \le T)$ が大きくならないとおかしいと思います、

しかし、そこの大小関係が逆転している人が何人かいました。私と同様に計算式をどこか間違えている可能性があります。計算方法を再度確認してみてください。

2011年6月28日火曜日

2011年6月23日木曜日

6/28(火)「フィナンシャル・リスク・マネジメント」第10回:信用リスク(4)

第10回は、デフォルトリスクのある商品の評価の基本的な考え方、および誘導型モデル(特に強度とかハザードレートと呼ばれるものに注目)の理論的背景について概説する予定です。

プレゼン資料・補足資料をイントラネットにあげておきました(補足資料は10回と11回の授業2回分に対応)。
補足資料(およびプレゼン資料)の冒頭が、予習用の導入問題になっていますので、考えておいてください。
なお、これらはいつもとおり印刷配付はしません。



授業で扱い内容としては、

* デフォルト・リスクのある金融商品の評価の基本的な考え方(予習用導入問題の解説)
* 誘導型モデル-用語や概念の整理
* 強度型モデルの数理

を予定しています(準教科書のQRMでは9.1~9.4節の部分に相当します)。

2011年6月21日火曜日